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比翼連理 〜 緋天滄溟 〜

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「何の用です?パンドラのご機嫌取りはどうしたのですか、ラダマンティス」
「―――聖域からの使者は?」
 ゆったりとソファーにくつろぐミーノスの厭味を無視して、訝しむようにラダマンティスは周囲を見回した。先刻まではいたはずの聖闘士の姿がどこにも見当たらなかった。
「早々にお帰り願いましたが?何か不都合でもありましたか」
「嘘をつけ。先ほどまで楽しんでいただろうが」
 何を考えているのか判り難いミーノス。特にその表情を隠す役割を担っている憎たらしい前髪を掴み上げたくなる衝動をラダマンティスは必死に抑えながら、のらりくらりと言い逃れようとするミーノスに詰め寄った。
「よくご存知で。なかなかに手強く、かつ有意義なあや取りでしたよ。おや?あなたも参加したかった?」
「はぐらかすな。奴をどこへ行かせたのだ」
 さらに詰め寄ると、ミーノスはうっすらと笑みを張り付かせた。
「知りたければ、自分で探せばいいでしょう?」
「おまえ……!」
「黄金聖闘士同士が争うと、千日戦争となるそうです。なれば、私とあなたではどうでしょうね。千日か……はたまた一瞬か。ラダマンティス、一度試してみましょうか」
 ぞっとするような赤い瞳を煌々と輝かせるミーノスに冗談では済まされない気がしたラダマンティスは押し黙り、睨み返した。
「―――本気ならば受けて立つ」
「冗談ですよ……ほんと、面白みに欠ける男だ。生真面目すぎるのもほどほどに、ね。さて、と」
 徐に立ち上がったミーノスと顔がぶつかりそうになって、慌てて後退去ったラダマンティスはそのまま何処かに行こうとするミーノスの腕を掴んだ。
「おい、どこへ行くのだ?」
「―――チクタク、チクタク……5分経過」
「は……?」
「聖闘士は光速で動くのでしょうから、結構な距離まで逃げたでしょうね。さて、どこまで逃げた?ほぅ、なかなか面白いところに行ったようだ」
「どういう意味だ……おい、なんだ、その手は?」
 ポンっと肩を叩かれてラダマンティスは不思議に思って尋ねると、ひんやりとした笑みを浮かべてミーノスは答えた。
「鬼ごっこですよ。私はムウを追いかけます。そして、君は私を追いかける。要するにあなたが鬼です。私も逃げ足は速いほうですから、頑張って下さい。では」
「ちょ……待て!おい…っ!!ふざけるなっ!!」
 ラダマンティスの静止も聞かずにミーノスはあっという間に姿を消した。ラダマンティスは呆然と立ち尽くしたまま、時を刻む幾つかの古時計がボーン、ボーンと虚しく鳴る音を耳にしたのだった。