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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第6部 後編

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033話 招待と尋問と追い詰められた王





ちょうど夕日が沈みそうになった頃、
とある住宅街で一人のアジアンな格好をした青年が10才ぐらいの車椅子に乗った女の子を押して一緒に歩いていた。

映司は偶然にも意外な形で10年前の 八神はやて と再開を果たし、複雑な気持ちで彼女の家を目指していた。


「ほんで、お兄さんって本当にあの『仮面ライダー』なんか?私本物の仮面ライダーに会えてめっちゃ嬉しいわ!」

「なんかそこまで言われると照れるなぁ。」


はやて は先ほどの件を忘れたかのように楽しそうに映司と話していた。


「君、どうして『仮面ライダー』を知ってるの?そんなに有名かなぁ?」

「なに言ってんねんお兄さん!仮面ライダーと言えば都市伝説もんやで!この街でその名前を知らない人なんてそういないで!」

「そ、そうなんだ!知らなかったぁ…」

(今も昔も変わらないんだな、はやてちゃんって。あ、そういえば…)

「ねぇ君、いつもさっきの男の子達に…その…」


映司は正直聞きづらかったがさっきのことについて触れた。
映司はその性格の為、ほっとけるわけにはいかなかったのだ。
しかし はやて はそこまで落ち込むこともなく、すんなり映司に離してくれた。


「うぅん、数人はたまに見る子達でさっき話したのが初めてやけど…、あのリーダーっぽいちょいイケメンな男の子は今まで見たことないなぁ。どっかの街から遊びにきてるんと思うんけど」

「そっか、今日はたまたまだったのか」

「なんや?お兄さん。私の事がそんなに心配かぁ?…もしかして私の美貌に惹かれたんかぁ?」


はやて は生意気げに映司をからかった。
しかし映司は単純な性格なため、見事に期待通りのリアクションをした。


「なッ!!そ、そんなことないよ!」

「ははっ!おもろいなぁお兄さん!」


(全く、こういうところも昔も一緒なんだなぁ)



「そういえばお兄さんの名前ってなんて言うの?」


はやて は顔を上げ映司の顔を見た。
映司は自分の名前を教えていいのか正直戸惑った。


(う~ん…。名前なら大丈夫かな)

「俺の名前は『火野 映司』、映司って呼んでよ!」

「そか、私は『八神 はやて』っていうんよ!

今日はありがとな、映司『さん』!」


「えッ……あ、うん!よろしく、はやてちゃん!」

(映司…『さん』…かぁ…)



映司は少し気を落としてしまった。
目の前にいるのは10年前とはいえ、かつての家族である。


(今まで映司『くん』だったのに改めて目上の言葉使われると結構ショックなんだなぁ…)

「なぁ、映司さん?」


映司は自分を呼ぶ はやて に気づき、気を取り戻した。


「ほんとにいいんか?私の家まで送ってもらっても?」

「全然いいよ!別に俺は行く宛もないし!」

「なんやて!?」


はやて は突然車椅子のブレーキを使い、無理やり走行を止め、映司の方向に向いた。
映司は驚き数歩分後ろへ下がってしまった。


「映司さん…もしかして家とか遠いとこにあるんか?…それとも…家、ないんか?」


(ギクっ!)

映司は動揺した。
状況が状況とはいえ、すべて はやて の言うとおりだ。


「えっと…そうだね。家はここから結構遠いところにあるんだ」

「じゃ、じゃあ今日どうするつもりでいるんや?もうすぐ暗くなるで!!」

「う~ん、やっぱ野宿かな?」

「はぁ!?」


はやて は呆れたように映司に突っ込んだ。


「映司さん、今12月やで!夜なんて一気に寒くなるのにそんな格好で野宿とか死に行くようなもんやで!!」

「えっ!?12月!?」


意外だった。
今まで気づかなかった自分に少し呆れてしまった。


と、いうか…よく昨日は外で一夜過ごせたな…。
気絶してたけど。


「よっしゃ!決めたで!!」

「え、何?はやてちゃん?」


はやて は映司に近づき映司の手を握った。


「今日一日私の家で泊まっていきや!」

「え、ちょ…えぇっ!?悪いよ、今日会ったばかりなのに…」


はやて は気にせずそのまま車椅子を操り映司を連れて走り出した。


「えぇって!それにせっかくだし映司さんに私の家族を紹介したるわ!皆面白い子達やでぇ!!」


(…家族って……まさか!?)








シグナム…達?








(ど、どうしよう!すごい気まずい!!)









そのまま映司は はやて に引っ張られていった…。
















その頃、時空管理局では…





時空管理局の廊下で2人の女性が話しながら歩いていた。

「それでエイミィ、なのはさん達のデバイスはどうなったのかしら?」

「はい、今大急ぎで修復作業を行なっています。リンディ艦長!」

一人は次元巡行艦「アースラ」艦長、「リンディ・ハラオウン」
そしてもう一人はそのアースラの主に通信等の役割を追う「エイミィ・リミエッタ」である。


「まさか今の時代にベルカ時代の騎士が現れるなんて…正直予想外の出来事ね。どう?データ収集は進んでいる?」

「残念ながらほとんどの記録がなくて思うようには進んでないんです。…もしかしたら『無限書庫』の出番が訪れるかも…」

「でも…なのはさんやフェイトさんに何事もなかったのが優一の救いね。エイミィ、辛いでしょうけど引き続き作業よろしくね!」

「はい!艦長!!」



「まぁそれは良しとして、問題は…」

二人はとある部屋にたどり着いた。
そこにいたのはフェイト達が連れてきたあの『怪物』だった…。



『だから俺は別にあいつらとは何も関係ないって言ってるだろうが!!っていうか、いい加減この拘束を解け!!身動きすらできないだろ!!』

「それは出来ないな!君の正体がわかるまで解放など出来ない!」

現在アンクは時空管理局執務官「クロノ・ハラオウン」によって尋問されていた。
アンクはまだグリード体のままだった。
…というのもどういう原理かはわからないが、バインドがされている間は自分の力を引き出すことができないのだ。もちろん人間体になることもできない。

無論、アンクのその性格のおかげで尋問は一向に進む気配はなかった。
むしろ悪化していた。


「ねぇ、クロノ。本当に何も知らないみたいだし、そろそろ解放してあげてもいいんじゃないかな?」

「だめだフェイト。こういう奴は解放した途端僕たちを襲ってくるのがオチだ。」

『だから何もしないって言っているだろうが!!ボコボコにするぞ!!このクソガキ共ッ!!』



「自分で自分の首絞めてるよ…」

「にゃはは…」

ちなみにそこにはクロノとアンクの他にフェイト、なのは、ユーノも立ち会っていった。
アルフは先ほどの戦いでダメージが一番大きかった為、現在療養中である。


「それでエイミィ、彼…アンク君って言ったかしら。彼の詳しいデータは取れたの?」

「はい!凄いですよ艦長…」


エイミィは空中に画面を複数枚出現させ、アンクから採取したデータを表示した。