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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第8部

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「お前、…俺にこれを食べろと言っているのか!?」


アンクは皿を持ち、リンディにスクランブルエッグを見せつけた!
その場にいた者たちには意味がさっぱりわからなかった。


「ん?なんだいアンク?もしかして好き嫌いかい?」

「ちげぇよ!!それ以前の問題だ!!犬っころ!!!!」

「っ!!アンクくんもしかして卵アレルギーなの!?」

「違うッ!!なんでわかんねぇんだよ!!」

「じゃぁなんなんだ!僕たちに教えてくれ!!」




「それは…できねぇな…」


アンクは急におとなしくなり、そっぽを向いてしまった。
…こんなアンクは見たことがない…!!


アルフはいてもたってもいられず、人型になりアンクの胸ぐらを掴んだ!


「あんたいい加減にしなよ!いったいなんなんだい!?」

「だ、だから…!!、なんで全員わかんねぇんだよ!!」

「わかるわけないだろ!ちゃんとわけを言いな!!」

「………ッあぁぁぁぁッ!!!!クソぉッ!!!!」


アンクは強引にアルフの腕をはがし、その場でグリード体へと変身した!



『てめぇら!!これでわかんなかったら全員殺すぞ!!!!』





その瞬間、一番最初にフェイトが理解した。




「あっ…、と、鳥…」


























「……っぷ…」

















「…くふふ……」






























その瞬間、マンション中に笑いの嵐が吹き荒れたという…。








………




「ご、ごめんね、アンク。さっきは…くふふ…」

「笑ってんじゃねぇよ、クソガキ」


ちょうど9時過ぎ頃、家にはフェイトとアンクがソファに座ってテレビを眺めていた。
アンクは言うまでもなく、いつも以上に不機嫌状態である。

フェイトは先ほどの件をテレビを見て忘れようとしているのだが、頭から離れず、一人で思い出し笑いをして、アンクをさらに不機嫌にしていた。この繰り返しである。


「ったく、なんで俺がこのガキと二人きりで留守番なんだよ…」

「しょうがないよ、皆忙しいんだから」






………

その頃、クロノ達は海鳴市にある様々な店が集約したショッピングモールへと足を運んでいた。

「提督…、本当に二人きりにさせてよかったのでしょうか?」

「えぇ!同じ監獄に二人きりにしておけばいつのまにか仲良くなっているものよ!」

「か、監獄って…、さすがリンディ提督…」


フェイトとアンクには「大事な用があるから二人で留守番お願いね!」…と頼み、自分たちは生活に必要な家具を買いに来ていた。
リンディとクロノとエイミィは私服で、アルフはもちろん子犬フォームである。

「だいじょうぶ!フェイトさんとアンクくんならね!…それと、クロノ、エイミィ」

「はい、なんでしょう提督?」





「外では…、私のこと『お母さん』って呼ぶ約束でしょ?」


「あ!失礼しました、お母さん!!」

「え…、あ…その…母さん…」

クロノは若干恥ずかしそうに答えた。
…しかし、その表情は少し嬉しそうにも見えた。

(なんだい、クロノのやつ。可愛いとこあるんじゃないか!)






………


「………。」

「………。」




アンクとフェイトはただじっとソファに座っていた。
アンクはアイスを舐め、フェイトは手を膝の上に乗せて何もしなかった。

テレビも何も面白い番組が入っていなかったため、既に消してある。


「……おい、ガキ。暇だったら外で遊んで来てもいいんだぞ?」

「ダメだよ、アンク。私はアンクのこと監視してなきゃいけないんだから」

「はぁ…、なんでこういうところは大人なんだよ…」



それから、さらに数十分が過ぎた。

アンクはアイスを食べ終え、暇つぶしにもう何度も見た雑誌を読んでいた。
フェイトは相変わらずそのままである。


「………。」

「………。」



(……ッあぁッ!!)

その瞬間、アンクはテーブルに雑誌を乱暴に置き、ジャケットを着て、外にでる準備をし始めた。

「ちょっとアンク、どこいくの?」

「身支度しろ、ガキ。アイス買いに行くぞ」

「…え?」

「…なにぼぉ~っとしてるんだ!行くのか?行かないのか?」

「えっと、行くよ!」


フェイトはなぜだか嬉しかった。
その意味は全くわからなかったが、アンクに一緒に行くと言われた瞬間、心が高鳴った。






………

「うぅ…寒い…」

「まぁ、寒いっていえば、寒いな」


今は12月中旬。
冬も本番の時期である。
この海鳴市では雪が積もることは比較的ないが、それでもその寒さは本物である。


「アンクってさ、なんでそんなにアイスが好きなの?」

「別に…、好きだから求める。それだけだ」

「…へんなの」

「はんッ!お前にだけは言われたくねぇな!」


二人はそのまま近くにあったコンビニの中に入った。
そして60円の安いアイスを買い、数分も滞在せずそのコンビニから出た。

もっと高いアイスを買わなかったのは、映司の努力の成果である。


二人は近くにあった公園のベンチに二人並んで座り、袋からアンクはアイス、フェイトは暖かいココアを取り出した。ちなみにこのココア、アンクにおごってもらったものである。
なんとも珍しいことやら…。


「んっ…んっ…、はぁ…。暖かい…。ありがとう、アンク」

フェイトはアンクに笑顔でお礼をした。
アンクはそっぽを向き、アイスを食べ始めた。

「ふんっ!俺が他人におごるなんて人生で数えるぐらいしかないんだからな!!」

「数えるぐらいって…、もしかして今のが始めてだったんじゃないかな?」

「ッ!!…、かもな…」





………




「あぁ?あいつの家族はもういない?」

「あぁ、フェイトの母、『プレシア・テスタロッサ』はこの世にはもう存在しない」






アンクは思い出していた。

あの後アンクは苦肉だったが、クロノにフェイトの家族関係について教えてもらったのだ。






「プレシア・テスタロッサ…、フェイトの有一無二の母親だ。…だが彼女は結局、最後の最後までフェイトと『心を通じ合う事』はなかった…」


「どういう意味だ?詳しく説明しろ!!」




「すまない、アンク。このことはフェイトから黙秘させられているんだ。君に教えることが出来ない。…ただ、僕が言えるのは…、その傷は、




彼女にっとって









とても…とても…













深い傷なんだ…。












………









(だから、今のこいつは天涯孤独、…そのためにあのクソガキ達の家族にならないかっていう話しか。)



アンクは理解していた。


フェイトは今、テスタロッサから、ハラオウン家の一員となる自分の気持ちと格闘しているのだ。

だから、他人に自分の家族のことを突っ込まれるのが嫌で仕方なかったのだ。


…とは、思うのだが。








「ねぇ、アンク?」

「あん?なんだガキ」




フェイトは急にベンチから立ち、アンクの目の前に移動した。