ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第8部
「この前、関係ないなんて言って、ごめんね」
「ふんッ!なんのことかもう忘れちまった…」
おいおい、こいつエスパーか?
「それでね、アンク。私迷っていることあるんだ。いいかな?」
「別に俺じゃなく、クソガキか なのは の奴に聞けばいいじゃねぇか」
「うぅん、これはアンクに聞いてほしいんだ」
「…結局拒否権無しかよ」
フェイトはそのまま後ろに振り向き、空を見上げた。
「私ね、家族…いないんだ…。ちょっと前に悲しいさよならしちゃって、もう私にはアルフしかいない。でもね…、私の周りには、昔にはいなかった友達や仲間が沢山できたんだ。」
「へぇ、よかったじゃねぇか」
「それでね…アンク、今、リンディさんから『自分たちの家族の一員にならないか?』っていわれたんだ」
…やはりな。
「嬉しかったんだよ、とても。でもね…」
「なんだ?」
フェイトはアンクに振り返った。
その目には、涙が溜まり、身体がかすかに震えていた。
彼女は決して自分の弱々しい姿をみせる人間ではない。
自分のこんな姿をみせるのは極数人しか存在しない。
「私…『フェイト・ハラオウン』には…なりたくないよ…。『テスタロッサ』っていう名前は…、私の大事な家族のつながりなんだよ…、ねぇアンク…私…どうしたらいいかな?クロノもリンディ提督も嫌いじゃない…でも…二人の期待を裏切りたくない…ねぇ、教えて…アンク?」
アンクは後半から黙ってその話しを聞いていた。
だいぶイラつきながら…。
「…お前は、他の奴と違って大人な奴だと思っていたが、とんだ勘違いだったな」
「ふぇっ…ア…アンク?」
「くだらない…。俺はお前のそういうところ、大嫌いなんだよ」
「え…」
「先、帰るぞ」
アンクはスタスタと歩いていってしまった。
「そ…そんな」
フェイトはその場で崩れ去ってしまった。
「ふん……くそ、寒いな……」
アンクは最後までフェイトの方へ振り向かず、ただ、前へと歩いて行った…・
作品名:ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第8部 作家名:a-o-w