二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第8部

INDEX|8ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 

「じゃあなんであのガキは苦しんでるんだよ!!」

「え…?」


アンクの口から出た言葉に3人は固まってしまった。
いままで何も喋らなかったリンディでさえも…。


「お前たち本当にあのガキのこと考えて生活してきたのか!?あのガキはな…、今だに過去に囚われたままなんだよ!!…お前はそんなガキによく『自分達の家族の一員にならないか』なんて偉そうな事言えたな!!甘いんだよ!!!!」




なぜだ…


他人の事なんてどうでもよかったはずの俺が…






なんで他人のためにここまで必死になっているんだ?









「アンクくん…」


その時、始めてリンディの口が開かれた。
その声は少し震えていた。



「フェイトさんは…なんて…」


「ふんッ!ハラオウンになりたくない…テスタロッサの名前を捨てたくないって泣きながらほざいていたな!!…お前、あのガキの口からそんな言葉聞いたことあるのか!?」



リンディの体中から血の気が引いた。
…自分はなんて取り返しのつかないことをしてしまったのだろう…。

そうだ…、よく考えれば自分はただフェイトの身を気遣って自分の思いを伝えただけだった…。





フェイトの口から本当の気持ちなんて…、




聞いたことがない。












「アンクくん…」

「…なんだ?」




その瞬間、リンディはアンクに頭を下げた。
その行動をみたクロノとエイミィは言葉が出なかった。




「おい…おま『ごめんなさいッ!!』…」



「アンクくん、ごめんなさい!…そして、ありがとう…」






リンディはその言葉と同時に顔を上げた。
涙を止めることなく、笑顔でアンクをみた。



「ていと……お母さん……」

クロノは悲痛な表情でリンディを見た。
エイミィも同じだった。




「私は、知らなかったの。…フェイトさんがそんなこと思っていたなんて…、それなのに私は自分の思いばかり伝えて…、母親失格ね…」



「その言葉、俺じゃなくあのガキに伝えろ」


「…え?」












「俺はただあいつの声をお前たちに伝えただけだ、さっきも言っただろ。俺はお前達の家族じゃねぇんだ。その言葉は俺じゃなくお前達の欲望…『自分たちの家族にしたい』あのガキに伝えろ」


アンクはそのまま、玄関に向かった。



「おい、アンク!一体どこへ…」

「ふんッ!ただの散歩だ」















「あんた…、意外に良い所あるじゃないかい」

「あん?犬っころか」


玄関から外にでた瞬間、すぐ隣に人型のアルフが手を組んで壁に寄り添っていた。


「最初はあんたをぶっ殺して噛み砕いてやろう…て思ったけど、気が変わったよ」

「はん…殺せばよかったものを…」


アンクはそのまま手すりを飛び越え、落ちていってしまった。





「アンク、フェイトを頼んだよ…」




















………








「…寒いな……」



フェイトは、何もせずただ座っていた。

何も考えなかった。






…何もしたくなかった…。


















「なにしてるんだ?ガキ」

「…え…?」









フェイトは声が聞こえた方向を見た。



そこには、











アンクが立っていた。













「アンク、…なんで?」

「お前があまりにも遅せぇから迎えに行ってこいってクソガキがうるせぇんだ」


アンクはそのままフェイトの近くに寄り添った。


「ねぇ…アンク…」

「…なんだ、ガキ」







「私、ずっと考えていたんだ」

「…何を?」


















「私ね、あれからずっと考えて…、ハラオウンの子になるか、それともテスタロッサの子のままでいるか…ずっと考えていたんだけど…」


「わからない…ってか」


「うん…」

























…ビシッ!!














「ッ!!!!…痛ぁ…」











アンクはフェイトのでこに強烈なデコピンを放った。
フェイトはあまりの痛さに半場涙を浮かべていた。









「お前…本当に馬鹿か?」

「…ぅえ…?」


















アンクはフェイトに向き合い、人差し指を向けた。














「お前…何歳だ?」


「じゅ、十才だよ…」


「まだガキだよな?」


「うん…、子供だよ…」













「ガキっていうのは…、大人以上に欲深い存在じゃないのか?」







「…え?…うん、そうだと思うよ」















光が、見えた。











「なら欲望の塊なんだろ?」


「えっと…そうなのかな?」













心の霧が晴れていく。














「なら…、ガキはガキらしくもっと欲張れ!!テスタロッサかハラオウンなんてどっちが良いかなんて考えるんじゃねぇよ!!」


「え…?」









そして、私の心は


綺麗な青空が広がった。












「どっちも欲しいならどっちも手に入れろ!!『フェイト・テスタロッサ』でもなく、『フェイト・ハラオウン』でもなく、





















『フェイト・テスタロッサ・ハラオウン』で良いじゃねぇじゃ!!!!」

























「ッ!!!!!!!!」

















「お、おいガキ!なにしやがる!!」



「う、うぅぅぅ…」



フェイトは思わずアンクに抱きついてしまった。



とにかく今は、泣きたかった。










「ううぅぅ…ああぁぁぁぁ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!!!!」







「ッたく、やっぱりガキはガキか…」




















………






「私、フェイトさんのことなにもわかっていなかったのね…」


「母さん…」


「はい、二人とも!暖かいココア入れたよ!」






3人はリビングのソファに座っていた。

クロノとリンディは寄り添って座り、エイミィはそんな二人の前に座っている。



「クロノ…ちょっと良い?」

「はい…なんでしょうか、母さん」





「私は、フェイトさんのお母さんになれるでしょうか?」




「…はい、なれます。母さんならきっと…」





「…ありがとう、クロノ」




リンディは自分の胸元にクロノを引き寄せた。
そんな二人を見ていたエイミィは笑顔になった。






「やっぱりいいな…『家族』って…」













………




「ご、ごめんね!アンク!!さっきは…その…」

「いいから、早く帰るぞ!…ッたく…」





二人は住宅街を歩いていた。
もう遅い時間帯のため、周りには誰もいない。



「…アンク」

「なんだ…ガキ」






「やっぱり、アンクって優しいね」

「あぁ!?」