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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第10部

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アンクは空気を読み、なのは とユーノを二人きりにさせてあげたのだ。
もちろんフェイトはその行動にどういう意味があったのかさっぱりだった。


「ねぇアンク、あれ乗ってみたい」

「あ?…なんだ、ゴーカートじゃねぇか」

「うん、おもしろそう」

「はぁ…しょうがねぇな」


二人はゴーカート乗り場に入った。
意外に本格的でちょうどレースが行われるらしい。
二人は最後の出場者としてそのレースに参加することとなった。


「アンク、私なにしてればいいの?」

「まぁ隣りで座ってろ、そして俺が優勝する光景をその目で見ていやがれ!!」

「あれ?…意外にアンク乗り気なの?」

「はんッ!グリードは欲望の塊だ!!やるなら優勝だ!!!!」


…実はアンクは優勝なんて興味がなかった。
ただ、その副賞である「園内アイス食べ放題!」のチケットが欲しかっただけなのだ。

そして、信号が赤から青になり、一斉にカートが走り始めた!!


「きゃあ!?アンク、速いよ!!」

「馬鹿ッ!!遅かったらレースの意味ねぇだろうがッ!!」


アンクとフェイトを乗せたカートは風の如く他の参加者を抜き去っていった!
そしてカーブを曲がり、現在1位であるカートと隣り合わせになった。


「おいお前!!邪魔だ、どけ!!!!」

「うるさい、君は負けなさい。俺が一番だ」


そのカートには子供の割には無愛想な表情でやたらと上から目線な男の子が一人で運転していた。
だがその割には美形だった。


「はんッ!お前、俺に勝てると思っているのか!?」

「ちょ、ちょっとアンク!相手は子供だよ!?」



「大人げないな、優勝は俺に譲りなさい。あとその髪型、センスを伺うな。今すぐ雑誌を見て勉強しなおしなさい」

「いちいちムカつくな!!お前!!」


アンクは苛立ち、その男の子が乗ったカートに思いっきり体当たりし、相手のカートのスピードが落ちたところで一気に追い抜かし、見事アンク達は優勝を掴んだ!


「やったね!アンク!!」

「ふんッ!これでこの遊園地のアイスは全部俺のもんだ!!」



「そんな…俺が負けるなんて…」




………


「ねぇアンク、次はあれ!」

「あん?…おい、待てガキ」

「え?どうしたのアンク?」

「今回ばかりは…俺はパスだ…」

「ダメ、一緒に乗ろう!!」


フェイトが指差した先にはメリーゴーランドがあった。
流石にアンクは断固拒否した。プライド的にあれには流石に乗りたくない。
…まぁ成人男性なら誰もが同じ答えを出すであろう。


「えぇ…あの馬に乗ってみたいな」

「ただグルグルまわっているだけの乗り物のどこが楽しいんだよ」

「…ねぇ、アンク…」

「駄目だ」

「アンクッ!!」

「駄目だったら駄目だ」

「アンクッ!!!!」

「だから駄目だッ!!!!」
























「どうしてこうなったぁ…」


アンクは、しかめっ面で渋々かぼちゃの馬車に乗っていた。
足を窓に賭け、周りから見れば「なんであんな人が乗っているんだろう?」と思われても仕方がない。
フェイトはその馬車を引く白い馬に乗っていた。


「…はぁ、はやく終わんねぇかな…」



結局、フェイトは一人で行くことにした。
だが、そこの係員に「保護者同行でお願いします」と言われてしまい、一歩も引かないフェイトの姿を見てついにアンクが折れてしまったのだ。


「それにしても…あのガキ、随分楽しそうだな」


フェイトは窓から微かに見えるフェイトの顔を見た。
その表情は普段では絶対にみせない笑顔で、それを見たアンクは自然に口元が緩んでしまった。


「たまにはガキらしいところあるんじゃねぇか。普段からもっとガキらしくしていればいいのによ…」











「なんなんだ?あいつ…大人のくせにメリーゴーランドなんかに乗っちゃってさぁ」

「こぉら!そんなこと言っちゃダメだろぅが!!」

「まま~、俺もあれ乗りたい~」

「あらあら博之のぼうや!後で一緒に乗りましょうね?」




家族連れだろうか?
窓から4人の人影が見えた。

しかもその姿には見覚えがある…。



「もしかしてぇ汰斗、お前もあれに乗りたいのかぁ?」

「勘違いしないでよ…、僕はもう16歳だよ?この虫頭」

「おい!お父さんになんて口使いするんだぁ!!」

「まま~キャンディあげる~」

「あらあら、なんていい子なんでしょうねぇ。私の自慢の ぼ・う・や!」









「…いや、似すぎだろ」






………


「ちょっと、疲れたねアンク」

「あぁ、満足したか?ガキ」


アンクとフェイトはベンチに座り、アイスキャンディを舐めていた。
先ほどフェイトが なのは にメールを打ち、この場所で合流をしようとしたのだ。

楽しい時間というのはあっという間に過ぎるもので、時刻は3時を回っていた。
あと2時間もすれば4人は帰らなくてはいけなかったのだ。


「ねぇアンク、次は何に乗ろうか?」

「おいおい、まだ遊ぶつもりなのかぁ?俺はクタクタだ…」

「うん」

「即答かよ…」




(これでいっぱいアンクとの思い出できたよね…これで私は絶対アンクの事忘れないよね!)

フェイトは満足気に笑いながらベンチを立ち、なにか面白そうなアトラクションがないか周りを見渡そた。その時だった…。









「…ぐすっ…お母さん…どこぉ?…」









「…あっ…」

「どうした、ガキ?」



フェイトは沢山の人ごみの中で、見覚えのある自分より小さな男の子が泣いているのを見つけた。
その男の子は、かつてアンクと携帯を買いに行った時、自分の不注意のせいでぶつかってしまった男の子だった。


「ねぇ、アンク…」

「あ?」














「君、大丈夫?」

「…う、うん…ぐすっ…」


「ったく、お前もお節介な奴だなぁ…」


フェイトはすぐにその男の子の元に駆けつけ、その子の状況を確認した。
どうやら母親と二人でこの遊園地に来たらしく、運悪くその母親とはぐれてしまったらしい。
その男の子は自分たちと一緒の学校の1年生だった。


フェイトはその男の子をベンチに座らせ、アイスキャンディを与えた。


「全く、お前も運がねぇなあ…と、いうか…いい加減泣き止めよ!!」

「ちょっとアンク!まだこの子7才なんだから…そういえば君、お名前は?」


男の子はどうやら人見知りらしく、もじもじしながらとても小さな声で名前を伝えた。


「…ヒグっ……ろう…」














「えっと…え?」

「あぁもう!はっきり喋りやがれ!!」


男の子は怯えてしまい、再び泣いてしまった。
フェイトはアンクの足を思いきり踏んで、そのまま優しい口調でもう一度尋ねた。


「ごめんね、アンクは本当は良い人なんだ…だから大丈夫。お願い、もう一度教えて?」

「う…うん…」


男の子は先ほどより若干大きくなった声量で自分の名前を伝えた。


「僕……ん…太郎」

「えっと…太郎?太郎でいいかな?」

「…え…ちが…」