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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第11部 前編

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047話 映司と はやて と入院







映司は目覚めた。

いつもの朝を迎えた。


窓から外を見ると、雪がチラチラと降っていた。






「おはよう、映司さん」

「おはよう…はやてちゃん」




映司はあれから寝たきりだった。

家の中ではある程度身体を動かすこともしているが、
基本はベットで一日を過ごしている。


あれから数日経ち、

最初に目覚めた時には、彼には絶望が待っていた。





「さて、今日も朝ごはんは はやてちゃん特性のお粥やで!」

「うん、ありがとう はやてちゃん」


映司は上半身だけ身を起こし、スプーンを手にとってお粥を少しずつ食べ始めた。


「どうや?今日のお粥は









ちょっとだけしょっぱくしたんよ」







「そうなんだ、うん…はやてちゃんのために、早く良くならなくちゃね!」

















「味覚」が消えていた。


それだけではない。
あのプトティラコンボによる後遺症は、以前よりも遥かに酷かった。

うまく「表情」が作れなかった。
笑う…という動作を取るだけでも、体中の力を使わなければならない。
これが意外に大変なのだ。


身体の感覚が掴めない。
自分が立っていることすら感じ取れない。






もう、はやて の手の温もりすら感じとれない。








「今日は午後から私と一緒に病院いかんとなぁ、ふふっ!今日は映司さんと一日ずっと一緒やなぁ!」

「うん、今日は少し身体が楽だから、はやてちゃんと一緒に家事の手伝いするよ!」

「そか、じゃあお願いしますわ!」


あれ以来、シグナム達とはなかなか会えない時間が続いた。
以前より他の世界に出ることが多くなり、必要最低限な時間だけこの家に滞在し、残りの時間は闇の書のページ収集というハードスケジュールを取っていた。


それでも、映司の事は気にかけており、たまに部屋に来ては日々あった色々な話を聞かせてくれる。
それだけでも、映司にとっては心の支えであった。





−−−




「映司さん、そこにある衣服、洗濯機の中に入れといてくれなぁ!」

「うん、それと一緒に回しておくよ!」


はやて は車椅子を巧みに操り、掃除機を手に取りリビングを掃除していた。
映司は洗濯物が入ったかごを取る「動作」をした。


(やっぱり、…重さも感じないし、掴んだ感触もない…変な感じだな)


頼れるのは身体のコントロールを司る「脳」だけだった。
考えればその通りに身体が動いてくれる。

まるで、「ロボット」になった感じだ。


「スイッチを押すと…よし、これで大丈夫だな」


−映司さぁん!ちょっと休憩しような!−


「あ、…はぁい!今いくよ!」








「ほな、映司さんお茶や!…あ、それ『熱い』から舌を火傷しないように冷ましてあげるなぁ!」

「あぁ!ごめんね、はやてちゃん」

「えぇって!困ったときはお互い様や!!」


はやて は映司の湯呑を手に取り、自分の口から冷たい息を吹きかけ、お茶の温度を下げた。
…映司は申し訳なかった。
はやて にこの事実を話すときは本当に辛かった。

だけど、彼女は



「そうなんか!?…それは大変やな。…よし、私が終始、映司さんの生活フォローしたるわ!!」



…と、いつもと変わらない綺麗な『笑顔』で返してくれた。


とても辛かった。
さらにこの少女に重荷を増やしてしまったような気がして仕方がなかった。


「ふぅ~…よし、こんなんでえぇやろ!はい、映司さん!!」

「ありがとう、はやてちゃん!!」


精一杯、笑顔を作った。
だが、お茶に映っている自分の顔を見てみると、なんともぎこちない顔で笑っていた。


「なんやぁ?映司さん変顔得意やなぁ!!私も負けへんでぇ!!」

「ち、ちがうよ!はやてちゃん!!これでも笑っているつもり!!」

「ははっ!それで笑っとんのか?関西じゃ通用せんよぉ!」

「も、もう!!」


だけど、この女の子は凄い。
自分の不安を全て吹き飛ばしてしまうからだ。

どんな状況下でも、常に笑顔でいてくれるし、




笑顔にしてくれる。














………

「ごめんね、はやてちゃん。昼前には戻ってくるから!」

「うん、私は大丈夫だから、映司さんは何も気にせず行ってきぃな!」



玄関から映司が勢いよく飛び出していった。





…途端、はやて の息が荒くなり、苦しそうに自分の胸を手で押さえた。

「ははっ…なんや、最近発作多くなってきたなぁ…、ごめんな映司さん。私嘘ついとるな…」





















11時ごろ、映司はコートを身にまとい、翠屋へと向かった。
今まで体調の関係もあった理由もあるが、高町 士郎や桃子には一切連絡をしていなかったのだ。


「…やっぱり怒ってるかなぁ。連絡一切してなかったし。…あっちから一通も電話入ってこなかったから怒ってるの確実だよね。…はぁ、なんて言い訳しようかな~」



そんなことを考えながら、映司は曲がり角を曲がった。

その瞬間、一人の男の人と派手にぶつかってしまった!


「っ!!」

「ッ!!!!」




−ドンッ…−




「…痛てて」

「あ、大丈夫です…恭也さん!」


映司がぶつかった人物は なのはの兄、恭也だった。
映司は急いで身を起こし、恭也に手を差し伸べた。


「あはは、すいません恭也さん!そういえば昔 なのはちゃんにもこんな感じでぶつかったことあったなぁ…」

「は…はぁ…」






だが、恭也の様子がおかしい。




「すまない、前に一度お会いしたことがあっただろうか?」

「…へ?」


そのまま恭也は身を起こし、映司にまるで初対面の人と話すように話し始めた。
…いや、恭也にとってはまさにその通りだった。


「いや、前に会ったことがあるなら謝ろう。…ふぅむ、俺の妹の名前を知っているということはもしかして なのはの友達か?…悪いな、最近物忘れが激しいようだ…」


恭也は申し訳なさそうに映司に謝った。
だが、映司には今、一体なにが起きているのか検討がつかなかった。


「…い、いえ!すいません人違いでした!!」

「ん?お、おい!!」


映司はそのまま翠屋まで全力疾走で走った。
…なにか、自分が知らない間に何かが起きているのだろうか!?

そして映司は翠屋のドアを思いきり開けて、中で食器を洗っていた士郎と桃子に大声で謝罪した!!


「すいません!!今まで連絡つかないで!!…その、許してください!!!!」


翠屋に映司の大声が響き渡った。
だが…




「ん?…君…」

「…え…士郎…さん?」


「どこかで…俺と一緒に仕事したことがあるかい?」




映司は声を出すことができなかった。
…これはドッキリではないだろうか?


いや、違う…









本当に…忘れられている。







「いやすまないな。俺は覚えていないんだが、君とは何度も一緒に仕事をした気がするんだ。桃子、覚えているかい?」

「え…えっと…、…ごめんなさい、私も士郎さんと一緒で…」








なんで?