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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第12部 前編

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昔を思い出すからだ。
あんな思い、もう二度としたくない…。


…だが、ここで矛盾点が現れた。

だったら、何故自分は早くここから出ていかない?
何故、自分はここに居座っているのだろうか?

出ていこうと思えば、いつでも出て行くことができた。
先ほど外に出た時、そのまま逃げ出す事だってできた。

しかし、自分はここに居る。

自分は…ここに居ることを望んでいるのだろうか?
これを言葉でなんて表すだろうか…。

そうだ。

忘れていた。




(欲…望……)


欲望。
生きるもの全てが持つ呪いのようなもの。
生き物は欲望を持つことによって誕生し、欲望を持つことによって日々生活し、欲望を持つことによって終焉を見ることができる。


(俺は…グリード…欲望の塊…欲しいものは手に入れる…)
「完全に…忘れてたなぁ……」

「え?何か言いました?アンクさん」

「いや、なんでもない。気にするな」


少し、自分を取り戻せた気がした。
このガキ達と一緒にいる時間が、俺を生き返らせてくれる。

また、新たな生活を欲している。

そうだ…。
俺はいつまで過去に囚われているんだ?

前を歩け。
無くなっちまったもんは無いんだ。

また、新たな欲望を作れば良い。

俺は欲し続ければ良い。











俺は、またやり直せば良い。








「ヴィヴィオ~、皿出して欲しいんだけど…」

「…これか?」

「え、アンク?」


フェイトの横にアンクが立っていた。
その右手には大人の平手サイズの円形の白い皿があった。


「うん、ちょうど良いかな」

「わかった、並べてくる」

「………ふふっ…」


フェイトは突然のアンクの行動を見て、思わず口元を緩めてしまった。
ただ、嬉しかったのだ。


「私たち、結局何もしなかったんだけどな」

「フェイトママ、私も何か手伝う!!」

「うん、わかったよ!」






………





「…ピクニックだと?」

「うん、私とアンク、ヴィヴィオと なのは …それにユーノの5人で!」


昼食を食べていた時、フェイトから提案が出された。
ヴィヴィオは案の定、すでに乗り気でクリスとなにか話しあっていた。


「おいおい、仕事は大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ、そのために皆には明日オフにしておいてねって言っておいたから!」

「…随分無理やりだな……」


いや、待てよ。
いくらなんでも不自然すぎる…。


「フェイトママ~!リオとコロナと…それにアインハルトさん呼んじゃだめかな!?」

「っ!…ご、ごめんねヴィヴィオ!!明日は私たちだけで行こう!ね?」


…おかしいな。
こいつの性格なら絶対にOK出すに決まっているんだが…。


…あのフェレットも一緒?


なんであのフェレットが…。
いや、ちょっと待て…!!そうか、そういうことか…。






「おい、他人よりちょっとは自分の身を気にした方が良いんじゃないか?」

「え…」

「まぁ、お前の『ピクニック』に付き合ってやる!なんだか面白そうだしなぁ…」

「…ばれちゃったか…」

「フェイトママ、なにか言った?」

「うぅん、なんでもないよ!」






………


翌日、昨日に続き、空は快晴で雲ひとつない。
家の前にはフェイトの黒いミニバンがエンジンをかけながら停車していた。


「今日は良い天気ですね!ユーノさん!!」

「そうだね!…ほら、ヴィヴィオ。ちゃんと帽子かぶらないと飛ばされちゃうよ」

「あ…すいません、ユーノさん!」


(フェレット…)

アンクはいつも通りの格好で外に出ていた。
アンクの横にはすっかり大人に成長したユーノ・スクライアが立っていた。


(ちょっとは逞しくなったんじゃねぇか…)

「あ、僕ユーノ・スクライアって言います!よろしくお願いします!」

「あぁ、アンクだ」


軽い挨拶をし終わると、家の中から なのはが慌てて出てきた。
どうやら、化粧と衣服の選択に戸惑っていたらしい。


「ごめんなさい!皆、待った?」

「うぅん、僕は全然…て……」

「ほう…変わるもんだな…」


ユーノは今の なのは の姿を見て言葉を失ってしまった。
白いワンピースを漂わせ、薄い化粧をしている。

それでも、まるでモデルのようなプロポーション、顔立ちのお陰で普段以上の色気を出していた。


「ゆ、ユーノくんどうしたの?…あ、やっぱり変…」

「ち、違うよ!!そ、その…あの…」

「え…なに?」

「い…えっと…綺麗…だよ…とっても…」

「っ!!…にゃはは…」


(このヘタレフェレット…)
「さて、それじゃあ行くとするか」

「うん、そうだね!!」


フェイトは運転席、アンクは助手席へと座り、なのは、ヴィヴィオ、ユーノは3人仲良く真ん中の席へと座り、車は目的地であるミッドチルダの郊外にある自然豊かな山へ向かい走り始めた。


「窓、開けるぞ」

「うん、いいよ」


アンクは窓を開け、肘をそこに置き外を眺めた。


「…これで、良いんだよな……」


また、一からやり直せば良い。
きっと、新しい人生が始まって、13年前の事だって今に昔の思い出になる。

映司…悪いな。
俺は、また新しいスタートを切らせてもらうからな…。







5人を乗せた車は、さらにスピードを上げ走っていった…。