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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第12部 前編

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リビングには静寂が訪れ、その場にはアンクとヴィヴィオのデバイス、セイグリッドハート…クリスだけが残った。

クリスは喋ることが出来ない為、空中でふわふわと漂いながらアンクの膝上へと降りた。


「…あいつらは、いつもあんな感じなのか?」


クリスは必死に頭を縦にコクコクと振った。


「…そうか…。お前はこの家族と暮らせて…幸せか?」


再び、クリスが必死に頭を縦に振った。


「そうかぁ…。お前は幸せもんだな…」


俺も、そんな時期があった。
最初は乗り気じゃなかったが、いつの間にか家族の一員になっていたことに、俺は幸福を感じていた。

だが、結局…最終的に俺は一人になった。
繋がりが消えた…。


「………」
クリスが悲しそうな表情を掲げ、その小さな手でアンクの頭を撫でた。
アンクはそのまま、そのソファで寝ることにした…。




………










「おはよ~ございますっ!!!!」

「………」


寝起きは最悪だった。
俺はあの後本当にソファで寝てしまい、無理な体勢で寝たため、身体の至るところが痛い。
おまけに、ヴィヴィオに無理やり起こされたため、気分がすこぶる悪い。


アンクは頭をわしゃわしゃとかきながらそのままソファに座り、壁にかけてあった時計を見た。時刻はちょうだ午前9時を過ぎた時間帯で一般人なら仕事が始まるぐらいの時間帯である。
しかし、今日は学校が休みなのだろうか、ヴィヴィオはこの時間帯でも私服だった。


「お前、学校は?」

「今日は振替休日で休みなんですよっ!!ふふっ!今日はアンクさんとい~っぱい遊べますね!!」

「…はぁ……」


アンクはため息をしたあと、辺りを見回した。
なのは とフェイトの姿が見当たらず、どうやら家の中には自分とヴィヴィオの2人だけらしい。


「なのはママは教導隊のお仕事で朝早く出掛けちゃいました!でも、フェイトママはお昼で帰ってくるって!!」

「そうか…」


アンクはソファから立ち、キッチンへと向かった。
ヴィヴィオはアンクに興味津々なのか、アンクの後を追いかけていった。


「…クソ、アイスはないのか…」

「…?もしかしてアンクさん、アイスお好きなんですか!?ふふっ!その見た目でアイスが好きって可愛いですね!!」

「うるせぇなぁ…はぁ…」


アンクは今までフェイトやユーノのように年相応でない性格の子供しか接したことがなかったため、ヴィヴィオのような純粋な子供との絡み方に少々戸惑っていた。
…いや、本来なら逆なのだが。

アンクはそのままキッチンから玄関に移動し、外にでる準備をし始めた。


「あれ?アンクさん、どこかにでかけるんですか?」

「あぁ、コンビニでアイス買ってくる」

「え~、私も行きたいです!!」

「あぁ!!?俺は子供のお守りは御免だ!!」

「迷惑かけないし、おねだりとかしませんからぁ!!お願いします!!」

「……はぁ…」


結局、アンクはヴィヴィオとクリスを連れてコンビニへと歩いて行くことにした。
今日は快晴で、太陽から放たれる光が眠気覚ましには丁度良かった。

ヴィヴィオとクリスはアンクの前を駆け回りながら先へと進み、アンクはポケットに手を入れてヴィヴィオ達の後を歩いていた。


「…たしかこの近くに…おっと、ここか……おいガキ、どこまで行く気だ?」

「へあぁ!!?すみませんアンクさん!!」


コンビニの前を通り過ぎたヴィヴィオとクリスがアンクの元へとかけ戻り、3人一緒にコンビニの中へと入った。


「アイス…アイス…あぁ?」


アイスが置いてあるコーナーに辿り着くと、そこにはヴィヴィオよりやや小さな男の子とその母親がなにやらもめていた。


「やだぁ~!!!!アイス食べたい!!買ってよママ~!!!!」

「ダメよ!!昨日買ってあげたじゃない!!今日は無し!!」

「いやだぁ!!!!食べたい!!買って買ってぇ!!!!」

「駄目ったら駄目!!!!」




「…チッ……」
うるさい…早くそこをどけろ。




「嫌だぁ!!!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!」

「いくら泣いたってダメだからね!!!!」




「あぁ、あの子泣いちゃった…、ん?どうしたの、アンクさん…」



「………」
うるさい…うるさい、うるさい!!!!




「びえぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!」

「あぁもう!この子ったら…」

「びえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!!!!」





「うるせぇんだよッ!!!!このクソガキぃッ!!!!!!!!少しは周りの迷惑考えやがれ!!!!」

「ひッ…」


コンビニに、アンクの罵声が響き渡った。
泣いていた子供は突然の事で泣き止み、母親はすぐにその子供を抱えてコンビニから出ていった。
ヴィヴィオは口元に手を移し、クリスはヴィヴィオの肩に隠れて震えていた。


「…行くぞ…」

「…うん」


アンクはアイスを買わず、そのままヴィヴィオとクリスを引き連れ、コンビニから出て行った。




「………」

「あの…その、アンクさん…?」

「…なんだ…」

「さっきのは、いくらなんでも…その…」

「………」



――――



−やだ…−

−悪い−

−やだ…やだよ!アンク、これからも一緒に生活しようよ!!−

−…悪い−

−そ、そんな!!やだ!!絶対やだ!!!!やだやだッ!!!!−



――――


(…クソ……)
「…そうだな…さっきは、…やりすぎた…」

「わ、…わかってくれれば良いんです!はい…」


ヴィヴィオはアンクに右手を差し出した。


「なのはママが言ってました!!悪い事したら反省のための握手だって!!」

「…あ、あぁ……」


……ッ!!

















−手をつなごう?アンク−



















「…悪い、俺は…誰とも手を繋がない…」

「…え、そうですか…。嫌なら良いんです!!反省もしてることだし…家に帰りましょう!?」

「あぁ、そうだな…」


先ほどのヴィヴィオの姿に、フェイトの姿が重なってしまい、アンクはヴィヴィオとの握手を拒んだ。
3人はそのまま、自分たちの家へと帰って行った…。




………



「ただいまぁ~!…って、あれ?」

「どうした?」

「フェイトママ帰ってきてる!!フェイトママ~!!!!」


ヴィヴィオはどたどたと足音を立てて中へと走っていった。
アンクは歩くスピードを変えることなく、ゆっくりとリビングへ入った。


「あ、お帰りアンク」

「あぁ」


フェイトがエプロンを身につけ、昼食を作っていた。
どうやら仕事が早く終わったらしい。


「すぐできるからちょっと待っててね」

「まだ早いだろ、昼まで数十分はあるぞ」

「そう?…ヴィヴィオ、うちって他の家よりお昼早いのかな?」

「うぅ~ん…ちょっと早い気がする!」


そんな他愛のない話をしながらアンクはソファに座り、リモコンのスイッチを押してテレビを起動した。

こんな生活、本当に久しぶりだった。
できれば、二度と体験したくなかった生活。