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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第12部 前編

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肌寒い風が、身体に当たる。
まばゆい光が解き放たれ、俺は目を瞑ってしまった。
だが、その光は一瞬だったようで、今は何も感じない。
俺は少しずつ、目を開けた…。


「…!…ここは…」


アンクは機動6課の屋上に立っていた。
しかも、自分たちが旅立った場所と全く同じところに立っている。
アンクはミッドチルダに戻ってきたのだ。


「…一体、どうなってやがる…」









「…アンクちゃん?」


アンクは声が聞こえた方向に身を傾けた。
そこには、シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、リィンフォースⅡが息を切らしながらその場に立っていた。


「おい、俺たちが旅立って一体どれほどの時間が経ったんだ?」

「なに言っているんですか!!映司さんの事聞いてリィン達は急いでここに来たんですよ!!?」


なんだと?
と、いうことは…
あれから時間は、経っていないのか?

だが、そんなことよりアンクは右手に握られていたものを思い出し、すぐさま はやて が寝ている病室へと走り出した!!


「お、おいアンク!!えい…」

「んなことまだ良いだろっ!!先にあの女が先だ!!」


アンクはシグナムの質問を流し、隊舎の中へ入り、階段を駆け下り、はやて が寝ている病室内へと入った。


「…はぁ…はぁ…このメダルを…夜天の書に入れればいいんだろぉ…」


アンクは金色に輝くメダルを夜天の書にかざした。
その瞬間、夜天の書は輝きを放ち、メダルは吸収されてしまった。

ちょうどその時、アンクの後を追ってやってきたヴォルケンリッター達が病室内へとやってきた。


「はぁ…はぁ…アンク、一体何を…」

「…っ!!?…うそ…一体どういうこと?」


シャマルは はやて と夜天の書に繋がられているパソコンのデータの異変に気がつき、すぐさま椅子に座り、キーボードを打ち始めた。


「…シャマル…一体どうしたと言うのだ?」

「夜天の書のバグが…とんでもないスピードで消えてる!!」






「どうやら…間に合ったらしいな…」

















光が…見える。

あの光をたどれば…私は起きれるんか?



…映司くん…





…映司くんは…





















「…みん…な?」

「は……はやて…はやてぇぇぇぇぇ!!!!」


はやて が虚ろな状態でその瞼を開いた。
ヴィータは自分の感情を抑えきれず、寝ていた はやて に抱きついた。


「主はやて!!だ、大丈夫ですか!!?」

「う…うん…まだ、しんどいけど…皆、心配させてすまんなぁ…」


はやて はゆっくりと身を起こした。
そして、辺りを見渡して、一人の人物がその場にいないことに気がついた。


「あれ…アンク…映司くんは…どこや?」


その言葉を聞いたシグナム達も咄嗟にアンクに振り向いた。
だが、アンクは力の抜けた表情で、はやて にその重い口を開いた。



「映司は……










消滅した」








−056話 解隊式と消された記憶と流れる時間−








あれから、5日経った。
機動六課の解隊式は無事行われ、今は桜並木の元で、隊長陣とフォワード達で最後の模擬戦が行われようとしている。
私は はやてちゃんと一緒にこれから模擬戦が行われる場所へ歩いている途中だった。

映司くんが消滅した話をアンクさんから聞いた時は、その場にいた者達それぞれの反応をしていた。
泣き出す子もいれば、悲痛な表情を浮かべてただ、下を向く人。

だけど、なぜ消滅したのか…という理由だけは聞くことができなかった。



「ふふっ!最後の最後で模擬戦なんて、なのはちゃん良く考えたなぁ!!」

「うぅん、本当はスバル達が言い出したんだよ!もちろん私もそのつもりだったんだけどね!!」

「でも、私たちってもっと女の子みたいなこと思いつかないって、なんだか悲しいわぁ」

「にゃはは!まぁこれが機動六課だから!!」

「まぁ…私たちはこれが私達らしいというか…なぁ!?はははっ!!」


なのは は はやて の顔を見つめた。
見た感じでは、その表情は笑顔だ…。
だが、本当は…辛いのだろう。


………


「映司君が消滅って…一体なにがあったんや?」

「悪いな、あまり詳しい話はできない…」


はやて が目覚めた次の日の朝、はやて は歩けるまで回復していた。
夜天の書は確認の為、シャマルやシャーリー達が解析を進めている状態で、今は手元にはない。


「映司が…消えた…そんな…なんでだよ…なんでだよ!!」

「本当に…馬鹿な奴だ。他人の為に自分が消えるなんてな」

「アンク、映司は…もう…」

「あぁ、残念だがもう俺達の前に現れることはねぇだろうな」


ヴィータとシグナムの質問を軽く流した。
正直、どうでもよかった。
どんなに考えても、映司が消えた事実は変わらない。


「う…ひぐっ…そんな…映司さん…」

「リィンフォース…落ち着け」


とうとうリィンフォースⅡが耐え切れず、ザフィーラの胸元に抱きつき、泣き始めてしまった。

(あの馬鹿…残される側の事を考えろってんだ…)

「皆…映司くんが消えたって…本当に信じてるんか?」


その場に はやての声が響き渡った。
その言葉にアンクの肩が少し反応し、はやて を睨みつけた。


「で、でも…はやて…映司は…」

「うん、ヴィータ。今は確かに 映司くんは消滅してしまったかもしれへん…けどな…」


はやて の顔には涙は一切なかった。
それどころか、皆の気を取り戻そうと、はやて は笑っていた。


「映司くんは、約束を破るような人じゃないことぐらい…皆知っとるやろ?な!?」

「…やめろ…」

「だから、信じるんや!!きっと、時間が経てば、映司くんはきっと私達の元へ帰ってくるはずや!!」

「やめろって言っているだろ…」

「私は信じる!!絶対に、映司くんは私達の元に帰ってきてくれる!!」

「止めろっていってんだろぉがぁぁぁぁッ!!!!」


アンクは はやての言葉に耐え切れず、とうとう身を乗り出してしまった。
アンクは はやて の胸ぐらを掴み、自分の元へと引き寄せた!


「いい加減にしやがれ!!映司はもう消えちまったんだ!!いくら信じても…」

「いい加減にするのはアンクや!!!!」


再び はやて の声がその場に響きわたった。
突然のことでアンクは思わず はやて の胸ぐらを離し、数歩後ろへ下がった。


「アンク…映司くんはなぁ…ずっとアンクが自分の元へ帰ってくるって信じてたんよ!?どんなに望みが無くても…映司くんはずっとアンクが自分の元へ帰ってくるって…ずっと信じてた!!なら…アンクも映司くんの事信じてあげてな!!」

「な…あ…」

「な?…だから、アンク…」


はやて はアンクの手を握った。
そして、アンクの苛立ちを解すように はやて は先ほどと打って変わって満面な微笑みでアンクの目を見つめた。


「一緒に…映司くんが帰ってくるの…待とう?」

「……お前…」

「な?…アンク…」


アンクは力が抜けたようにその場に立ち尽くした。