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エイプリルフールに対する理解【静帝】

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「いいね。シズちゃんがキレたら『短気な男とは別れます』だね。うんうん」

どうしてか別れ話になっていたが嘘なのだからいいかもしれない。
朝にやってしまった二番煎じだ。
時間を見てこのあたりで話を切り上げないといけないと帝人は立ち上がる。
どどどど、と聞き覚えのある突進音。
蹴り飛ばされた玄関の扉。

「無事か、帝人!!!!」

誰かなど確認する前に分かる。
静雄以外にいない。

「ノミ蟲が拷問器具を買い揃えたって」

帝人を抱きしめて身体を確認する静雄。
臨也は集中する視線の圧力に身を引いた。

「臨也さん……嘘を吐いたっていう嘘を吐くのは最低ですよ」
「え? 違う、違うよ。本当に違うよ」
「うるせぇ!! この犯罪者が!!! 帝人に何するつもりだったんだ、死ねっ」
「何もしてないなら犯罪者じゃないだろ、シズちゃんの馬鹿」
「静雄さんはそれを誰に聞きました? 僕がここにいることも含めて」
「あ? 黒髪の……どっかで見たことあるような女」
「スーツ似合いそうな美脚さんかしら? クールな美人秘書系な」
「よく分からねえが、そうかもな」
「波江さん……張間美香と弟がとうとう一線を越えたねって嘘吐いたのを根に持って」
「臨也さんの嘘の吐き方、最悪ですよ」

臨也に嘘を吐かれた波江が静雄に嘘を吐いたのだろう。
この嘘の連鎖こそがエイプリルフールなのだろうか。

「帝人君がシズちゃんのこと好きだってー」
「はあ? 当然だろ」
「エイプリルフールの嘘ですー」
「なにを訳わかんないこと言ってんだ。狂ってんのか?」

一蹴されて臨也は不機嫌そうな表情になる。

「みかプーがイザイザのこと好きだって言ったら」
「嘘だな」
「みかプーが私のこと好きだって言ったら」
「本当だな」
「みかプーがシズちゃんより私を」
「嘘だな」

狩沢が言い切る前に静雄は断定する。

「お前らは急に何を嘘大会を始めてんだ?」
「揃って泥棒ごっこの真っ最中です」
「そっか。巻き込まれない内に帰るぞ、帝人」
「ちょっと帝人君が一番の大嘘吐きじゃないか」
「…………僕が大嘘吐きの大泥棒だったら静雄さんは嫌になっちゃいますか?」

これは嘘を吐かれたくはない問いかけだ。

(あれ? 僕は静雄さんに嘘吐かれたことあったっけ?)

結果的に約束が破られることがあっても静雄が意図的に嘘を吐いたことはない。
そうなるとエイプリルフールだからと言って朝に嘘を吐くことも考えられない。

(そうなるとやっぱり、あれって)

考え込む帝人の頭を静雄は撫でた。
子ども扱いされているようで少しだけ拗ねたい気持ちとくすぐったさ。

「お前の嘘は俺が本当に変えてやる。……あとな、お前が大泥棒なことは最初っから知ってる」

いつの間にか帝人は泥棒だったらしい。
何かをとってしまった記憶はない。

(静雄さんのプリンを黙って食べたことは……あるけど、ちゃんと買い足してバレないようにした)

実は気付かれていたのだろうか。
何も考えていないように見えて、しっかり見ているような静雄に少し気まずい。

「俺の心を盗んだ大泥棒だろ」
「……それは極悪人ですね」
「お互い様なら無罪だな」
「静雄さん、大好きです」

抱きついたらキスされた。
臨也から「これこそ嘘にして欲しいんだけど」と苦情が聞こえたが知ったことではない。
波江の復讐は自宅兼事務所の扉が壊されることなどではなく、
二人が揃うことで周りにおよぼす精神的な攻撃なのだろう。






手を繋いで歩きながら静雄を怒らせようとしていた自分の小ささを知った気分だ。
帝人が謝ってみるも静雄は何を謝られているのか分からないといった反応。
人間としての器が違う。

「静雄さん、朝の……あれは」
「そうだ、流されちまったよな。俺は傷ついた」

視線をそらしながら言う静雄に帝人は驚いて足を止める。
単刀直入にちゃんと聞くべきだったのだ。
急にどうして言い出したのかは分からなかったが静雄は真剣だった。
酷いことをしてしまったのだ。

「ごめんなさい」

自分がもし真剣な告白をして誤魔化されたらきっとショックを受けたに違いない。
どうして真面目に考えなかったのか帝人は後悔して自分を恥じた。
見れば静雄の肩が震えていた。

「静雄さん、僕のこと嫌いになっちゃいました?」
「いいや。大好きだ。ヤバいぐらいに好きでヤバい」

帝人と繋いでない手をぐるぐると回す静雄。
ヤバい、ヤバいと繰り返す静雄に「怒ってます?」と聞けば「嬉しすぎてヤバい」と返された。
よく見れば静雄の口元は緩んでいる。

「そんな心配するな。全然、傷ついてねえ。嘘だ嘘。今日はいっぱい嘘吐かれたから俺も嘘を吐いてみた」
「嘘なんですか? 朝の告白も?」
「アレが嘘なわけねえだろ。……流されちまっても別に傷つかねえ。今更の話だもんな」

すでに同棲している帝人に対して付き合ってくれと言ったところで流されてしまうのは仕方がない。
真面目にとりあう話ではない。

「でも、今日に言いたかったんだ」
「どうしてですか?」
「今日って告白する日なんだろ? だからな」

得意げに言う静雄に誰に嘘を吹き込まれたのかと聞きたくなったが帝人は「そうですか」とだけ返す。

「お前も罪を告白してすっきりしたか? なんか色々考えてただろ」
「そうですね。好きです。静雄さんが大好きだって考えてました」

笑い合いながら二人は吹く風のあたたかさに春を感じた。
エイプリルフール、四月一日の午前中は嘘を吐いてもいいと言われているが、
別に嘘を吐かなくたっていいのだ。

「桜餅でも食べましょうか」
「幽がなんか昼飯おごってくれるってよ」
「それは悪いことしちゃいましたね」
「何がだ? 嘘を吐いたアイツが悪いだろ」
「……静雄さんにはエイプリルフールがなんなのか説明しないといけませんね」

大混乱な非日常の狭間のゆるやかに過ぎる日常風景。
悪いどころか気持ちがいいと帝人は幸せを噛み締めた。