のび太のBIOHAZARD『THE NIGHTMARE』
「ジャイアンか?今は下で探索をしている最中だと思うけど。」
「成る程。・・・・・・・・・・・あ、そうだ。ここにもピアノがあるんだけど、また『月光』を弾くとこかな?」
「ああ、その問題なら解決したぜ。これを見てくれ。」
と言って、健治は何かの手紙みたいなものを出した。
「何これ?」
「まあ見てみろよ。」
するとのび太は封筒から便箋を出して読みはじめた。そこにはこう書いてあった。
『〜ある研究員の伝言〜
事故のせいでこの旅館は一瞬にして地獄と化した。奴らは生きるために食べることだけを考え、行動している。私の仲間も何人も殺され、奴らの仲間となった。
すぐ後ろで扉を叩く音がする。私の人生も後僅かだ。だがこのまま死んでは何も残るまい。パズル好きな私はある面白いパズルを作ってみた。
この研究所の真実を知ろうとする者達が必ず現れると思う。勿論、迷い込み、脱出を目指している生存者達もこれを是非解いて欲しいと思う。
パズルの内容はいたって簡単。今から私が隠した金庫のナンバーの一部がある場所を言う。君達はそれを探してくれればいいだけだ。
金庫の中身はこの旅館の鍵を入れておいた。その鍵が無いと研究の真相を掴む事は出来ないし、脱出の術も無くなるだろう。それでは問題を言おう。
金庫ナンバーの隠し場所。
1.酸素の多い箱の裏。
2.演奏会の常連客のポケット。
3.空の無い黒と白の裏。
1〜3の順に金庫のナンバーを入れればそれで開くはずだ。私はこの伝言を書き終えたらこのパズルで悩む者達の顔を目に浮かべながら、人生の幕を閉じよう。』
「・・・・・・・・・・・・・・・・この謎掛けは解けたの?」
「・・・・・・・解けたというか何というか、まあ例の如くジャイアンがだな・・・。」
「ああ、金庫を破壊したってことね。」
「ああ。だが3つの中の1つは解けたぞ。」
「ん、どれ?」
「この3つめのやつだ。『空の無い黒と白の裏』と書かれているだろ。これは多分ピアノのソとラの音階の鍵盤が壊れているという事だと思う。」
と言うと健治はピアノの蓋を開き、ソとラの音階の鍵盤を確認した。
「思った通りだ。ソとラの音階の鍵盤が無くなっている。んで、その裏って事は・・・・。」
と言って健治はピアノの裏に回り込んだ。すると、何かを見つけた。
「ほら、思った通りだ。裏に解錠コードの一部が書かれた紙があった。」
と言い、ピアノの裏に貼り付けられていた1つの紙をのび太に見せた。それには『ナンバー3 [1]』と書かれていた。
「成る程ね。」
と、のび太が言った。
「因(ちな)みに金庫の中に入っていたのは『大広間』と書かれている鍵だ。俺は太郎を連れて大広間を探索する。のび太はこの辺りの客室と大広間の手前の所を探索してくれ。」
「ん?そこは探索したんじゃなかったのか?」
「一応したが、先刻(さっき)も言った通り大雑把に探索しただけだから見逃してる所もあるかもしれない。それに大広間の手前の所には電子ロックが掛かっている部屋があるんだ。」
「電子ロックが掛かっている部屋!?旅館にそんなセキュリティが必要なのか!」
「まあな。この旅館も結構怪しいぜ。相当古く見える反面、最近まで使っていた形跡があるし、旅館にしては客室が少な過ぎる。しかも2階までしかなく、見取り図を見たところ食堂も無い。おかしいと思わないか?」
と健治が言うと、のび太は見取り図を取り出して、それをじっくり見た。
「・・・・・・・・・・・・・・・・確かにおかしいな。・・・・・それと健治。電子ロックが掛かっている部屋ってのはこの酒蔵の事か?」
と言ってのび太は酒蔵と書かれている部屋を指し示した。
「ああそうだ。だが酒蔵といえども調べる価値は充分にあるだろう。この旅館自体もかなり怪しいからな。」
「ああ。」
「じゃあ俺は大広間を探索してくる。のび太は先刻言った所を探索してくれ。」
「わかった。」
と言うと、のび太と健治はそれぞれの探索場所に行った。
作品名:のび太のBIOHAZARD『THE NIGHTMARE』 作家名:MONDOERA