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嘘であれ

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相変わらずごった返した会議もひと段落ついて、昼食をとるためにルートヴィッヒは会議室を出る。つまった息を吐き出して丁字路をぬける。人影がみえて少し身構えたが、よく見るとカークランドだった。待ち構えていたようににやにやと口元をゆがめてみせる。おれは知らんと頭のなかで取り繕って目を伏せたままその前を通り過ぎようとしたところで引きとめられた。だいたいおれはこの男と数回しか話したことはないしそのときだってこいつの一方的なものをおれがあしらったくらいでこいつに気にいられるような真似をしたおぼえもないはずなのに、おれはどうしてこの男にちょっかいを出されねばならんのだと思いながら、ルートヴィッヒは極力話を早く済ませるためにまた精いっぱい眉尻をさげていた。しかし視線を合わせた先のおとこのかおはもう随分かんじが違っている。すっかりいつもの顔である。おいルートヴィッヒ。声の調子すら違う。ルートヴィッヒは一歩後ずさりするけれども対するおとこは一歩近づいてきて逃げ場所をうしなってしまう。な、なんだ、なにか用でも?踵がうしろの壁に当たっておもわず背筋が伸びた。それでもなお近づいてくる男のまとう雰囲気は異様である。会議室のほうから漏れる声が遠くなるのと同時に、どんと壁に片手を張り付けられる。おとこのあまった片手は逃げ道をふさぐように壁に寄越されていた。とうとう後ろにも横にもにげられなくなってルートヴィッヒは青くなる。おい、エイプリルフールにしてはやりすぎじゃないか。しぼりだした声は震えている。やはり額に今日はなんの日か知っていますと貼り紙でもしておくべきだったと考えている。こんなことになるくらいならいっときの恥をこうむるほうが随分ましだ。そろりと見下げたおとこの目はすわっていて、おもわず視線がおよいでしまう。エイプリルフールは終わったぜ。にたりと笑う男の顔が近くなる。嘘を吐いていいのは午前中だけだ。そういえばもうとっくに正午を過ぎていることをぼんやりと思い出したが、そんなことはどうでもよくって、とりあえずこの場を脱して昼食をとることが先決である。しかし身体がかたくなって動けぬ。緩慢にちかづいてくる男の顔から逃げるように横を向いた。それを片手で制されて、きっとこのおとこの気が済むまで、ここを脱することはかなわぬのだと悟る。おれずっとお前を見てたんだ。やめろ、聞きたくない、と思うのに、片手では耳をふさぐことさえできない。あいた片手でいっそこの男のどてっぱらに一発寄越してやりたい。それなのに身体は思うように言うことを聞かなかった。まるで蛇ににらまれた蛙である。好きだ。ちかづいてくるカークランドのくちびるが声もなく動いて今日は嘘をつく日だだからきっとこれも嘘だ嘘であれとおもったのもつかのま、ルートヴィッヒは反駁のこえをあげることもままならない。


嘘であれ (20120403 / 英→独 )
エイプリルフールに寄す


作品名:嘘であれ 作家名:高橋