My Heart
「そうだな、咲をとられたら、俺、動けなくなっちまうぜ」
滝沢は冗談めかして翔へ牽制した。
「ふん・・・・俺は・・・・」
「お待たせ!滝沢くん、翔くん!」
そのとき、咲が飲み物を持ってベランダへ戻ってきた。
「はい、滝沢くん、缶ビール!翔くんは、こっち、グレープフルーツジュースね!」
「ん?翔、お前、グレープフルーツジュースかよ?」
「滝沢くん、翔くんね、グレープフルーツジュース大好きなんだよ?私と同じなの!」
滝沢は無邪気にいう咲を見て、その後、済ました顔でジュースを飲んでいる翔を見た。
(こいつ、絶対、咲に合わせてるな。咲がグレープフルーツジュースが一番好きだと知って・・・)
滝沢は翔をにらみつけた。翔は済ました顔で、咲に笑いかけながらジュースをうまそうに飲んでいる。
(こいつ、やっぱり、油断ならねー)
そう心の中でつぶやいて、滝沢は咲の肩をこれみよがしに抱き寄せたのであった。