新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第11話
第11話 「同時多発襲来、再び」
デストリアンが再来して3ヶ月程の月日が流れ、季節も春になっていた。
3月下旬になろうとしていたが、去年末のC‐10とC‐11が襲来して以降、デストリアンの襲来は途絶えていた。
M.P.D.BRAVEの本部においては、これまでの事件のデータをまとめていた。
パソコンの画面上にこれまでのデストリアンの写真やデータ、残骸が映し出されている。
吉崎 「・・・・最も疑問なのが、何故地球外生命体が地下から現れるのか・・・。」
さらに出現地のデータを引っ張り出す吉崎。
何処も関東地区に集中していた。神奈川県、東京都、埼玉、千葉のいずれも十数年前同様に関東に集中している。
吉崎 「・・・・。」
データ検索した一部のポイントに吉崎は注目する。
ポイントβ。一番初めのデストリアンが駆逐されたポイントである。即ち、C‐01を駆逐する為の特殊兵器によって消滅した、八王子市北西部を示す。
そしてもう一つのポイント、最初のデストリアンの隕石が落下したポイントαは、あきる野市に存在する直径4kmに及ぶクレーターの事を指す。いや、クレーターというには大陥没地帯と呼ぶに相応しかった。
当時の自衛隊が開発した特殊兵器により、半径3kmが蒸発・消滅したポイントβ。いずれのエリアも、10年以上経過した今も特殊部隊によって封鎖されている。
吉崎は、これまでのデータとポイントを照合する。
吉崎 「・・・・なんともいえないケド・・・確かにこのポイントから手を伸ばすかのように出現している・・・・。」
自然のようであり、不自然。状況としては地球規模の問題であるはずだが、実害は日本の関東地区のみ確認されている。
吉崎 「うーん・・・・隊長も以前から睨んでいるし、まだ様子見だって言ってたな・・・。」
データ詮索中に突如としてスクランブル警報が出される。
ドック内で軽いメンテナンスを施されていたジェイデッカー達も、メンテナンスを中断せざるを得なくなる。
ジェイデッカー 『スクランブル?!!』
藤堂 「久々においでなすったようだな。」
スクランブル通信 「こちら警視庁!こちら警視庁!山梨県甲府市にデストリアン出現!!及び千葉県上空に隕石確認!!デストリアンの可能性あり!大至急現場へ急行されたし!繰り返す!山梨県甲府市・・・。」
吉崎 「ようやく現れたようね!!」
周囲をパトロールしていた、要と葉山にも通達が耳に入る。
要 「葉山!大至急もどるぞ!!」
葉山 「はい!!」
その間にケータイで舞人に連絡を取る要。
有事の時に連絡が取れやすくなるように、直接本人とケータイの番号を交換していたのだ。
要 「舞人!今どこにいる?!」
舞人 「旋風寺の本社にいる!!デストリアンだね?千葉上空の隕石をこちらでも確認している!!こっちは任せてくれ!!」
要 「ああ!任せたぞ!!」
3ヶ月の間に、クリーチャー及びハカイジュウと呼ばれていた地球外特殊生物は、エクスカイザーがデストリアンと呼称することを踏まえた要の意見により、警視庁の特別会議にて、デストリアンと正式に呼称することに統一されていた。
よって改定以降のデストリアンは、「D‐」と出現番号で呼称されることになった。尚、それ以前のデストリアンの呼称は、「C−」として区別される。
そして、更に警視庁はNASAと連携して衛星軌道上にデストリアンらしき隕石が確認された場合、ネットワークを通じて情報を提供するようになっていた。
マイトガインパドックでは、舞人とロコモライザーが出撃準備にかかっていた。
舞人 「ロコモライザー!!起動!!」
システムが起動し、マイトガインの超AIが全てのシステムをバックアップする。
舞人 「久しぶりの戦闘だ!!油断は禁物だぞ!!」
マイトガイン 『ああ!わかっている!!いくぞっ!!』
ゲートが開かれ、ロコモライザーが離陸していく。
M.P.D.BRAVEのチームもJトランスポーターで出撃する。
霧島 「では、現地に向かいます!!進路を山梨県、甲府市に設定!」
鹿島 「Jトランスポーター発進っ!!」
本部の滑走路を離陸していくJトランスポーター。
要 (実に久しぶりの出現だ・・・甲府市のものは地下から出現したと聞いた・・・やはり元凶は地下にあるというのか・・・?)
機内では、レイバーズが実に窮屈そうにしていた。
ガンレイバー 『くそ〜!やっぱ久々に入るとせまいなー!!』
ショットレイバー 『文句言うな。現地に着くまでの辛抱だ。』
Jトランスポーターに搭載されているJローダーとJバギー。その後部でJポリスが独り言を呟いた。
Jポリス 『実に3ヶ月ぶりだ・・・やつらは今だ解明されていないが、今は市民を守ることが先決だ!我々が被害を最小限に抑える他はない!!』
山梨県甲府市。デストリアン、D‐12が破壊行為を繰り広げる。
蛇のような長い首が生えたゴツイ筋肉質の緑色の肉体に、イモ蟲のような頭部。三本のカギ爪の両腕。強力な2本の脚。
着地と同時にあらゆる建造物が破壊され崩壊していく。
口からは、緑色の硫酸弾を吐きあらゆるモノを溶かす。
首を伸ばし、眼下を逃げ惑う人々を捕食し始めた。口に含まれた人間は硫酸に解かされ赤い泡と化す。
カギ爪で建造物をなぎ倒す・・・・・瞬く間に被害が拡大していく。
一方の千葉県幕張ベイエリア上空では隕石が爆発。D‐13が飛来し、幕張の高層ビルを破壊する。
カニの胴体から多毛の2本の脚が生えたような容姿のデストリアンだ。
土煙が巻き上がる中、両腕のハサミとエビのような尻尾をふりまわして幕張のビル群を破壊する。
瓦礫の下敷きになっていく人々。さらにはD‐13がたらす泡によって瓦礫やクルマ、人々がドロドロに解けていく・・・・。
桜ヶ丘。この日、勇士朗は蓮と共に、澪と律とで遊びに出かけて春休みを満喫していた。
無論この時点で勇士朗はデストリアンの襲来を感知していた。だが、更にもう一つの隕石がここ桜ヶ丘上空に迫っていることに気づく。
澪 「勇士朗君?どうかした?」
澪の問いかけに勇士朗は真剣な眼差しで答えた。
勇士朗 「またデストリアンが桜ヶ丘に来る・・・・・!!」
澪 「え?!また?!」
蓮 「マジか?!ここのとこ音沙汰なしだったじゃねーか!」
律がケータイのニュース情報にデストリアンの警戒宣言が出されているのを確認する。
律 「なんか千葉と山梨にも来たみたいだぜ!ほら!」
澪と蓮にケータイを見せる律。
澪 「また、あんあなことが・・・・!!」
澪の脳裏に過去二度に亘って遭遇したデストリアンがフラッシュバックする。以前のようにパニックにはならなかったが、嫌気な表情を浮かべる。
作品名:新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第11話 作家名:Kブレイヴ