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君と俺のプロジェクトX

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次の日、俺は二日酔いでがんがんする頭を抱えながら登校した。昨日はやっぱり
飲み過ぎたかと反省をしていると、友人のカダールが駆け寄って来た。

「おはよう、エツィオ。あれ、具合悪そうだね。二日酔い?」
「・・・まあな・・・」
「駄目だよ、気をつけないと。ところで、新しい教授が来るの知ってた?」
「・・・興味ないな」
「すごい人らしいよ、なんでも、工学と医学と芸術学でそれぞれ博士号を持ってるんだって」
「・・・そりゃすごいな」

適当に相づちを打ちながら、俺は心の中できっとそいつは頭の良さを鼻に掛ける、ヴィエリの
ような胸くそ悪いヤツに違いないと考えた。それか、アル・ムアリムのような気難しい爺かもしれない。

「工学部で授業を持つって言うから、僕たちも会えるかもね。・・・あ、授業始まるや。
エツィオは授業無いの?」
「ああ」
「じゃあ、またあとで!」

そう言いながらカダールは姿を消し、俺はこれからどうしようかと考えた。
何人かの女の子がこちらをちらちらと見ているが、シカトする。
遊ぶにはいい相手なのだが、恋をするには足りないのである。
ああ、そうだ。火遊び以上のもっと情熱的な恋愛をしたい。

血が、燃えるような。

「・・・あの、すいませんが・・・」

ぼんやりと俺が身体の中を流れるイタリア男の血について思考を巡らせていると、
金髪の男が声をかけて来た。トランクが二つに段ボール箱を三つ、台車に乗せて
構内案内図の前で途方に暮れている。

「工学部の校舎はどこでしょうか。道に迷ってしまったんですが・・・」
「工学部の校舎なら、ここを言って左に曲がって、それからまっすぐ・・・」
「申し訳ありませんが連れて行っていただけませんか?ここに来たばかりなので
まだ何も分からなくて」

仕方が無い。俺は台車の取っ手をつかんで押しながら歩き出した。

「あ!いや、そこまでしていただかなくても・・・!」
「重そうだからな。ところでこんなにたくさん、何が入っているんだ?」
「主に書類や部品ですね。もちろん、私の私物もいくつかありますが」
「・・・部品?」
「ええ!人一人乗せて手軽に飛べる小型飛行機を研究しているんです!」

目をきらきらさせて男は話しはじめた。それを見ながら、俺は一体この男は
何者だろうと思った。学生にしては老けすぎている。大学院生だろうか。

「そうか。実現できそうなのか?」
「必ず実現させますよ!これから試作機を作ろうとしているんです!」

自分の計画について語る彼の言葉は活き活きとしていて、なんだか新鮮な空気
に触れたように感じた。こんなにはつらつとした人間は、アルタイル兄貴が
マリクさんのことを追いかけるのを除けば、久しぶりに見た。
工学部の校舎についた。俺は彼に台車を返す。

「ここが工学部だ」
「ありがとうございます!よければコーヒーでもいかがですか?」
「・・・ありがたくいただこう」
「あ、自己紹介するのを忘れていましたね。私は今度この工学部で教鞭を執ることになった
レオナルドと言います」

・・・俺はただ驚いて言葉も無く彼を見つめていた。じゃあ、この男が新しい教授
なのか。・・・ずいぶんと若いな。

「飛び級で大学を出たので、普通より早く教授になったのですよ」

呆然とした俺の顔を見て、彼がふわりと笑って言った。その笑顔に、心がどきりと
音をたてる。・・・あれ?

「そうだ、よければあなたも手伝ってくれませんか?もちろん、バイト料は
出しますよ」

バイト代なんていらない。彼のそばにいることができればそれでいい。
そんなことを考えて、俺は動揺した。

あぁ、これが恋ってヤツか!

エツィオ・アウディトーレは、自分の恋心を生まれて初めて、自覚した。









作品名:君と俺のプロジェクトX 作家名:taikoyaki