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君の傍らに赤

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学校に機械音のチャイムが鳴り響き、各教室の時計が指し示すのは夕刻の四時。
三成は手際よくカバンに荷物をまとめると、ざわつく周囲の誰にも声をかけることなく席を立った。
部活動に所属していない三成は後はもう自宅に直行するだけの帰宅部生である。
そのまま教室のドアをくぐろうとしたところで、しかしその背を呼びとめる声がかかった。
止められているはずが、まるで背を押されたかのように圧力さえ感じる大声にピクリと片眉を撥ねさせて振り向く。
三成を呼び止めた張本人は何が楽しいのかニカリと顔面を輝かせると、まだ自分の席で立ったままの場所からやはり大声で、言葉を続けた。
「石田殿、某も共に帰宅してもよろしいかっ?」
わざわざ足を止めさせられたが、何てことはない。
一緒に帰りましょうの提案だった。
「……部活はどうした」
睨みつけるような眼光と低い声に、視線先の人物の周囲は気が弱い者だとまったく関係もないのにビクリと肩を揺らす。
しかし勝手に恐れられている鋭い視線は彼の気性そのままに真っ直ぐ、ただ一人大声の本人、真田幸村しか射抜いてはいない。
一見殺気すら感じそうな三成の態度に、しかし当の幸村はというと慣れた様子で動じることもなくハキハキと言葉を返した。
「今日は休みにござる!」
サッカー部に所属する幸村は毎日放課後はグラウンドへと直行し、いつも熱心に青春の汗とやらを流している。
それを知っていた三成は一応聞いてみただけで、幸村が休みだというのなら特に三成の側で問題はない。
短い逡巡の後、すっとドアの脇に退いた。
「さっさと支度しろ。刹那だけ待ってやる」
「応!」
まだ机の上にも中にも教科書やら筆記具を散らしたままの幸村は慌ただしくリュックサックの中にそれらを詰め込み始めた。


作品名:君の傍らに赤 作家名:イラクサ