君の傍らに赤
同様に幸村も不思議そうな目を向けてくるのを感じて、どう答えるべきか考えあぐねている佐助をよそに、赤いランドセルはくるりと反転、佐助の前から細く不安定そうな身体をその向こうに隠した。
赤い革の向こうで幼くも老獪な声が、佐助にはとても可愛いとは思えない上機嫌な音色を奏でる。
「三成、悪い友人とは付き合うてはならぬとあれほど口を酸っぱくして言うたであろ」
今にもケタケタと笑いだしそうな子どもを目線を合わせることもなく見下ろして、三成は憮然とした表情でいつものように不機嫌そうに応えた。
「そんなことまで貴様に指図されるいわれはないぞ、刑部」
そのやり取りを見て、ああと佐助は頭を抱えた。
あああ、神様すみませんごめんなさい、俺様が贅沢でした。
二歳差ぐらい何だ。
全然ましじゃないか、コレに比べたら。
頭を押さえる手の隙間から二人を見やれば、そこにはむすっとしつつも一応は従順に話を聞いている気難しそうな高校生と、小さい体でそれを見上げ何やらころころと言の葉を繰りだしている小学生の保護者がいた。