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ナシプの癒しの術

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「それで、これからどこへ行くんです?」
「この近くに私たちナシプ族の村があると思うんですけど、
知らないところにいつの間にか来ちゃってて…」
ナギは困ったような不思議そうな感じだった。
要は迷った、と。迷っていると思われる当人に自覚がなさそうに見えるのは気のせいだろうか。
「とにかく、向こうのほうに行ってみましょう!」
一応確認のために質問してみることにする。
「えーと、ナシプ族の人達ってナギさんと同じ感じなんですよね?」
「…?…そうだと思いますけど…?」
同じ感じ、というのは源魔力のことだ。
意味は正しく伝わらなかったようだが、おそらく「同じ感じ」なのだろう。
ここで問題なのは、この周囲に感じる魔力の位置とナギが進もうといっていた方向に
135度くらい間が開いていることだ。
「なんとなく何ですが、向こうのほうにナギさんと同じ感じがするので向こうに行きませんか?」
確信があるわけではなかった。
何しろ数メートル前に異常な魔力を出してる者がいるので、
普段より魔力を感じる感度が下がっているような気がした。
それでも方向の変更を提案したのは、135度違うのは流石にないと思うからだ。
「そうなんですか?では、そちらのほうに行ってみましょう!」
反対されることも無く、あっさり了承された。
俺がいなかったら、いろいろゲームオーバーだったんじゃないか、と突っ込みたいのは我慢した。
こうして、一度も足を踏み込んだことの無い村にナギをエスコートすることになった。
作品名:ナシプの癒しの術 作家名:unidenti