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新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第17話

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  第17話 「ストーカー・バスター」


  帰宅中の澪がエリザベスを背負いながら一人で歩いていた。

  澪 「はぁ・・・カフェで語らっていたらすっかり遅くなっちゃったな。ママ心配してるかな?」

  律とも別れて歩いていた一人の帰り道。その背後に人影がちらつく。

  澪 「・・・・!!」  

  何か気配を感じて後ろを振り返る澪。すると人影らしきものが電柱に隠れた瞬間を見てしまう。

  澪 (ひぃっ・・・何?!!)

  恐怖を覚え、早歩きで歩く澪。だが、後ろから何者かが近づいてくる気配を再び感じる。再び振り返ると、また電柱の陰に隠れていた。

  パーカーを来た不審人物と思わず目があってしまう。ニタリと嗤う男。恐怖の余り、澪はダッシュで逃げた。

  澪 「ひっ・・・!!!」

  男は立ち尽くしながら息をはぁはぁさせていた。




  それから2週間後の昼下がりの桜高。軽音部の部室ではいつものようにメンバーがティータイムをしていた。
  
  唯 「ふあー・・・あったかーい。やっぱ部室はいいよー・・・。」

  日の当たりがいいこの教室は実に居心地がいい空間だ。唯がへにゃーんと机にはりつく。

  さわ子も幸せそうにミルクティーをすする。さわ子にとって素の自分が出せる限られた空間でもあるのだ。

  さわ子 「はあ〜おちつくー。」

  律 「ああー・・・・・なんかやることねーかなー。」

  梓 「だったら練習しましょうよ・・・。」

  律 「そう言いつつケーキ食ってても説得力ないぜ?」

  梓 「う・・・食べたら練習するもん!ぷぅ〜。」

  先輩達がのほほんと過ごし、後輩がバンド練習を催促する。いつもの軽音部の光景である。

  傍らでは澪が歌詞作りに没頭していた。だが、つけられている事への不安を紛らわせているようにも見える。

  澪 「うーん・・・・・こんな感じか・・・。」

  紬 「どんな感じなの?」

  紬が澪の作った歌詞を覗く。最近紬が作曲した歌、「ハニー・スウィート・ティータイム」の歌詞作りをしていたのだ。

  紬 「・・・・・・。」

  澪 「もうちょっと変えたほうがいいかな・・・?」

  紬がほわーっとなってにこやかに答える。

  紬 「素敵・・・これでいきましょう!私の曲のイメージとぴったり!あとここのフレーズ繰り返すのもいいかも!」

  澪 「そ、そうか?じゃあ、そうしてみよっか!」

  梓 「楽譜はもうできているんですか?」

  そのやりとりを見ていた梓が会話に混ざった。紬は梓に楽譜を見せる。

  紬 「ええ、もうできているわよ。ほら!」

  梓 「わぁ・・・!じゃあ、早速演奏だけでもやりましょうよ!」

  澪 「そうだな。演奏だけでもやってみるか!他にも新曲作ったしな。」

  澪がそういうものの、唯と律はいつものように駄々をこねる。

  唯 「ええ〜眠いー。」

  律 「紅茶もっと飲みたいー。」

  梓 「先輩達!!」

  唯 「ひゃい!」

  律 「しゃーねーやるかー。」

  軽音部のグダグダ感は日常茶飯事だ。だが、彼女達が一度メロディーを奏でれば全てが結束することができるのだ。

  それぞれが持ち場の位置につくと試しに音を出す。

  律 「じゃーいくぞー。」

  律の合図と共に演奏が始まった。だが、楽器のみでの練習の為、歌はまだない。

  さわ子 「はあ〜・・・懐かしいな・・・。」

  その光景を見ながらさわ子は現役時代の頃を思い出していた。

  現役当時は桜高軽音部の黄金期ともいえる時代だった。

  懐かしさに浸っているとメールの着信がさわ子のケータイに入ってきた。

  さわ子 「だれだろ・・・・あ!誠人さん!」

  思わず口に誠人の名を出してしまうさわ子。

  それを聞きとった律が演奏をやめて問い詰める。

  律 「誠人サン?!え!?誰々??彼氏?!」

  律を筆頭にメンバーが次々とさわ子に詰め寄る。

  梓 「い、いつの間に・・・。」

  唯 「さわちゃん先生おめでとう!」

  紬 「ぜひ詳しく聞かせてください!」

  澪 「おいおい!まだ彼氏とも言ってないうちからだな・・・。」

  さわ子 「う・・・・・あなた達は練習してなさい!」




  練習が終わって、いつものように帰路に着くメンバー。だが、澪は例のストーカーの不安がピークに達していた。いかんせん様子が気になった律が切り出した。

  律 「どうしたんだ?澪?ここ2週間ばかり様子が変だぞ?」

  澪 「実はな・・・ここ2週間、ずっと変な男に後をつけられてるんだ・・・。」

  律 「へ?!まさかストーカーってやつか?!また曽我部先輩だったりして〜。」

  曽我部先輩とは、桜高に存在する秋山澪ファンクラブの第一人者たる卒業生の先輩である。

  この年の始め頃、澪にストーカーの視線を感じるという騒ぎが少々あった。その犯人がファンクラブの会長・曽我部恵だったのだ。

  結局は笑い話的なオチで、更には卒業する曽我部に澪が彼女にサプライズライヴを送ったのだ。デストリアンの事件から間もない時とあって、心がほっとする温かな話だった。

  だが、今回のストーカーは本格的な本物の犯罪だった。

  澪 「そんなんじゃないよ!!今回は本気でやばいんだよ!!

  律 「じゃあ、なんで2週間も誰にも言わなかったのさー。」

  澪 「だって・・・みんなに心配かけたくなかったから・・・。」

  律が澪の背後を気にする。するとパーカーを着た怪しげな男が電柱の影からこちらを窺っているのを確認できた。気のせいか薄ら笑いをしているようにも見える。

  律 「マジでそんな感じの奴がこっちを見てる・・・。」

  澪 「だろ?!」

  律 「ユーレイだったり・・・!」

  澪 「やめろよ!!どっちにしてもやだよ!!」

  律 「ほいほい・・・せめて私にだけでも早く言ってくれればよかったのに。それに、今じゃ勇士朗君達もいるじゃないか・・・。」

  澪 「・・・・勇士朗君・・・。」




  その日の帰り、さわ子は要に食事を誘われてさわ子が決めた待ち合わせの場所へと赴いていた。

  さわ子は立川から来る要の気を使って、少しでも立川寄りの場所で待ち合わせればと思ってあえて橋本駅のターミナルを選んだのだ。

  さわ子が、県境付近の橋本駅のターミナルで待ち合わせていると要がクルマでやってきた。

  プッとホーンで合図する要。

  さわ子 「あ!来た!」

  さわ子が助手席に乗り込むと、要は再び立川方面へと向かう。

  要 「さわ子さん、待たせた?」

  さわ子 「そんなことないわよ。私も来たばかりだから。」

  要 「ならよかった。今日は内の部署の近くにある美味しいお店に行こうと思ってるんだ。」

  さわ子 「いいわね!誠人さん、今日は誘ってくれてありがとう。」

  要 「こっちこそ・・・来てくれてありがとう!それに、わざわざこっちが近い方にまで出向いてもらっちゃって・・・。」