手の鳴る方へ
【手の鳴る方へ】
「冗長だ。その上、つまらぬ」
元アオバの国ブショーリーダー、モトナリがシデンの城の一室へと入ると、
元シデンの国ブショーリーダーであるギンチヨがモトナリの足下に本を投げてきた。
和綴じされている本はモトナリが書いた本である。
畳敷きの執務室でギンチヨは立っていた。
「ポケモン研究家となる夢は捨てよ。世のためだ」
ポケモン研究家になることを目指しているモトナリは研究成果を本にしてギンチヨに見せてみたのだが、
返って来た感想はモトナリにとっては喜ばしいものではなかった。
その様子に微苦笑を浮かべたのは茶髪の偉丈夫だ。ギンチヨの補佐をしているムネシゲである。
ムネシゲは畳に座っていた。
「すみません。彼女、正直なもので」
苦笑したのはモトナリだった。ムネシゲの言葉はフォローになっているようでフォローになっていない。
ムネシゲも暗にギンチヨと同じような感想を抱いていると言うことが伝わってくる。
ギンチヨがさりげなく、ムネシゲを睨んだ。
「可能性の芽は摘むものではなく、伸ばすものだよ」
モトナリは放り投げられた本を拾い上げた。研究成果はツタージャについてだ。
ツタージャはモトナリのパートナーポケモンである。今は別室にいた。
「それならば、別の可能性について問おう」
モトナリの背後から声がかかる。派手な服装をしているのは元イズミの国ブショーリーダーであるモトチカだ。
彼の足下にはパートナーポケモンのミジュマルが居る。
「別の可能性というと」
「モトナリ、お前のつまらないポケモン研究の本に着いてではない。ネヤについてだ」
つまらないとモトチカにまで言われてモトナリは頭を何度か掻いた。つまらなくしているつもりはない。
自分の研究成果を纏めているのだが、話を総合してみると無駄に長い文章で面白くないようだ。
研究文というのは面白くないものではあるが、三人に立て続けに言われるとモトナリは自分の文を改善しないと
いけない気持ちになっているが、モトチカがネヤの名を出す。
この軍を纏めているブショーリーダーの名が言われるとギンチヨとムネシゲも、反応した。
「彼女は何をしている」
「オイチ殿と外に出ているよ。次に挑む国はコブシと聞いているから、コブシ対策をするんだろう」
ギンチヨが聞けばモトナリが答えた。
彼等の住んでいるランセ地方にはポケモンと呼ばれる生き物が居て、そのポケモンと心を通わせ、
気持ちを理解出来し、想いを伝えられる人間をブショーと言った。部屋に居る全員、ブショーである。
その中でも特に強い力を持った者がブショーリーダーと呼ばれている。ブショーリーダーはランセ地方の十七の国に
それぞれ一人ずつ居る。
ランセ地方には”十七の城を手に入れた者がランセ地方を作りし、幻のポケモンが現れる”と言う伝説があり、
伝説を信じているブショー達が日々戦っている。
少し前の状況は大きな力を持つブショーリーダーがそれぞれの国のトップに立ち、小競り合いは起きていたが、
国のバランスは安定していた。
バランスが崩れることになったのは、北にあるリュウの国のブショーリーダーであるノブナガが突如、各国に進行を
開始した。シデンの国にまではノブナガの影響は届いていないが時間の問題だ。
各国が対策を始めようとしている中で動きがあったのはハジメの国だ。
ハジメの国のブショーリーダーであるネヤは各国を傘下におさめ、勢力を作りだした。
「対策というと、別のポケモンをリンクして引き入れるのか。イーブイもプリンもノーマルタイプだ。
かくとうタイプには弱い」
「それぐらいはネヤも知っているか」
次に挑む予定のコブシの国はかくとうタイプのポケモンがよく使われている。かくとうタイプはノーマルタイプに
強い。対策としては別のポケモンを使うことだ。ブショー達はポケモンと気持ちを繋ぐためにリンクをして、
一緒に戦って貰う。
「タイプ相性は父親に叩き込まれたようだね。ブショーとしての知識がちぐはぐなのは、
一部何となくやったら出来たとか、講義を聴いていなかったとからしいんだけど」
ネヤはブショーリーダーとしては新人だ。元は彼女の父親や兄がハジメの国のブショーリーダーだったのだが、
旅に出たためネヤが留守を守っている。ネヤは兄も父親も行方が掴めないと言っていた。
やや頼りない状態だったが、上手くいっていたのはハジメの国が田舎だったり、周辺国が争いを好まなかったからだ。
「イクサをしていけばネヤも憶えていくだろう。彼女は筋が良い。俺達を倒したのが彼女だ」
モトチカにしろ、モトナリにしろ、ギンチヨもムネシゲもネヤに従うことに異論はない。彼女は自分達を倒し、
城を手に入れている。力を貸して欲しいと彼女は言ってきたし、彼等はネヤにならば力を貸しても良いと想っている。
「ネヤは私を倒したのだ。ヨシヒロも倒して貰わねば」
「ヨシヒロ殿とは時折、交流の形でイクサをしているが負け数の方が多いからな」
「ムネシゲ」
コブシの国のブショーリーダーであるヨシヒロの名が出る。ギンチヨは怒りを込めた声でムネシゲを呼ぶが、
ムネシゲは受け流していた。次の目標は、コブシの国の城を手に入れることだった。
「はつでんシステムって言うのを使えばポケモンがいっぱい集まるみたい」
「シデンの国には変わったものがありますね」
コブシの国を攻めることにしたネヤはポケモンの問題を解決しておこうとした。
そこに流浪のブショー、ケイジが現れて、リンクについて教えてくれた。ケイジは以前、
カエンの国でネヤとオイチと出会い、ブショーのスカウト方法について教えてくれた。
オイチはプリンを抱いていて、ネヤは肩にイーブイを乗せている。
「次のイクサはイーブイもプリンも休み。イクサはタイプ相性が大事って父さまが教えてくれたから。
父さまは不利な勝負は出来る限り避けろって言っていたし」
かくとうタイプに有利なのはひこうタイプとエスパータイプなのだが、どのポケモンも居ない。
かと言ってノーマルタイプであるプリンもイーブイを出してもすぐに倒されてしまうことが予想できた。
シデンの国ででんきタイプのポケモンを得て戦った方が勝負を五分に持ち込める。ノーマルタイプ以外ならば、
ほのお、みず、くさでも良いのだが、勢いに乗っているうちに城を落とすべきだと近場で仲間に出来るでんきタイプにした。
「プリン、戦いたい気持ちは分かりますが」
「コブシの国に勝てたら、次はサナギの国だからね。サナギはむしタイプだからその時になったら活躍してね」
「その時は頑張りましょうね。プリン」
オイチの両腕に抱かれているふくれ面のプリンを撫でながらネヤが言う。コブシの国を先に落とすことにしたのは、
ギンチヨの情報を参考したからだ。シデンの国を落とした以上、コブシの国は攻めてくる可能性がある。サナギの国はと言うと、あそこのブショーリーダーは放置しておいても問題は無いとムネシゲが教えてくれた。
ポケモン達と共にネヤとオイチははつでんシステムへの道を歩く。ハジメの国がのどかであるのに対し、
「冗長だ。その上、つまらぬ」
元アオバの国ブショーリーダー、モトナリがシデンの城の一室へと入ると、
元シデンの国ブショーリーダーであるギンチヨがモトナリの足下に本を投げてきた。
和綴じされている本はモトナリが書いた本である。
畳敷きの執務室でギンチヨは立っていた。
「ポケモン研究家となる夢は捨てよ。世のためだ」
ポケモン研究家になることを目指しているモトナリは研究成果を本にしてギンチヨに見せてみたのだが、
返って来た感想はモトナリにとっては喜ばしいものではなかった。
その様子に微苦笑を浮かべたのは茶髪の偉丈夫だ。ギンチヨの補佐をしているムネシゲである。
ムネシゲは畳に座っていた。
「すみません。彼女、正直なもので」
苦笑したのはモトナリだった。ムネシゲの言葉はフォローになっているようでフォローになっていない。
ムネシゲも暗にギンチヨと同じような感想を抱いていると言うことが伝わってくる。
ギンチヨがさりげなく、ムネシゲを睨んだ。
「可能性の芽は摘むものではなく、伸ばすものだよ」
モトナリは放り投げられた本を拾い上げた。研究成果はツタージャについてだ。
ツタージャはモトナリのパートナーポケモンである。今は別室にいた。
「それならば、別の可能性について問おう」
モトナリの背後から声がかかる。派手な服装をしているのは元イズミの国ブショーリーダーであるモトチカだ。
彼の足下にはパートナーポケモンのミジュマルが居る。
「別の可能性というと」
「モトナリ、お前のつまらないポケモン研究の本に着いてではない。ネヤについてだ」
つまらないとモトチカにまで言われてモトナリは頭を何度か掻いた。つまらなくしているつもりはない。
自分の研究成果を纏めているのだが、話を総合してみると無駄に長い文章で面白くないようだ。
研究文というのは面白くないものではあるが、三人に立て続けに言われるとモトナリは自分の文を改善しないと
いけない気持ちになっているが、モトチカがネヤの名を出す。
この軍を纏めているブショーリーダーの名が言われるとギンチヨとムネシゲも、反応した。
「彼女は何をしている」
「オイチ殿と外に出ているよ。次に挑む国はコブシと聞いているから、コブシ対策をするんだろう」
ギンチヨが聞けばモトナリが答えた。
彼等の住んでいるランセ地方にはポケモンと呼ばれる生き物が居て、そのポケモンと心を通わせ、
気持ちを理解出来し、想いを伝えられる人間をブショーと言った。部屋に居る全員、ブショーである。
その中でも特に強い力を持った者がブショーリーダーと呼ばれている。ブショーリーダーはランセ地方の十七の国に
それぞれ一人ずつ居る。
ランセ地方には”十七の城を手に入れた者がランセ地方を作りし、幻のポケモンが現れる”と言う伝説があり、
伝説を信じているブショー達が日々戦っている。
少し前の状況は大きな力を持つブショーリーダーがそれぞれの国のトップに立ち、小競り合いは起きていたが、
国のバランスは安定していた。
バランスが崩れることになったのは、北にあるリュウの国のブショーリーダーであるノブナガが突如、各国に進行を
開始した。シデンの国にまではノブナガの影響は届いていないが時間の問題だ。
各国が対策を始めようとしている中で動きがあったのはハジメの国だ。
ハジメの国のブショーリーダーであるネヤは各国を傘下におさめ、勢力を作りだした。
「対策というと、別のポケモンをリンクして引き入れるのか。イーブイもプリンもノーマルタイプだ。
かくとうタイプには弱い」
「それぐらいはネヤも知っているか」
次に挑む予定のコブシの国はかくとうタイプのポケモンがよく使われている。かくとうタイプはノーマルタイプに
強い。対策としては別のポケモンを使うことだ。ブショー達はポケモンと気持ちを繋ぐためにリンクをして、
一緒に戦って貰う。
「タイプ相性は父親に叩き込まれたようだね。ブショーとしての知識がちぐはぐなのは、
一部何となくやったら出来たとか、講義を聴いていなかったとからしいんだけど」
ネヤはブショーリーダーとしては新人だ。元は彼女の父親や兄がハジメの国のブショーリーダーだったのだが、
旅に出たためネヤが留守を守っている。ネヤは兄も父親も行方が掴めないと言っていた。
やや頼りない状態だったが、上手くいっていたのはハジメの国が田舎だったり、周辺国が争いを好まなかったからだ。
「イクサをしていけばネヤも憶えていくだろう。彼女は筋が良い。俺達を倒したのが彼女だ」
モトチカにしろ、モトナリにしろ、ギンチヨもムネシゲもネヤに従うことに異論はない。彼女は自分達を倒し、
城を手に入れている。力を貸して欲しいと彼女は言ってきたし、彼等はネヤにならば力を貸しても良いと想っている。
「ネヤは私を倒したのだ。ヨシヒロも倒して貰わねば」
「ヨシヒロ殿とは時折、交流の形でイクサをしているが負け数の方が多いからな」
「ムネシゲ」
コブシの国のブショーリーダーであるヨシヒロの名が出る。ギンチヨは怒りを込めた声でムネシゲを呼ぶが、
ムネシゲは受け流していた。次の目標は、コブシの国の城を手に入れることだった。
「はつでんシステムって言うのを使えばポケモンがいっぱい集まるみたい」
「シデンの国には変わったものがありますね」
コブシの国を攻めることにしたネヤはポケモンの問題を解決しておこうとした。
そこに流浪のブショー、ケイジが現れて、リンクについて教えてくれた。ケイジは以前、
カエンの国でネヤとオイチと出会い、ブショーのスカウト方法について教えてくれた。
オイチはプリンを抱いていて、ネヤは肩にイーブイを乗せている。
「次のイクサはイーブイもプリンも休み。イクサはタイプ相性が大事って父さまが教えてくれたから。
父さまは不利な勝負は出来る限り避けろって言っていたし」
かくとうタイプに有利なのはひこうタイプとエスパータイプなのだが、どのポケモンも居ない。
かと言ってノーマルタイプであるプリンもイーブイを出してもすぐに倒されてしまうことが予想できた。
シデンの国ででんきタイプのポケモンを得て戦った方が勝負を五分に持ち込める。ノーマルタイプ以外ならば、
ほのお、みず、くさでも良いのだが、勢いに乗っているうちに城を落とすべきだと近場で仲間に出来るでんきタイプにした。
「プリン、戦いたい気持ちは分かりますが」
「コブシの国に勝てたら、次はサナギの国だからね。サナギはむしタイプだからその時になったら活躍してね」
「その時は頑張りましょうね。プリン」
オイチの両腕に抱かれているふくれ面のプリンを撫でながらネヤが言う。コブシの国を先に落とすことにしたのは、
ギンチヨの情報を参考したからだ。シデンの国を落とした以上、コブシの国は攻めてくる可能性がある。サナギの国はと言うと、あそこのブショーリーダーは放置しておいても問題は無いとムネシゲが教えてくれた。
ポケモン達と共にネヤとオイチははつでんシステムへの道を歩く。ハジメの国がのどかであるのに対し、