衝動SSまとめ③(コナン)
快新
2012/2/26更新
君はペットパロ。
新一が25ぐらい?と年上設定。
快斗はそのままの年齢です。
続きです。
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冬だから当たり前なのだが、寒い。
体を震わせながら出勤した。
ドアを開けると暖かい。
暖房代がかかっているということなのだが、こうも寒いとありがたい。
「はよ、」
「おはよう新一。」
「腹減った。」
「出来てるよ。」
「サンキュ。」
出勤すればすることは決まっている。
そう、腹ごしらえだ。
・・・いや、これは世間とはずれているのかもしれない。
朝起きて、支度をして出勤する。
そして朝ご飯は事務所で食べる。
何故なら、作ってくれている・・・・ペットが居るから。
1ヶ月前、俺は事務所の前で男を拾った。
最初はどうしたものか、と思っていた。
ペットにしろなどとふざけたことを言うが、普通に常識人で家事が完璧。
事務所の掃除や、飯、雑用を見事にこなしていた。
素性は一切分からない。
あれから調べようと思ってはいるのだが、意外に忙しくそんな暇はなく。
お金を貰うちゃんとした依頼を優先させていたら後回し、後回しで、
1ヶ月経つというのに何も分からないまま。
それに、不満があるのはこの男も同じな様で、
「ねぇ新一~俺の名前決まった?」
そう、名前が決まっていないのだ。
当初の予定としてちゃっちゃと素性を調べあげて本名フルネーム呼びしてやるはずだった。
そのため、『オメー』とかそんな感じで呼び続けていた。
「俺の名前、オメーじゃ嫌だな。」
「・・・・・・・。」
確かに、『オメー』ではややこしい。
だからと言って、調べるにはまだ時間がかかりそうだった。
何しろ持ち物から何も割り出せない。
今のところ、何のヒントも無いのだから。
代わりの名前ぐらい何か・・必要か。
そう結論を出して1ヶ月かけてやっと名前を考える気になった。
くせ毛、
くるくる、
ぴょんぴょん、
アホ、
バカ、
・・・ろくなのが出てこない。
「ハイセンスでよろしくね。」
ハードルを容赦なく上げるため、
悔しさからカッコイイものをと思うが出てこない。
美味い飯・・うまめし?
雑用・・・ざつ?
日ごろの姿から連想してもイマイチ。
そのとき、ふと思い出す。
以前、事務所で二人でTVを見ていた。
その時に例の目立ちたがり屋の怪盗KIDの特集をしていた。
最近は対峙していないなぁなんて見ていると、隣の男の目がキラキラしていた。
KIDが好きなのか?と聞いたら、好きだっと返ってきた。
初めて知ったこいつの好きなものだった。
怪盗KIDか・・・
キッド・・きど?
う~~~ん・・・・
怪盗・・・かいと・・・
カイト!!!!!
「カイト!!!!」
「・・・・・ぇ?」
「オメーの名前、『カイト』な。」
「・・うん・・・うん!!!!すっごく良い名前っ!!」
「よし、カイトお茶くれ。」
「らじゃぁっ!!」
湯のみを持ってキッチンに向かう後ろ姿が嬉しそう。
なかなか良い名前だと思う。
それになんだか、しっくりとくる。
「カイトーーまだか?」
「もう、そんなすぐに出来ませーん。」
「冗談だよ。」
「もうご主人様はドSなんだからぁ、」
「だから、それヤメロって。」
「本当のことだもーん。」
コイツ、カイトとの生活は楽しかった。
最初に言った通り、本当にプライベートは守ってくれている。
それでいて、頼ったことは完璧に返してくれる。
給料をあげると何度も言ったのだが、それは断固拒否された。
責任は取れないから、というのだ。
ペットだから、言うことを聞く。
ペットだから、ご主人様が好き。
だけど、ペットだからいつ居なくなるか分からないからね。
ほら、ペットってたまに言うこと聞かないでしょう?
カイトがよく言う言葉だった。
初めあんなにペットにして、
と頼んできたのはこういうことだったのか、と今なら分かった。
「新一、そろそろ時間だよ?」
「ん?あぁ、じゃあ行ってくる。」
「気をつけてね。」
「客来たらいつも通り、話聞いて・・
「分かってるよ。」
「頼んだ。」
「行ってらっしゃい。」
「行ってくる。」
淹れてくれたお茶を飲み干して上着を着る。
依頼人との待ち合わせ場所に向かう時間なのだ。
いつもの通り留守を頼み、事務所を後にする。
でも、今日はせっかくだから・・・
もう一度、ドアを開ける。
不思議そうに振り返ったカイトに言ってやる。
「カイト、行って来る。」
「行ってらっしゃいご主人様。」
「ったく、じゃあな。」
パタリ―――
帰る頃には出来上がっているだろう夕飯。
今日は一体何かななどと考える。
その笑顔で言ってくれる『おかえり』がとても心地良いんだ。
end
作品名:衝動SSまとめ③(コナン) 作家名:おこた