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ooo aftre ~夜天の主と欲望の王~ 第12部 「完」

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………



「映司…映司!」

「…はっ…」

「おい、いつまで寝てるんだ?」


機動六課の映司の寝室、いつの間にかヴィータが自分を起こしに来てくれた。
あれから数日が経ち、今日、ついにアンジュと決戦の日である。


「あんまり寝すぎると本調子でねぇぞ?」

「そうだね…ふあぁ…ありがとう、ヴィータちゃん」


映司はまだ眠気が残っていたため、少し散歩して眠気を取ろうとした。
廊下…コミュニティルーム…トレーニングスペース…
そして、いつの間にか機動六課の隊舎の屋上に来ていた。

空を見上げると、たくさんの星が光り輝いていた。


「あれ?映司くん?」

「っ!…はやてちゃん?」


目線を下ろすと、そこには はやてが立っていた。
どうやら映司より先に屋上にいたらしい。







―――



二人は手すりに身体を任せ、同時に星空が映る空を眺めていた。


「いよいよやな、映司くん」

「うん、あと3時間後か、今までいろんなことがあったね…」


二人は今までに起きたことを思い出していた。



最初のヤミーが現れた時、自分達の目の前に突然映司が現れたこと…


仮面ライダーオーズとの出会いのこと…


ザフィーラとの和解のこと…


シグナムの師弟関係のこと…


映司が人間ではなかったこと…


シャマルの下手くそな料理のこと…


味覚が戻ったこと…


ヴィータとの対決のこと…




「なんでやろ?まだ一ヶ月しか一緒に生活してへんのにえらく長く感じたなぁ…」

「はやてちゃん、たまに老人臭いこと言うよね」

「うっさい、ボケ」

はやて は軽く映司に突っ込んだ。


「ごめん冗談だよ…でもいろいろ大変だったことや、辛かったこともあったけど、嬉しいこともあったなぁ」

「…?どういうことや?」


映司は身体を はやて の方に向け、目線を合わして話し始めた。

「だってさ、はやてちゃん達の『家族』になれたんだもん、俺のなかでは一番嬉しかったなぁ」

映司は自然と笑顔になった。それにつられて はやて も笑顔になる。

「そういえば映司くんって家族で言えばどこポジションなんやろ?」

「う~ん…、シグナムはお姉さんで、シャマル先生はそのまた上のお姉さん、ヴィータちゃんは妹で、リィンちゃんと…あと「アギトちゃん」っていう子が双子の末っ子、ザフィーラさんは…ごめんなさい、ペットで…はやてちゃんがお母さん、…ってことは俺は『お父さん』…?」

はやて の顔が一気に赤くなった!

「んなわけあるかッ!ドアホッ!!」

はやて はさっきの数倍以上のツッコミを放った!

「痛てて…なんで怒ってるの?はやてちゃん?」

「べ…別に怒ってないわ…ま、まぁ映司くんは強いて言うならヴィータのお兄ちゃんでシグナムとシャマルの弟やな!」

「うん、そんなとこかな?」



その場にすこし静寂が訪れる、そして はやて は今後について一番気にしていたことを映司につぶやいた。


「なぁ…映司くん、もし…この戦いが終わったら…どうするん?」

映司は驚いた。…なにも考えていなかったのだ。アンジュを倒せばもうこの世界に居る必要はない、地球には比奈や知世子、伊達や後藤達がいる。でも映司には思い出を作りすぎてしまった。…このミッドチルダ、いや、八神家と別れたくない。せっかくできた家族なのに、もうさよならなんてしたくはない。しかし…映司にはまだ目的があった…




アンクだ…





「ごめんね、はやてちゃん。…俺、まだ話してなかったけど、実はここに来る前、ある『腕』を探していたんだ」

「う、腕?」

はやて にはよく意味がわからなかった。


映司は はやて に話した。

アンクとの出会い、対決、和解、別れ…そして今はそれを探す旅にでていたということ…


「そっか、映司くんにはまだやるべきことがあったんやね」

「うん、ごめんね!はやてちゃん!!でも八神家はアンクと同じぐらい大事だよ!!」

はやて は笑顔で映司に向かってある『約束』をした。



「じゃあ、約束しよ?この戦いが終わってそのアンクっていうグリードを見つけたら、私の自慢の料理、食べてくれな!!もちろん皆一緒で!!」


「うん、約束するよ!指切りしよ!!」


二人は小指を出し、絡める。

『指切りげんまん、嘘ついたら針千本の~ます!指切っ…』


「ど、どうしたの?はやてちゃん?」



しかし、はやて は離してくれなかった。
それどころか、…泣いていた。



「嫌や…離れたくない…ヒグッ…映司くんと…ずっと…ずっと…一緒に居たい…」

「は、はやてちゃん…」

映司は空いているもう一つの手を使い、はやて の頭を撫でた。


「はやてちゃんは何か勘違いをしているよ」

はやて は涙を吹き、映司の顔をみた。






「家族ってね…どんなに遠くにいても、どんな世界にいてもずっと『見えない手』でつながっているんだよ。だから…俺と はやてちゃんはずっと繋がって………










違う。










「…映司くん?」














違う、違うよ。














俺だって…。

俺だって……!!











「俺…さ……」

「どしたん?映司くん…」


映司は再び はやての目を真剣に見つめた。
そして、はやて の手をしっかりと自分の手で握り締めた。


「俺…ね、子供の頃って…親とか仕事忙しくて…こんな言い方変だけど…普通の家庭みたいに…朝は母さんが起こしてくれて…食事のときは家族一緒にご飯食べて…父さんといろんな話しをして…そんな生活にすっごく憧れていたんだ…」

「うん…」

「だからね…俺は、家族一緒にの生活できることを夢見ていたんだ…」

「うん…」

「だからね…う…うぅ…」















「俺は、はやてちゃん達の家族の一員になれて…すっごく嬉しかった!!!!」






「…うん!…ぐすっ…」










やっとわかった…。
あの時、俺の欲望は…また、知らない間に叶っていたんだ。













−今日から、映司くんは私の家族の一員や−










「俺、これからも…」

「うん?」

「俺、これからも はやてちゃん…八神家の一員でいたい!!ずっと、はやてちゃんのそばにいたい!!」

「うん…ぐすっ…」


映司は はやて を優しく抱きしめた。
はやて はそんな映司の背中に手をまわし、優しくその大きな背中を撫でた。


「これからも…ずっとはやてちゃんのそばにい続けるよ…ずっと近くで、はやてちゃんの手を掴み続けるよ…ずっと…!!」

「ずっと…一緒や…映司くん…これからも…ずっと…!!」







幸せな家族と離れることなくずっと一緒にいたい


『いつまでも幸せな家族でいることができる手』

それが、俺のもう一つの…『欲望』