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アノンの父親捏造まとめ

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「ロベルト―――!!」
 悲鳴に近い絶叫をして目覚めたとき、彼は丘の上に倒れていた。今にも沈みそうな夕陽が、最期の足掻きのように雲を赤く染め上げている。
「すまない…すまない、ロベルト…。探しに行くから…絶対に、見つけ出すから。本当に、すまない…」
 身体は起こしたが俯いたままで、マーガレットは何度も何度も謝った。もう何を詫びているのか、自分でも分からなかった。2年前に枯れたはずの涙が、またじんわりと視界を狂わせた。
「マーガレットさーん?」
 丘に登る道から能天気な声が聞こえて、彼はようやく我に返った。目から零れかけた塩水を抑え込み、新たな決意を固める。
「あぁ、マーガレットさん! こんなところにいらっしゃいましたか」
「うん。…よっちゃん、」
「ハイ?」
 霧の向こうを睨むように見るマーガレットに、淀川は首をかしげる。
「君は僕のために、何でもしてくれるのかい? たとえば…神補佐にしてあげると言ったら」
 マーガレットが、初めて淀川を振り向いた。
「も…、もちろんです!」
 それこそが自分の望みだと、淀川は大仰に頷いた。相手の鋭い眼に、普段と違う鈍い光が宿っていることに気付きもせずに。
「じゃあ決まりだ。僕は12年後神候補になって、ロベルトを探しに行くよ」
 そう言った彼はなんとも言えない表情をしていた。
「はい? …まさか…マーガレットさん、ロベルト君を」
「そのまさかだよ。よっちゃん、確か神は12年後、神候補たちが人間の子どもを選んでその子らに戦わせるのだと仰せだったね」
「はい。…ということは」
「ああ、あの子はこれから“人間として”育てられ、神候補の僕に“選ばれる”」
「なんと…」
 感嘆して息をのむ淀川には強い西日が逆光になって、マーガレットの顔がよく見えない。
「流石です、マーガレットさん」
 マーガレットの視線は淀川から外れ、町の景色を舐めるように通り過ぎて妻の墓石に移った。一、二歩歩いて立ち止まった彼は、妻の名が刻まれた石にふっと微笑みかけて云った。
「僕は、神になる」

 そのとき、陽光は山の向こうへ姿を消した。