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すずきたなか
すずきたなか
novelistID. 3201
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回遊魚

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こくっ、と三ミリくらい頷いたように見えたが、長門は動こうとしなかった。俺らを哀れんでいるんだろうか?有り難い話である。
「長門さんも掃除でしたか」
古泉が珍しく長門に世間話を持ちかけた。長門はふるふると五ミリくらい首を動かし、
「ワックスがけ」
と静かな発音で答えた。ワックスがけとは、綺麗好きな担任がいたものである。岡部にも見習わせたい、とは決して思わないそれなりに面倒くさがりの俺だ。
しん、と会話が止まったのも束の間、扉が開いて中からメイド服姿の朝比奈さんが現れた。今日も可憐ですっ。
「お待たせしました〜お茶も入れましっ、うひぁっ」
朝比奈さんの声が急にひっくり返る。目の前に長門が突っ立っていればそりゃ驚くだろう。長門は扉がどこまで開くのかを予想していたらしい。びくっとして体を引く朝比奈さんの横を通り抜け、長門が定位置の椅子に向かった。
「遅いわよ有希!外の奴らもさっさと入ってきなさい!会議を始めるんだから」
何とも勝手な奴である。古泉はハルヒにいちいちはいと頷き、俺は朝比奈さんの隣をすり抜けながら中に戻った。
何をやっているのやら。
作品名:回遊魚 作家名:すずきたなか