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鉄の匣

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ほんの十数秒の間にしか出来ない鉄の壁。其れが消えるが早いか、山本は獄寺をちょんと押し戻すと、行こうぜ、と改札に向かって歩き出す。何がおきたか分からないと云ったような顔の獄寺は、やや反応を遅くしてベンチから立ち上がる。混乱気味に歩いていると、突然山本が、あっ、と声を上げる。訝しげに眺めていると、山本は鞄から未開封のアイソトニックウォーターのペットボトルを獄寺に投げて寄越した。先程よりも更に訝しげな視線を寄越す獄寺に、山本は平然と言ってのける。お前もうちっと水分とった方がいいよ、唇、ちょっと乾燥してた。さっきの数十秒間の出来事が間違いじゃなかった、とハッキリと自覚させられ、獄寺は山本に怒鳴りかけたが、もうこれ以上思い出すのも恥ずかしいのでやめてしまう。確かに喉が乾いたかも知れない。渋々、受け取ったアイソトニックウォーターを一口飲むと、獄寺は自分の前を行く背中に向かって、温い、甘い、と文句を垂れた。


作品名:鉄の匣 作家名:Callas_ma