ooo after 『after』
あれから、…さらに4年の月日が流れた。
俺は、自分の欲望を満たすため今は地球に帰還し、世界中のアイスを食べるため、一人放浪の旅に出ている。
旅をしている途中、フェイト達にはフッケバインがなんたら…という事件があったそうだが、無事解決し、ミッドチルダは今も平和な時が流れている。
昔は『奴』も俺と一緒に旅をしていた…事件が起きたと言えばその時だな。
あいつの大切な『家族』が重傷を負い、血相を変えてすぐにミッドチルダに帰って行った。
まぁ、到着した時は事件は解決し、全てが丸く収まった時だったな。
それ以来だな、あいつがずっとあっちに居るようになったのは。
あいつ…最近は連絡を全くとってないが、元気にしているのか?
まぁ…どうせ変わってないだろうなぁ…。
………
ミッドチルダの外れにあるポツリと建っている白い結婚式場、
その式場の中に、白いウエディングドレスを着ていた一人の美しい女性が窓を見つめて立っていた。
その窓からは綺麗な海が映っている。
−コンコン…−
「入っていいかな?」
部屋のドアの奥から女性の声が聞こえてきた。
ウエディングドレスを着た女性はそのドアに近づき、ドアを開けてあげた。
「…どう?に、似合うかな…」
「うん、とっても綺麗!…きっと彼も喜ぶんじゃないかな?」
「そ、そうかな…」
「大丈夫!きっと喜ぶよ!私が保証する!…だからもっと自分に自身を持って!
なのは!!」
「うん、ありがとうフェイトちゃん!」
今日は、高町なのは とユーノ・スクライアの結婚式である。
すでに会場内には、なのは の両親と兄妹、仲の良かった友達、さらに管理局の同僚に機動隊の上司や部下、そして聖王協会の面々や機動六課の教え子達がこの挙式に駆けつけていた。
「ふふっ!…まさか本当にユーノと結婚しちゃうなんてね…4年前なんてユーノからのプロポーズ断ったくせに…」
「にゃはは…あの時はまだお仕事がしたかったから…」
「ふんっ!あの後誰があいつを慰めてやったと思っているんだ…」
「っ!え?」
「あ、アンク!」
いつの間にか、ドア付近にアンクが腕を組みながら壁に寄りかかっていた。
「もうアンクさん!ビックリしたじゃないですか!」
「本当だよ…あ、アンク!ちゃんと正装して来てねっていったじゃない!」
「あの服は着心地が悪すぎるんだよ!!別に俺が何着ようと勝手だろぉが!!」
「あぁもう!あちこちに汚れ付けて…だらしないよ」
「おい!勝手に人に触るな!」
「にゃはは…」
あの二人は、まだまだ先みたいだね…。
「ママぁ~!!」
廊下から、聞き覚えのある少女の声がアンクの耳に入った。
…いや、アンクは大体予想がついていた。
「ママ、準備できた?…ってアンクさん!!?もう、帰ってきたなら声ぐらいかけてくださいよ!!」
「あぁ、久しぶりだなヴィヴィオ…お、おぉ…」
アンクは久しぶりにみたヴィヴィオの姿に呆然とした。
数年間の間に、彼女は少しづつ大人の顔へと成長していた。
髪型は なのはと同じサイドテールにし、徐々に成人女性の身体へと成長している。
だが、所々に昔の面影が残っていた。
「お前…また背が伸びたか?」
「えへへ~!もう少しで なのはママとフェイトママに追いつきそうなんですよ!ヴィヴィオももう子供じゃありません!!」
「ふんっ!まだ14才のくせに何言ってやがる…」
「な!!?じゅ、14才だって立派な大人なんですよ!!?この前アインハルトさんが『ヴィヴィオさん…また、私より…おっきくなりましたね…』って驚いてたもん!!」
あいつ…一体何のことに対して言っているんだ?
「そんなことより…」
「そんなこと!!?」
「チっ…おいフェイト…クロノの奴は来ているか?」
「え、お兄ちゃん?…うん、確か来てた筈だけど…」
「そうか、ちょっと顔を出してくる」
アンクは挙式が行われるホールへと移動した。
ホールにはほとんどの出席者が到着しており、所々で各々話しをしていた。
その中に、見覚えのある男女とその二人の子供…そして昔からちっとも容姿が変わらないその男の母親が立っていた。
「ん?あぁ、君かアンク」
「久しぶりだな…クソガ…いや…クロノ」
「あれ、アンク。今クロノ君に何か言わなかった?」
「い、いや別に…」
「ふふっ!今も昔も変わらないですね、アンクさん!」
「あ、あぁ…」
(その言葉…そのままそっくり返してやるよ!!)
アンクはエイミィの懐に隠れながらじっとこちらを見つめている二人の子供を見つめた。
アンクがカレルとリエラを見た瞬間、怖かったのか、二人はさらに顔を隠してしまった。
「あぁもう、カレル、リエラ!ちゃんとアンクに挨拶なさい!」
「だ、だって…」
「怖いんだもん…」
「はぁ~ったく」
アンクはゆっくりと二人に近づき、無愛想ながらも優しく二人の頭を撫でてあげた。
「?」
「?」
「悪いな、俺は昔から色々な奴から怖がられるんだ…安心しろ、何もお前達が気に食わないわけじゃない」
「ははっ!全く、この手に関しては君は下手くそなんだな!」
「うっさい…」
双子はキョトンとしていたが、徐々にアンクに対して笑顔をみせるようになっていった。
「クロノ…こいつらは可愛いか?」
「まぁ、君よりは断然天使のように見える」
「ふん…」
「もう、クロノ君ったら…ふふっ…」
「どちらも素直じゃないですからね!」
−アンク~!−
遠くから、アンクを呼ぶ一人の女性がこちらに向かって走ってきた。
アンクはその場から立ち、声が聞こえた方向を見つめた。
「なんだ、どうしたんだフェイト」
「はぁ…はぁ…ねぇアンク、はやて達まだ来てない?」
「はぁ!!?もうすぐ始まるっていうのに、まだ来てないのか!!?」
「うん!!…どうしよう、待たせる訳にもいかないし…」
「クソっ…ん?」
アンクはふと、式場の入口から見える一つの団体に目が行った。
その団体は随分遠くからこちらに走って向かっているように見えた。
「…ったく…あの馬鹿…」
「え?…あ、あれって!!」
「どこまで世話が焼けるんだよ…全く!!
おい、映司ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」
作品名:ooo after 『after』 作家名:a-o-w