二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

そんなもの、この際いっそ捨てちまえ

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

お前も死ねばいい。

予期していなかったのか、獄寺は驚いたように目を見開いて山本を見つめる。その目を真っ直ぐに見つめて、山本は続けた。好きにすればいいんだろ? だからお前も好きにすればいい。死にたいから其処に居るんだろ? だったら死ねばいい。獄寺は黙った儘、ぼうっと山本の声を聞いている。山本は、歩み寄りながら沸々とこみ上げる怒りとも哀しみとも、何とも云えない感情を獄寺にぶつけ続けた。

……ツナは確かに死んだけど、でも生きてる。ツナの精神は生きてんだ。お前、アイツの右腕なんだろ。お前の中にもツナの精神は宿ってんだと思ってた。お前の中のツナが死んじまってるならお前も死ねばいいっ。

山本は大声で罵ると、獄寺のシャツを両手で掴み、早く飛べ! いつまでも境界で微睡んでるなっ、死ぬなら早く死ねよっ、と揺さぶる。目を見開いたまま、獄寺は山本の其れを聞いていたが、突然山本の手を振り払うと喚き散らした。

やっぱり不公平だ! お前の時はあの人が居たのにっ! オレの時にはもうあの人はいないなんてっ! 可笑しいじゃねーか。ちく……しょう。なんで。何でなんだよ。畜生っ! 畜生っ!

獄寺は、一通り喚くと小さく、不公平だ、理不尽だとぜぇぜぇと苦しそうに呟きながら柵にすがり地面に膝をつく。山本は、其れを只々見ていたが、コレから起こるであろう事態を考える。今成すべき事は一つしかない。

なぁ獄寺。選んだんだ、オレらは……ツナに付いていくって。そんでツナは選んだ、たくさんの中から此の時間軸を。こうなるかも知れないって皆分かってたはずだ。それでも付いていくって決めた。だからオレはツナがやりたかったようにやる。

山本はそう云うと、境界に蹲る獄寺を柵の内側から抱きかかえた。暴れるかと思ったが、案外獄寺は一寸身じろぎしたが大人しくしている。幾ら山本でも、大の大人を担ぐのは多少骨が折れたが、よいしょ、と云って何とか獄寺を自分の立つ、生の世界へ引き戻した。山本は獄寺を地面に下ろすと、何も云わずに様子を窺う。けれど獄寺はいじけたような顔で俯いた儘だった。此じゃ何時まで経っても埒があかない。

みんな待ってる。帰ろう? 獄寺……。

そう云うと、再び獄寺を担ぎ上げると歩き出した。ここでもやはり獄寺は大人しく山本に担がれている。山本の背中から伝わる体温と鼓動を気持ちのいいような、どこか気持ち悪いような得体の知れない感覚を持て余しながら、獄寺は前髪の隙間から相変わらず青々とした大空を見つめた。そして一つとだけ大きな溜め息を吐くと、十代目の側にいることが俺の誇りだったんだ、と呟く。其れを聞くと山本は、空いている方の手で獄寺の背中を、子供をあやすように叩くと静かに告げた。