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へなちょこマ王とじょおうさま 「7、功国を」

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 私はそれが欲しいし、この荒れた国が変わって行くのが見たい。
 半身である塙麟と、私と、私を王だと認め、一緒に歩んでくれる官と、そしてなにより民と、みんなでそんな国を創りたい。

 私にとって大きなものを失って、その結果手に入れた私の国だ。前の王が遺した、負の遺産はいらない。使える遺産は私の色に変えてからせいぜい役立たせてもらう。すべて、私のもので、私が作り上げていくものなのだ。このくらい自由がなくては、面白くない。
 口角が、無意識に上がっていく。
 今の私は、きっと悪人面をしていることだろう。多大な犠牲を払いながら簒奪を成し遂げた者と同じような気持ちを持って、私は笑った。(いや、簒奪したことないから、ただの想像なんだけどさ!)
 失った者や物のことを考えれば、せめてこの程度は、手に入れなければ…!

「さてと。おっきな仕事だね、実に大変なお仕事だ。」
「…はい」
「蓬山へ行こっか。まずはできること、やらなくちゃいけないことを確実にこなしていこう。」
「はい、…主上、巧を、この国と民を、お頼み申します!」
「うん。」
 答えると涙を浮かべながらも嬉しそうに、頼もしそうに笑った塙麟を促して、私たちは歩き始めた。
 塙麟は再び転変して、背に私を乗せて駆ける。
目指すは世界の中心、蓬山だ!