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へなちょこマ王とじょおうさま 「13、名前」

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 ずっと海を見つめていた私の身体は冷え切り、仙とはいえ、なんだか風を引いたような、頭が痛くなってきたような気がしたころ、ヨザックに船の船室の中から声を掛けられてようやく海から目を逸らした。
「はーい!」
 返してから、船室に入るために扉に手をかけた状態で首だけ後ろを振り返り、一面闇が広がる海を見据える。
 外界に行くために通過する国々は現在、安定した朝が続いているから心配はないが、巧国の北、舜はいまだ王が立たずに国が荒れ、国を捨てて他国に逃げる難民が出続けている現状だ。舜は島国だから、島国に囲まれた陸続きの巧と恭が荒れたときのようには逃げるのも簡単ではない。
 今は安定した国が中央にある状態だから、それでもまだ島国から島国に行くよりはマシだろうけれど…。
 他国のためにも、みんなのためにも、なによりも誰よりも、私に人生すべてをかけてくれている塙和のためにも、私は堕ちるわけにはいかないな!と、私は想いを新たにしていた。

「ヨザック!夕飯はなに~?」
 子供らしい反応を。
 少なくとも、この時だけは国を背負った王様としてではなく、見た目通りの子供でいよう。