星のひらめき
「もちろん、俺がもっと素敵でカッコいいヒーローになる!」
「はぁ?」
「知らないのかい?スーパーマンは"クリプトン星"から来たんだぞ」
「あ、そう」
幼い理由だと嘲りながら、アメリカを見上げる。
アメリカはにかっと彼の笑みをしてすぅっと生きを吸い込んだ、一瞬の間
「それにっ!」
何よりも大きな声を出し
「この素晴らしい光が目に入らないのかい!こんなに綺麗なものでできているんだ、いっそう凄くなるに決まっているだろう!
なあ、ロシア!俺は絶対にこの宇宙を手に入れるぞ!」
クライマックスの役者がするように絢爛たる天を仰ぎ、高らかに宣言したその声は透き通り玲瓏の響きをもってロシアに届く。ああ、まさに僕は観客なのだろうか
キラキラとした彼の目はシリウスに似て、それは、ロシアが始めて(生まれて初めて見たあの)星に違いなかった。あの時、確かにロシアは畏れた。大いなるその輝きと虚空を。しかし解ってもいた、その光を求めてしまうことを。ただ手に入らないと、諦めた降りをしていただけだった。ここは、ロシアだもの、暖かいものなんてないよ。そう自分に言い聞かせていたように、空だもの、と。
星が煌めく。
その煌めいたままを語るかれを疎ましく思う。だが、けれど、こんなにも空にこがれているのは、多分同じだ。そして、彼は主役ではない、そしてロシアも観客ではないだから――。
「なにさ、打ち上げ多くないくせに。絶対僕の方が君より先に空を手に入れるよっ!絶対に!」
「予算削減されたロシアに言われたくないね!」
「君なんて落ちて頭打っちゃえ!」
「ウォッカ切れでくたばるのはそっちだろっ!」
その大いなるきらめきよ、栄光と祝福を。
雪降れるそらの上なるここかしこ白く大いなる星のひらめき