東方～宝涙仙～ 其の拾(10)
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東方〜宝涙仙〜
「んー、クラゲみたいなもんじゃない？」
ー紅魔館付近(爆発後)ー
レミリアと魔理沙の二人は紅魔館付近まで来ていた。
「お、おい。あ、あれ煙でてるぜ」
魔理沙が目前の紅魔館から立ち上がる煙を見て言った。紅魔異変の時よりも危険な気がしてならない魔理沙。
「派手に爆発したようね」
冷静さを保つように言ったレミリアの口調は震えていた。口調の震えるレミリアを初めて見た魔理沙は慰めることも励ますこともできず、ただ見ているしかなかった。
「なんで私の周りは不幸に襲われるのかしら…。私が…どうせ私が不幸の中心なんでしょう？」
自分を責めだすレミリア。いつか狂い出して自ら紅魔館を破壊してしまいそうなほどに責めだす。
自分のせいで妹が狂い紅魔異変が起こり、自分のせいで咲夜は妹に殺されたと思い始め、同時にレミリアは妹フランドールを憎んだ。
「毎回毎回毎回毎回…毎回フランが…今回も絶対にフランの仕業だわ。どうやって監禁を解いたあの悪魔」
レミリアがボソッと放った独り言に魔理沙が反応する。
「ちょっと待てよ、なんでメイドを殺したのがフランだって言い切るんだよ！あんまりだぜ」
つっかかる魔理沙にレミリアは「あ？」という表情を向ける。
「紅魔館内にそんなことするのはアイツしかいないじゃない。それにアイツと咲夜が遊びに行ったときに咲夜は殺されたのよ？確信犯じゃない！」
「二人きりで遊びに行ったのか？」
「ええ、紅魔異変の後アナタ達のおかげでおとなしくなったフランを信じた私が馬鹿だったわ」
「ようするにフランドールは紅魔異変の後咲夜を殺すために猫かぶってたっていいたいのか？」
「まさにその通りよ」
「アタシは違うと思うぜ」
「二人きりの時に殺されてるというのにアナタは反論できるんだから、それ相応の考えがあるのかしら？」
「今は…ないぜ」
「それに今回の事件の話に戻ると、爆発系攻撃を行えるのはパチェかフランしかいないの」
「……」
「パチェがわざわざ紅魔館を破壊するとは思えないわ」
魔理沙は対抗できなかった。パチュリーだけがひいきされるのもおかしいと思ったが、フランドールのほうが怪しまれても今までのフランドールの行動的に文句は言えない。
魔理沙は黙り込んで煙の上がる紅魔館をただ見るしかなかった。
「ただ―」
「え？」
レミリアが口を開き魔理沙に語りかけた。
「ただ、今回はフランの仕業であってほしくない。私はもうこれ以上あの子を嫌いになりたくない」
魔理沙はこれに対しても返答できなかった。
しかし魔理沙は少し嬉しかった。完全に妹を嫌ってはいない姉を暖かい笑顔で見つめた。
「異変の匂いがするぜ、霊夢も呼ぼうか？」
「そうしましょう、アレがいればだいぶ安心するわ」
「アタシじゃ役不足か？」
アハハと苦笑いを浮かべる魔理沙は心の中でかすかに傷ついているのを実感した。
「犯人をより痛めつけるなら、二人より三人がいいじゃない」
「なーるほど、同感だぜ。じゃあアタシは霊夢を呼びに、レミリアは紅魔館の状況を知る為に紅魔館へ！」
「把握したわ、まかせなさい」
「アタシと霊夢が到着する前に負けちゃダメだぜ？」
「はいはい、フラグ回収しといてあげるわ」
「フラグの意味わかってるか？」
「んー、クラゲみたいなもんじゃない？」
「おー」
レミ：(あら、本当にクラゲみたいのであってたようね。)
魔理：(意味知らないで使ってたのか。)
「とりあえずなんであれ、私は紅魔館のある東へ」
「アタシは神社のある西へ！」
こうして二人はバラバラにばってそれぞれの行く先へ向かった。
ー魔理沙側ー
「また戻るのめんどくさいぜ」
少々乗り気じゃなくなった魔理沙。今まで来た道を引き返すのはめんどくさい。そして霊夢を呼んだ後またここを通らなければならない。
おそらくホウキに乗っての移動じゃなかったら魔理沙もレミリアについて行っていただろう。ホウキ便利便利万歳。
「ふぇー、何事だ？またやけに寒くなってきたぞ、紅魔異変以来だぜ」
魔理沙に肌寒さが伝わってきた。それもそのはず、魔理沙の下にはチルノと大ちゃんがいた。そしてチルノに関してはパーフェクトフリーズを放っている。
「待て魔法使いぃぃぃぃぃぃぃ！！！」
「やめなよチルちゃん！」
チルノを必死でやめさせようとする平和主義者大ちゃん。
「どうしたー、アタイが怖いのかー！？」
挑発するチルノに魔理沙は乗ってあげた。まあ、こんなの相手にしてる暇はないのだけれども。
「降りてきてやったぜ」
「お、おう。ホントに降りてくるとは。アタイの計画ミスだった」
「残念ながら今は戦う気ないぜ」
「ならよかっ…残念だ！ハードボイルドなアタイは戦う気まんまんだった！」
「はあ？」
チルノの見え見えな強がりに呆れるように笑う魔理沙。
「魔理沙さん、博麗神社に向かってるんですか？」
「ん？そうだよ。霊夢に用があってね」
「まさか、異変…ですか？」
「んー、アタシもまだハッキリはわからないんだ。今レミリアが捜索に向かってる」
「異変！？アタイも混ぜろ！！」
「ちょっとチルちゃんは静かにしてて。レミリアさんが関わってるってことは、紅魔館に何か起きてるんですか？」
焦る大ちゃん、いじけるチルノ。
「異変というか紅魔館の一部が爆発して、紅魔館の連中も大変だぜ」
「あの…魔理沙さん…」
大ちゃんが声色を変えた。その様子に魔理沙も真剣な表情で話を聞き始めた。
「実はルーミアちゃんと、その友達のかぼちゃんって子がいて、今紅魔館へ向かってるんです。私たちも向かってるんですがどっちのほうが早く着くか競争してて…」
「つまりそいつらは今頃紅魔館に向かってるのか？」
「…はい」
「困ったぜー。うん、でもまあ任せとけ！霊夢を呼んだら最初にそいつらの捜索に向かうぜ！」
「本当ですか！？ありがとうございます！あの、私たちも紅魔館へ向かったほうがいいでしょうか」
「紅魔館には入らないでその二人を探してくれ！」
「わかりました。もし私たちが先に二人を見つけた場合は―」
「おとなしく紅魔館から離れろ」
「あ、はい。よろしくお願いします」
大ちゃんはチルノの手を引いてルーミアとかぼちゃんを探しに向かった。チルノは大ちゃんに手を引かれながら「次会ったら戦うからなー！」と叫び残して去って行った。
真面目な雰囲気から一転して魔理沙も「次はもうないと祈るぜー！」と叫び返した。さすが心の広く子供の相手の上手い魔理沙であった。
「さてと、霊夢んとこ向かうぜ」
魔法使いはホウキを加速させた。
ーレミリア側ー
紅魔館の主、レミリア・スカーレットは動揺していた。
魔理沙といるときは隠していたが、内心謎の事件に対する恐怖が湧いていた。咲夜が殺された時の恐怖と悲しみと絶望と似た感覚。あれ以来レミリアは妹を恐れ監禁を命じて安心感に浸りきっていた。
しかし今回の紅魔館の炎上によってレミリアの妹に対する恐怖が蘇ったようで、平常心ではいられなくなっていた。
東方〜宝涙仙〜
「んー、クラゲみたいなもんじゃない？」
ー紅魔館付近(爆発後)ー
レミリアと魔理沙の二人は紅魔館付近まで来ていた。
「お、おい。あ、あれ煙でてるぜ」
魔理沙が目前の紅魔館から立ち上がる煙を見て言った。紅魔異変の時よりも危険な気がしてならない魔理沙。
「派手に爆発したようね」
冷静さを保つように言ったレミリアの口調は震えていた。口調の震えるレミリアを初めて見た魔理沙は慰めることも励ますこともできず、ただ見ているしかなかった。
「なんで私の周りは不幸に襲われるのかしら…。私が…どうせ私が不幸の中心なんでしょう？」
自分を責めだすレミリア。いつか狂い出して自ら紅魔館を破壊してしまいそうなほどに責めだす。
自分のせいで妹が狂い紅魔異変が起こり、自分のせいで咲夜は妹に殺されたと思い始め、同時にレミリアは妹フランドールを憎んだ。
「毎回毎回毎回毎回…毎回フランが…今回も絶対にフランの仕業だわ。どうやって監禁を解いたあの悪魔」
レミリアがボソッと放った独り言に魔理沙が反応する。
「ちょっと待てよ、なんでメイドを殺したのがフランだって言い切るんだよ！あんまりだぜ」
つっかかる魔理沙にレミリアは「あ？」という表情を向ける。
「紅魔館内にそんなことするのはアイツしかいないじゃない。それにアイツと咲夜が遊びに行ったときに咲夜は殺されたのよ？確信犯じゃない！」
「二人きりで遊びに行ったのか？」
「ええ、紅魔異変の後アナタ達のおかげでおとなしくなったフランを信じた私が馬鹿だったわ」
「ようするにフランドールは紅魔異変の後咲夜を殺すために猫かぶってたっていいたいのか？」
「まさにその通りよ」
「アタシは違うと思うぜ」
「二人きりの時に殺されてるというのにアナタは反論できるんだから、それ相応の考えがあるのかしら？」
「今は…ないぜ」
「それに今回の事件の話に戻ると、爆発系攻撃を行えるのはパチェかフランしかいないの」
「……」
「パチェがわざわざ紅魔館を破壊するとは思えないわ」
魔理沙は対抗できなかった。パチュリーだけがひいきされるのもおかしいと思ったが、フランドールのほうが怪しまれても今までのフランドールの行動的に文句は言えない。
魔理沙は黙り込んで煙の上がる紅魔館をただ見るしかなかった。
「ただ―」
「え？」
レミリアが口を開き魔理沙に語りかけた。
「ただ、今回はフランの仕業であってほしくない。私はもうこれ以上あの子を嫌いになりたくない」
魔理沙はこれに対しても返答できなかった。
しかし魔理沙は少し嬉しかった。完全に妹を嫌ってはいない姉を暖かい笑顔で見つめた。
「異変の匂いがするぜ、霊夢も呼ぼうか？」
「そうしましょう、アレがいればだいぶ安心するわ」
「アタシじゃ役不足か？」
アハハと苦笑いを浮かべる魔理沙は心の中でかすかに傷ついているのを実感した。
「犯人をより痛めつけるなら、二人より三人がいいじゃない」
「なーるほど、同感だぜ。じゃあアタシは霊夢を呼びに、レミリアは紅魔館の状況を知る為に紅魔館へ！」
「把握したわ、まかせなさい」
「アタシと霊夢が到着する前に負けちゃダメだぜ？」
「はいはい、フラグ回収しといてあげるわ」
「フラグの意味わかってるか？」
「んー、クラゲみたいなもんじゃない？」
「おー」
レミ：(あら、本当にクラゲみたいのであってたようね。)
魔理：(意味知らないで使ってたのか。)
「とりあえずなんであれ、私は紅魔館のある東へ」
「アタシは神社のある西へ！」
こうして二人はバラバラにばってそれぞれの行く先へ向かった。
ー魔理沙側ー
「また戻るのめんどくさいぜ」
少々乗り気じゃなくなった魔理沙。今まで来た道を引き返すのはめんどくさい。そして霊夢を呼んだ後またここを通らなければならない。
おそらくホウキに乗っての移動じゃなかったら魔理沙もレミリアについて行っていただろう。ホウキ便利便利万歳。
「ふぇー、何事だ？またやけに寒くなってきたぞ、紅魔異変以来だぜ」
魔理沙に肌寒さが伝わってきた。それもそのはず、魔理沙の下にはチルノと大ちゃんがいた。そしてチルノに関してはパーフェクトフリーズを放っている。
「待て魔法使いぃぃぃぃぃぃぃ！！！」
「やめなよチルちゃん！」
チルノを必死でやめさせようとする平和主義者大ちゃん。
「どうしたー、アタイが怖いのかー！？」
挑発するチルノに魔理沙は乗ってあげた。まあ、こんなの相手にしてる暇はないのだけれども。
「降りてきてやったぜ」
「お、おう。ホントに降りてくるとは。アタイの計画ミスだった」
「残念ながら今は戦う気ないぜ」
「ならよかっ…残念だ！ハードボイルドなアタイは戦う気まんまんだった！」
「はあ？」
チルノの見え見えな強がりに呆れるように笑う魔理沙。
「魔理沙さん、博麗神社に向かってるんですか？」
「ん？そうだよ。霊夢に用があってね」
「まさか、異変…ですか？」
「んー、アタシもまだハッキリはわからないんだ。今レミリアが捜索に向かってる」
「異変！？アタイも混ぜろ！！」
「ちょっとチルちゃんは静かにしてて。レミリアさんが関わってるってことは、紅魔館に何か起きてるんですか？」
焦る大ちゃん、いじけるチルノ。
「異変というか紅魔館の一部が爆発して、紅魔館の連中も大変だぜ」
「あの…魔理沙さん…」
大ちゃんが声色を変えた。その様子に魔理沙も真剣な表情で話を聞き始めた。
「実はルーミアちゃんと、その友達のかぼちゃんって子がいて、今紅魔館へ向かってるんです。私たちも向かってるんですがどっちのほうが早く着くか競争してて…」
「つまりそいつらは今頃紅魔館に向かってるのか？」
「…はい」
「困ったぜー。うん、でもまあ任せとけ！霊夢を呼んだら最初にそいつらの捜索に向かうぜ！」
「本当ですか！？ありがとうございます！あの、私たちも紅魔館へ向かったほうがいいでしょうか」
「紅魔館には入らないでその二人を探してくれ！」
「わかりました。もし私たちが先に二人を見つけた場合は―」
「おとなしく紅魔館から離れろ」
「あ、はい。よろしくお願いします」
大ちゃんはチルノの手を引いてルーミアとかぼちゃんを探しに向かった。チルノは大ちゃんに手を引かれながら「次会ったら戦うからなー！」と叫び残して去って行った。
真面目な雰囲気から一転して魔理沙も「次はもうないと祈るぜー！」と叫び返した。さすが心の広く子供の相手の上手い魔理沙であった。
「さてと、霊夢んとこ向かうぜ」
魔法使いはホウキを加速させた。
ーレミリア側ー
紅魔館の主、レミリア・スカーレットは動揺していた。
魔理沙といるときは隠していたが、内心謎の事件に対する恐怖が湧いていた。咲夜が殺された時の恐怖と悲しみと絶望と似た感覚。あれ以来レミリアは妹を恐れ監禁を命じて安心感に浸りきっていた。
しかし今回の紅魔館の炎上によってレミリアの妹に対する恐怖が蘇ったようで、平常心ではいられなくなっていた。
作品名：東方～宝涙仙～ 其の拾(10) 作家名：きんとき