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50:天使

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ケラケラという高い笑い声に、パッフィーは顔を真っ赤にして抗議する。
それでも笑っているカッツェに対し頬を膨らませてみたパッフィーだったが、すぐに安心した表情で肩を落とした。
「でも、その後お父様はわたくしを抱き締めてくださいました」
柔らかい声に、カッツェははっとして黙る。
「家族とはそういうものです」
かぞく、と小さく口の中で反芻する。
パッフィーは微笑み、つられてカッツェもへら、と笑った。
「血、止まりましたか?」
言われて、ハンカチを外し鼻の穴に触れてみる。
指に血が付いていないことを確認したカッツェは、パッフィーに満面の笑みを見せて勢いよく立ち上がった。
「よっしゃー!カッツェ様ふっかぁーつ!」
パッフィーは小さく拍手をして、では、帰りましょう、と笑った。

皆のところへ戻ると、ヒッテル達はまだ居なかった。
「カッツェ…大丈夫か?」
アデューが心配そうに声を掛けて来る。
「へーき平気!なんでもあらへんわ!おっサルトビ、薬草あんがとさんっ」
「いって」
ばちん、とサルトビの後ろ頭をはたき、カッツェはからからと笑う。
「わてもう寝るわー。火の番よろしゅうな~」
そう言って、カッツェはさっさと布団を敷き皆に背を向けて潜り込んだ。
「元気そうじゃん…」
呟いたアデューは、兜をさするサルトビと顔を合わせ、二人で軽い溜息を吐いた。
イズミはそれを横目で見て微笑む。



天使なんていない。
聖人にはなれない。

だけどそれでいい。



兄妹はどちらとも謝らなかった。
だが遅れて戻ったヒッテルは、いつものようにマットレスをカッツェの横に敷きそこで眠った。
カッツェはそれに気付きながら黙って受け入れ、そんな兄がおかしくて、毛布の下で少し笑った。



FIN.
作品名:50:天使 作家名:ぼたん