0505
5月5日。
世間一般的にはゴールデンウィーク、当然学校も休みである。
しかし今、並盛中学校に二人の生徒がいる。
一人は貢ぎ物を持って。
もう一人はその貢ぎ物を楽しみにして。
「遅くなりました!」
「ほんとに遅かったね。待ちくたびれたよ」
「すっ、すみません!」
ソファにふんぞり返っている雲雀に睨まれ、綱吉は危うく抱えている箱を落としそうになった。
今日は雲雀の誕生日。
なのにギリギリ前日になってもプレゼントを思いついていない綱吉に、リボーンが渡したものだ。
『特別にオレが一肌脱いでやる。雲雀には言っといたからな』
綱吉は貸しひとつと不敵に笑う家庭教師に、この時ばかりは感謝せずにいられなかった。
「で、それが赤ん坊の言ってた『とっても楽しめるいいもの』かい?」
「はぁ、まぁ・・・」
何が入っているのかは、綱吉も知らない。
「ねぇ、さっさとよこしなよ」
「はっ、はいぃ!」
箱を受け取った雲雀は、早速リボンをしゅるしゅるとほどき始めた。
(楽しめるって・・・まさか死ぬ気丸とかじゃないよな!?やだよ、雲雀さんと戦うなんて!命がいくつあっても足りないよー!!)
綱吉の不安をよそに、箱はいともあっさり開けられた。
「・・・ワオ」
呟いた雲雀の後ろから、おそるおそる中身をのぞく。
「え・・・?」
赤、青、黄、白、ピンク、水色、紫、オレンジ。小さなハートマークやチェックの柄まで。
色や大きさに差異はあれど、箱の中に詰まっていたのは――――
「・・・・・・リボン?」
そう、リボン。
輪っか状に巻かれた色とりどりのリボンが、ぎっしり。
「な、なんでリボンなんかがこんなに・・・」
「赤ん坊も、なかなか良いことを思いつくじゃないか」
「へっ?」
「これ」
雲雀が指差したのは、箱の蓋の裏に書かれた文字。
流麗な筆記体で書かれたそれは、綱吉にはまったく読めない。
「イタリア語だよ。『プレゼントはあなたの目の前。お好きなラッピングでどうぞ』だってさ」
「はぁぁ!?」
「面白いね、貰ってからラッピングするプレゼントなんて。これは楽しめそうだ」
雲雀は、呆気にとられた綱吉の腕を引いてソファに無理やり座らせた。
「やっ、あの、」
「動かないで」
「はいっ!!」