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【臨静】別れを告げる先。

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いつもと同じ人混みの中。
その人の数のせいもあってか、少し暑さを感じる空気。
そんな中、目の前のこの憎たらしい男は今日も笑っていた。
「朝からこうして君に胸倉を掴まれるなんて、今日はとっても素晴らしい誕生日だよね、しずちゃん★」
「あぁ、そうか。よかったな、誕生日が命日と一緒になるだなんてよ…。」
人が集う街、『池袋』。
大通りの中心にて、もうすでに名物と化しているこのようなやり取り。
俺としては、早急にこいつ始末して静かに日常生活を送りたいところだが…
なかなかそうも行かないらしい。
「あっはっは、笑えない冗談はよしてよ、ははっ。」
そんな心の底から笑っているような奴には言われたくない冗談だ。
「まぁまぁ、落ち着けっつーの、2人とも。こんな人目に付くようなところでよ。」
声でわかるが、一度振り向く。
俺の後ろを少し遅れてやって来たトムさんの声に、自然と拳の力が弱まり、額から滲む血管が落ち着くのがわかった。
すると、どこからか…いやすぐそこ、顔の至近距離から面白くなさそうにため息が聞こえた。
「…なーんだ。やっぱり今日も連れがいるんだー。」
その緩んだ拳の先に居る男も、力が抜けたように言い放った。
「ん??」
「どういう意味だゴルァ。」
疑問形のトムさんの声を耳に入れながら、威嚇するように自然と口が動いた。
「ざーんねん。せっかくしずちゃんを連れ回してプレゼントでも買ってもらおうと思ったのにー。」
また拳に力が入った、はずが、
「あ゙?誰がてめぇの誕生日なん…っあ!くそっ…」
スッと簡単に男の体が離れる。誰もを嘲笑うかのような笑みで。まるで重力ん感じないかのように、軽く。
「じゃあ違う誰かに祝ってもらうことにするよ。ごめんね、しずちゃん。」
何が楽しいのか、そのまま軽い足取りで人混みの中へ消えていく。
「てめっ!待ちやがれっ…」



「…バイバイ。」



そう最後に言い残した、折原臨也の表情を人は何と呼ぶのだろう。
笑み?切なさ?期待?憐れみ?

その時の俺には、その表情の意味がわからなくて、




その答えを求めて、手を伸ばした。