【臨静】別れを告げる先。
人はこの感情のことを何と呼ぶのだろう。
怒り?怒り?怒り?殺ス?
答えを求めて手を伸ばした、その先には
何一つなかった。
せっかくの仕事が休みの午後に、池袋を探し回った結果。
折原臨也、あの存在自体が人を見下しているようなあいつの姿は、俺の目に映ることはなかった。
―池袋であいつを見かけない。
なんて素晴らしいことだ。
なんて平和なことだ。
そのはずなのに。
『…バイバイ。』
そう言って、いつものように別れを告げた後の、いつもと違う表情。
それが何回も頭を過ぎって、離れない。
理由がわからない。
気持ちが、気味が悪い。
「…くそがっ……」
吸っていた煙草を携帯用灰皿にグリグリと押し付ける。
半日走り回って見つからないのだから仕方がない。
新宿にでも帰ったのだろうか。
その先で待っている最悪の出来事を予知なんて出来るはずもなく、
俺はコンビニでプリンを買ってから、大人しく自宅へ帰ることにした。
作品名:【臨静】別れを告げる先。 作家名:ユーキャン