東方~宝涙仙~ 壱参(13)
東方〜宝涙仙〜 ※入力ミスが目立つ場合があります、ご注意したほうがいいですよ。
「さよなら、フラン」
ー紅魔館・元レミリア&フランドールの部屋ー
レミリアはフランドールに向けていた背中を回し、正面からフランドールと向き合った。
「あなたは私に殺されるのよ」
フランドールは姉の発する言葉を理解しようともしない。
殺される。親愛なる姉に殺される。反撃したいが元凶は自分のせい。
フランドール・スカーレットという存在で生まれてきてしまった事そのものの悔やみ。フランドールはレミリアに反発しなかった。
「あなたが私に殺されたら、私は自害するわ」
「お姉さまは死なないで」
弱々しくそこだけは主張した。しかしそれに対するレミリアの返答は予想通りだった。
「私も死ぬわよ。フランだけじゃかわいそうだもの」
フランドールは黙り込んだ。結局は姉が自殺の道を選んだのも自分のせいだとフランドールは責め始めたのだろう、失望を感じさせるように下に俯いていた。
自分を責める少女の目からは一筋の水滴が流れていた。
何に涙しているのだろうか、その意味さえもわからないほどに彼女の心は崩れていた。
妹の涙に気付いたレミリアは言葉をかける。その言葉は決して優しくもないが、フランドールはその言葉を受け入れた。
「最後になるでしょうけど、本気の姉妹喧嘩でもしようかしら」
「!?」
「フランが勝てれば、そうねえ…。フランの言うことを信用してやるわ。ただやるからには本気でいくわよ」
この言葉にフランドールは考えた。姉は何を言いたいのかさっぱり理解できなかった。
「お姉さまはフランと殺し合いをしたいの?」
「フランがわかりやすいように説明するならそういうことね」
「そうでもしないとお姉さまはフランを信じてくれないの?」
「もう信じれないわ」
「……」
「まだ反論したい?」
「もういいよ、何言ってもお姉さまは私を信じてくれない……」
「そう、なら覚悟はもうできたわね。さよならフラン…」
レミリアは牙をむき出すように口を曲げ、鋭く目線をフランドールに向けた。その顔に笑いはなかった。
脅しのつもりなのかはわからないが無論フランドール相手にそんな表情は無意味。フランドールはボロ人形のような暗い顔を床に向けて糸に吊るされているかの様に立ち尽くす。
フランドールのなにかが吹っ切れたかのように、目から落ちる雫が頬を伝わなくなった。
「ねえお姉さま、お姉さまはもうフランの味方にはなってくれないの?」
ボロ人形のか弱い声がレミリアの耳に届く。
「あんたを信じる奴なんてもうこの幻想郷にはいないんじゃないかしら」
レミリアは精神的に責めた。
そしてボロボロな紅いフランス人形はハハハと笑いだす。
その首が今にも落ちそうなほどボロボロな声で。
その吊るした糸が切れて今にも崩れ落ちそうな震えで。
「禁忌『レーヴァテイン』!!」
フランドールの手には炎を纏う棒状の物体が備えられた。
「ついに力で来たわね。神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」
対してレミリアの手には桃色の電気のようなものを纏う槍が現れる。
フランドールが壁ごと薙ぎ払うようにレーヴァテインを振り回す。振り回した後に飛び散る火の粉が弾幕となりレミリアを追尾する。
レーヴァテインを避け、弾幕をグングニルで突き消す。突いた先からはレーヴァテイン同様、桃色の電光が弾幕のように飛び散る。
グングニルから放たれた電光を避けきれず、フランドールは羽についている宝石のような結晶を数個砕かれた。
レーヴァテインはフランドールの体格に対して少々大きすぎる為、どうしてもフランドールの回避性能は低下してしまう。
しかしレミリアの場合は大きい槍ではあるが、武器そのものの中心を掴んで突く為回避もさほど低下しない。
フランドールに力がなかったら完全にフランドールのほうが不利だろうが、フランドールには計り知れない圧倒的な力がある。だからお互いは互角、またはフランドールのほうが上とみられる。
「そんな大きい剣、ただ振り回すだけじゃなかなか当たらないわよ」
「ハハハハ!お姉さまだってその程度で調子に乗ってちゃだめだよ!!」
フランドールはレーヴァテインを大きく振りかぶった。
「あんたの武器はそこが隙なのよ!」
レミリアはグングニルを持つ手を上に掲げ、槍投げの構えになった。
そのまま振り下ろされるレーヴァテインをバックステップでかわし、構えたグングニルをフランドールめがけて投げた。
「イ"ィぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
絶叫と共に部屋が煙に包まれた。
「地下生活しすぎて弱くなったんじゃない?フラン」
返事が来ない。しかしこれくらいでフランドールが力尽きるはずがないとレミリアは周りに警戒している。
「禁弾『カタディオプトリック』」
フランドールがどこかでスペルカードを唱える。
レミリアは目を見開いた。煙で見えない部屋のあらゆる方面から青い弾が飛んできた。大きい弾を先頭に、小さい弾がくっついて飛んでくる。
大きい弾をかわしたものの、小さい弾がレミリアの腕や横腹をえぐった。
「ッ痛!どこなのフラン!!」
「こっちだよお姉さま」
レミリアの真後ろにフランドールが立っていた。
レミリアはとっさに弾幕を放った。スペルカードを発動する暇なんてなかった。真後ろのフランドールは無傷で、いかにも裏のある笑顔で腕を伸ばしてレミリアをひっかこうと突っ込んできていた。
とっさに放った弾幕がフランドールの胴体を貫く。
フランドールはあっけなくボンッ と消えてしまった。
「あ、あれ?」
あっけなさに驚く。
「こんなにも簡単にあの子を……ッグフッ!」
驚いていたのもつかの間、レミリアの腹から手が生えていた。鮮血に染まる綺麗な手。
「ねえ、誰と戦ってるのお姉さま」
「フ…フラン……」
血をまき散らして腹から手が消える。
「ア"ァッ…!」
体に刺さったものは引き抜かれる時のほうが痛かったりする。
前方からさっきのスペルカードの残りの弾が飛んできた。避けきれず見事に羽に直撃。蝙蝠のような羽に穴が開いた。
「アハハハ、またね!」
そう言い残して真後ろのフランドールが薄暗い闇に消えてゆく。
「待ちなさい……。紅符『スカーレットシュート』…!」
紅い弾でできた弾幕を拡散させた。
「キャッ!」
当たった。確実に当たった。さっきのは幻覚だったのかもしれないが今回は確実に当たった。ダメージは与えれただろう。
レミリアは脳内で無数の言葉が浮かんでいた。軽くパニックなのだろう、口が閉まっていない。
「ただいま、お姉さま!」
レミリアは背中を引き裂かれた。
「ア"ァァァァッッ!!」
激痛が走り、血が舞う。もはやレミリア痛みに耐えることよりも精神状態を保つほうが困難になっている。
弾幕を撃とうと後ろを向いた瞬間に、下から伸びる手に掴まれて倒された。
「あぐっ、な、なんなの!?フラン以外にもいるの!?」
ついにレミリアは聞いてしまった。混乱が隠せないレミリアに、紅いフランス人形と同じ声が質問に答えを返してきてくれた。
「さよなら、フラン」
ー紅魔館・元レミリア&フランドールの部屋ー
レミリアはフランドールに向けていた背中を回し、正面からフランドールと向き合った。
「あなたは私に殺されるのよ」
フランドールは姉の発する言葉を理解しようともしない。
殺される。親愛なる姉に殺される。反撃したいが元凶は自分のせい。
フランドール・スカーレットという存在で生まれてきてしまった事そのものの悔やみ。フランドールはレミリアに反発しなかった。
「あなたが私に殺されたら、私は自害するわ」
「お姉さまは死なないで」
弱々しくそこだけは主張した。しかしそれに対するレミリアの返答は予想通りだった。
「私も死ぬわよ。フランだけじゃかわいそうだもの」
フランドールは黙り込んだ。結局は姉が自殺の道を選んだのも自分のせいだとフランドールは責め始めたのだろう、失望を感じさせるように下に俯いていた。
自分を責める少女の目からは一筋の水滴が流れていた。
何に涙しているのだろうか、その意味さえもわからないほどに彼女の心は崩れていた。
妹の涙に気付いたレミリアは言葉をかける。その言葉は決して優しくもないが、フランドールはその言葉を受け入れた。
「最後になるでしょうけど、本気の姉妹喧嘩でもしようかしら」
「!?」
「フランが勝てれば、そうねえ…。フランの言うことを信用してやるわ。ただやるからには本気でいくわよ」
この言葉にフランドールは考えた。姉は何を言いたいのかさっぱり理解できなかった。
「お姉さまはフランと殺し合いをしたいの?」
「フランがわかりやすいように説明するならそういうことね」
「そうでもしないとお姉さまはフランを信じてくれないの?」
「もう信じれないわ」
「……」
「まだ反論したい?」
「もういいよ、何言ってもお姉さまは私を信じてくれない……」
「そう、なら覚悟はもうできたわね。さよならフラン…」
レミリアは牙をむき出すように口を曲げ、鋭く目線をフランドールに向けた。その顔に笑いはなかった。
脅しのつもりなのかはわからないが無論フランドール相手にそんな表情は無意味。フランドールはボロ人形のような暗い顔を床に向けて糸に吊るされているかの様に立ち尽くす。
フランドールのなにかが吹っ切れたかのように、目から落ちる雫が頬を伝わなくなった。
「ねえお姉さま、お姉さまはもうフランの味方にはなってくれないの?」
ボロ人形のか弱い声がレミリアの耳に届く。
「あんたを信じる奴なんてもうこの幻想郷にはいないんじゃないかしら」
レミリアは精神的に責めた。
そしてボロボロな紅いフランス人形はハハハと笑いだす。
その首が今にも落ちそうなほどボロボロな声で。
その吊るした糸が切れて今にも崩れ落ちそうな震えで。
「禁忌『レーヴァテイン』!!」
フランドールの手には炎を纏う棒状の物体が備えられた。
「ついに力で来たわね。神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」
対してレミリアの手には桃色の電気のようなものを纏う槍が現れる。
フランドールが壁ごと薙ぎ払うようにレーヴァテインを振り回す。振り回した後に飛び散る火の粉が弾幕となりレミリアを追尾する。
レーヴァテインを避け、弾幕をグングニルで突き消す。突いた先からはレーヴァテイン同様、桃色の電光が弾幕のように飛び散る。
グングニルから放たれた電光を避けきれず、フランドールは羽についている宝石のような結晶を数個砕かれた。
レーヴァテインはフランドールの体格に対して少々大きすぎる為、どうしてもフランドールの回避性能は低下してしまう。
しかしレミリアの場合は大きい槍ではあるが、武器そのものの中心を掴んで突く為回避もさほど低下しない。
フランドールに力がなかったら完全にフランドールのほうが不利だろうが、フランドールには計り知れない圧倒的な力がある。だからお互いは互角、またはフランドールのほうが上とみられる。
「そんな大きい剣、ただ振り回すだけじゃなかなか当たらないわよ」
「ハハハハ!お姉さまだってその程度で調子に乗ってちゃだめだよ!!」
フランドールはレーヴァテインを大きく振りかぶった。
「あんたの武器はそこが隙なのよ!」
レミリアはグングニルを持つ手を上に掲げ、槍投げの構えになった。
そのまま振り下ろされるレーヴァテインをバックステップでかわし、構えたグングニルをフランドールめがけて投げた。
「イ"ィぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
絶叫と共に部屋が煙に包まれた。
「地下生活しすぎて弱くなったんじゃない?フラン」
返事が来ない。しかしこれくらいでフランドールが力尽きるはずがないとレミリアは周りに警戒している。
「禁弾『カタディオプトリック』」
フランドールがどこかでスペルカードを唱える。
レミリアは目を見開いた。煙で見えない部屋のあらゆる方面から青い弾が飛んできた。大きい弾を先頭に、小さい弾がくっついて飛んでくる。
大きい弾をかわしたものの、小さい弾がレミリアの腕や横腹をえぐった。
「ッ痛!どこなのフラン!!」
「こっちだよお姉さま」
レミリアの真後ろにフランドールが立っていた。
レミリアはとっさに弾幕を放った。スペルカードを発動する暇なんてなかった。真後ろのフランドールは無傷で、いかにも裏のある笑顔で腕を伸ばしてレミリアをひっかこうと突っ込んできていた。
とっさに放った弾幕がフランドールの胴体を貫く。
フランドールはあっけなくボンッ と消えてしまった。
「あ、あれ?」
あっけなさに驚く。
「こんなにも簡単にあの子を……ッグフッ!」
驚いていたのもつかの間、レミリアの腹から手が生えていた。鮮血に染まる綺麗な手。
「ねえ、誰と戦ってるのお姉さま」
「フ…フラン……」
血をまき散らして腹から手が消える。
「ア"ァッ…!」
体に刺さったものは引き抜かれる時のほうが痛かったりする。
前方からさっきのスペルカードの残りの弾が飛んできた。避けきれず見事に羽に直撃。蝙蝠のような羽に穴が開いた。
「アハハハ、またね!」
そう言い残して真後ろのフランドールが薄暗い闇に消えてゆく。
「待ちなさい……。紅符『スカーレットシュート』…!」
紅い弾でできた弾幕を拡散させた。
「キャッ!」
当たった。確実に当たった。さっきのは幻覚だったのかもしれないが今回は確実に当たった。ダメージは与えれただろう。
レミリアは脳内で無数の言葉が浮かんでいた。軽くパニックなのだろう、口が閉まっていない。
「ただいま、お姉さま!」
レミリアは背中を引き裂かれた。
「ア"ァァァァッッ!!」
激痛が走り、血が舞う。もはやレミリア痛みに耐えることよりも精神状態を保つほうが困難になっている。
弾幕を撃とうと後ろを向いた瞬間に、下から伸びる手に掴まれて倒された。
「あぐっ、な、なんなの!?フラン以外にもいるの!?」
ついにレミリアは聞いてしまった。混乱が隠せないレミリアに、紅いフランス人形と同じ声が質問に答えを返してきてくれた。
作品名:東方~宝涙仙~ 壱参(13) 作家名:きんとき