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さっそく手渡された報告書のチェックを始めた、セブンの横顔を見つめる。
クラサメの提案によって増えたささやかな楽しみである。
クイーンほどではないけれど律儀な彼女のチェックは、内容から文法まで一通り確認するらしく、とても長い。
その間暇なので見ててもいいかとこの前尋ねたところ、邪魔しないなら、という条件でなんと許可がおりたのだ。
自分から頼んでおいてなんだが、苦笑だけであっさりと流されたことにかなり驚いた。
こんなに分かりやすく思いを伝え続けても、本気だと分かってもらえてないのは口惜しい。
けれど、これも折角の好機なので遠慮なく不足分を補わせてもらう。
きめの細かい白い肌も、首筋を覆う長さの銀髪も、伏せられた瞼の下をゆっくりと動く紫の瞳も、あまり開かれず結ばれている薄い唇も、すべてが綺麗だと思う。
でも、こっちを振り向いて、笑ってくれればもっといい。

「セブン」

名を呼びながら、くるくるとセブンの髪を弄ぶ。
多分セブンの視界の端っこにギリギリうつる位置だから、相当煩わしいだろう。
それでも彼女は報告書から目を離さない。
その注意力に感心すると共に、面白くないという不満もまた顔を出す。
こちらからでは細かい表情は見えない上に、報告書が彼女の全てを独占している。
紙切れごときにまで嫉妬している自分はやっぱり可笑しいと思うけれど、先程の男子候補生の顔がちらりと浮かぶ。彼は少なくとも、セブンに「男子候補生」として認識されているのだろう。それだけでも、やはりずるい。
すでに効力を失った、邪魔をしないという約束と一緒に報告書も破り捨ててしまいたい。
頼んでおきながら何を、と怒るのだろうか。全くお前は、と呆れるのだろうか。
もしかしたら、そんな理不尽にも苦笑で返されてしまうかもしれない。

それは、とても、いやだ。

「ねぇ」
「セブンってば~」


「どうした?ジャッ……」

驚きに見開かれた瞳が、ぼやけるほど間近にある。
触れるだけの、戯れのような口付け。
こんな生易しい触れ合いばかり求めているから、彼女は気付いてくれないのだろうか。

「僕を見てよ」

まだ驚きに取り残されたままの彼女の双眸を見つめたまま、搾り出せた言葉はそれだけだった。

「……こら」
「いたっ」
「誤解を受けるだろう」

優しく指で弾かれた額をさすりながら、笑うしかない。
むしろ自分はすすんで誤解を受けたいのだと、いつになったら気付いてくれるのだろう。
聡い彼女が気付いていないとも思えないが、気付いていてさらに勘違いしている可能性も否定できない。
からかいでも冗談でもじゃれあいでもなく、僕は本気なのに。
人のことなら何にでもすぐ気がつくのに、自分に関することには疎いところもセブンの魅力のうちと思えるから始末に負えない。
それに、これほどアプローチし続けても、冗談で済ませられる男の気持ちなど察知して欲しくもない。
セブンがこちらの心情を察するのを、待つ必要もつもりもない。
彼女が振り向いてくれるまで、僕に微笑ってくれるまで、あらゆる手で呼び続けるだけだ。

「僕を、見て」

僕を見て
僕を見つけて

男として、僕を見て
君だけを見てる、僕を見て

作品名:look at me 作家名:みりん