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IS〈インフィニットストラトス〉~選ばれし者~

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プロローグ~始まりの風~


そこはとある研究室。一人の少年と一人の少女?が一つの黒い物体の前で話していた。

???『やっと完成したねキー君!!』

昭人『そうだな...。』

キー君と呼ばれる少年、今作品の主人公である神城昭人は口元を緩めながら素っ気なく返答する。

???『もぉ~、キー君はいつも素っ気なさ過ぎるよ!!こんなに可愛くて美人な女の子が話しているのに!!』

昭人『仕方ないだろ?』

???『仕方なく無いよぉ!!もぉキー君なんて知らない!!』

少女?は走って研究室を出て行った。残された昭人は溜息を吐いて呟いた。

昭人『はぁ...いつになったら成長してくれるのかねぇ...束さん。』

そう言って昭人は黒い物体に視線を向ける。その目はとても輝かしいものだった。

昭人『待たせたな、相棒...。』

昭人の言葉に反応するかのように起動する黒い物体。昭人はそれに触れて...合体した。

昭人『全システム、正常に稼動中。』

昭人はキーボードで次々とデータを設定している。そこに一人の少女?が現れた。先ほど逃げ出した、束と呼ばれた少女?篠ノ之束である。

昭人『束さんか...忘れ物でもしたか?』

束『キー君には明日からIS学園に行ってもらうから!!』

昭人『は?』

束『だから、IS学園だよ。明日からそこに通ってもらうよ!!』

昭人『急だな...はぁ。』

昭人は束の言葉に一瞬驚くが、理解し溜息を吐いた。

束『溜息ばっかり吐いてると、幸せ逃げるんだよ?』

昭人『俺の幸せなんざとっくに消えてる。』

束『またまたぁ、私がキー君を愛してるのもキー君の幸せの一つなんだよ。』

昭人『いつからあんたは俺と幸せを共有するようになったんだ?まぁいい。支度をして、今夜には出るから...。』

昭人が言うと、少し残念そうな顔をする束。

束『えぇ~、早過ぎるよ...。』

昭人『明日入学式だろ?今夜には出ないと間に合わない。んじゃ、支度するから。』

昭人は黒い物体を指輪に変えて研究室を出た。束は彼の背中を只々見つめていた。
それから支度を終えた昭人は、自室に居た。

昭人『ふわぁ...そろそろか。』

昭人はなぜか用意されていた制服を着て、荷物を詰めたキャリーを引いて自室を出た。そして研究所の入り口。昭人よりも先に束が見送りをしに来ていた。

束『キー君。気をつけてね。キー君は天才中の天才だから、いつ何処で誰が狙ってくるか分からないから心配だよ。それと、制服似合うよ。なんか初々しい!!』

昭人『あぁ...。あと、そういうあんたはどうなんだ?逃げてばかりじゃ寿命縮むぞ?』

昭人は笑ながら束の頭に手を置く。

束『大丈夫!!私はキー君が死ぬまで死なないよ。私は不死身なのだ!!』

昭人『もはや成長という機能が縮んでる...。』

昭人は心で呟いた。それからしばらくの間、二人は話していた。

昭人『それじゃ、行くよ。』

束『うん。あと、あっちにもう一人男の子が居るんだ。私の妹の幼馴染なのだよ。』

昭人『確か...織斑だったか?』

束『そう。いっくんだよ!!あと妹は箒ちゃん!!』

束が胸を張って言う。

昭人『はぁ...んじゃ。』

束『本当に大丈夫?』

束が涙目で見てくる。普通の人間ならノックアウトだが、昭人は慣れたのか溜息混じりに返事をする。

昭人『何処ぞの誰かさんみたいに、いつまでも子供じゃないからな。それに、こいつだってある。』

そう言って昭人は指輪をかざす。

束『Blind Shadow...。』

『Blind Shadow』、昭人が考えた完璧な構造図により完成した昭人専用IS。

昭人『だから心配はいらない...。』

束『はいはい。分かりましたよぉ~だ!!行ってらっしゃい、キー君。』

昭人『あぁ。』

そう言って昭人は風のように去って行った。
そして翌日...。

昭人『...デカイ。』

昭人はIS学園に到着した。