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IS〈インフィニットストラトス〉~選ばれし者~

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第1話~クラスメイトは全員女子...ではないらしい~


そこはIS学園。アラスカ条約に基づいて日本に設置された、IS操縦者育成用の特殊国立高等学校。操縦者に限らず専門のメカニックなど、ISに関連する人材はほぼこの学園で育成される。また、学園の土地はあらゆる国家機関に属さず、いかなる国家や組織であろうと学園の関係者に対して一切の干渉が許されないという国際規約があり、それ故に他国のISとの比較や新技術の試験にも適しており、そういう面では重宝されている。ただしこの規約は半ば有名無実化しており、全く干渉されない訳ではないというのが実情である。
敷地内にはIS訓練用のアリーナの他、二人一部屋の学生寮や食堂、大浴場も設けられている。しかし女性だけの使用が前提とされている。
IS学園の制服は個人でカスタムが自由となっている。学年毎に胸元のリボンの色が違い、一年は青、二年は黄、三年は赤となっている。一方、水着と体操着は学園から指定されているものがあり、紺色のスクール水着とブルマーが指定されている。
ヒロイン勢を除けば、専用機を所持しているのは二年生では二人、三年生では一人しかいない。
そんなIS学園の正門の前に立っている少年、神城昭人。

昭人『...デカイ。』

???『おい、お前!!』

昭人『ん?』

一人呟いていた昭人の前に、一人の女性が仁王立ちしていた。

???『お前だ。見ない顔だな...それに男。男は一人と聞いているが、何処から来た?』

女性は昭人を睨む様にみて言った。

昭人『あれ?束さん...まさか。』

昭人はいつもの様に溜息を吐いた。女性はハッとした表情でくちを開く。

???『いま、束と言ったか!?』

昭人『あぁ、篠ノ之束だ。彼女から今日からここに通えと言われたから来たんだ。まぁ、聞いてないなら俺は帰る。じゃぁ...。』

その場を去ろうとした昭人を、女性が止めた。

???『まぁ待て、私に任せろ。着いてこい。』

昭人は言われるがままに女性に着いて行った。着いたのは職員室。入ると、沢山の視線を浴びた。

???『自己紹介がまだだったな。私は織斑千冬。ここの教師を務めている。そして織斑一夏の姉だ。知っているだろ?』

昭人『はい、一応。俺は神城昭人。』

千冬『神城か。お前は篠ノ之束と知り合いらしいな。どういった関係だ?』

千冬が興味深そうに聞いて来た。

昭人『簡単に、ただの知り合い。同じ研究所で働いているだけです。』

千冬『そうか。なら、なぜここに?ISを動かせる男子は私の弟以外聞いていないが?』

昭人『はぁ...やっぱり伝わってなかったか。』

千冬『ん?』

昭人の呟きに首を傾げる千冬。すると昭人が千冬の耳元に口を近づける。

千冬『なっ、何を/////』

昭人『俺も...専用機持ちだからです。』

千冬『なに!?』

千冬は静かに目を見開き驚く。

千冬『しかし政府の発表では一人と...そうか。』

千冬は何かに気がついたように呆れた顔をした。そして再び昭人を見た。するとすかさず昭人が口を開く。

昭人『これは内密にしてもらいたい。』

千冬『なぜだ?』

二人は静かに話し始める。

昭人『俺の機体は、俺自身が作った...468機目の例外。』

千冬『っ!?』

昭人『公にすれば、必ず騒ぎになる。俺は面倒事が嫌いだ。分かってもらいたい。』

昭人は千冬に向けて深く頭を下げた。千冬は頷きながら了解した。

千冬『それにしても、お前が作ったとは驚きだな。』

昭人『10年かかった。』

千冬『10年だと!?それでは...5歳の頃から...そんなまさか。』

昭人『事実です。さて、そろそろ時間では?』

千冬『そうだな...しかし、どうするか。』

昭人『遅刻扱いで。』

千冬『...分かった。』

そう言って二人は職員室を後にした。
所変わってIS学園一年一組の教室前。千冬と昭人が立っていた。

千冬『それでは、話した通りにしろ。』

昭人『了解。』

そして千冬が教室のドアを開けた。千冬に続いて昭人が入る。その瞬間、教室内が静まり返った。

???『あっ、あのぉ...誰?』

千冬『あぁ、すまない山田君。彼は少々事情があって遅刻した。神城、自己紹介だ。』

昭人『神城昭人。よろしく...。』

出ました、神城昭人の適当かつ素っ気ない自己紹介!!クラスメイトは『えっ?それだけ?』とか『なんか感じ悪...』とかいう言葉を昭人に投げつける。その中で一人、なぜか喜んでいる男がいる。織斑一夏だ。

千冬『神城の席は...あそこだな。』

千冬が指差した席。奇跡的に空いてましたオーラプンプンの席だ。昭人はダラダラと歩きながらその席に座った。その後一夏が千冬に関羽とか呟いて叩かれていた。

千冬『山田君、続けてくれ。』

???『は、はいっ!!』

山田と呼ばれた女性は慌てふためいて返事をする。彼女の名前は山田真耶。一年一組の副担任である。見た目は...一言で済ませるなら『子供が無理して大人っぽくしました』的な感じだ。そして、千冬が自己紹介を始めた。

千冬『諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠十五歳を十六歳までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな。』

すると周りからは黄色い声が飛び交う。

『キャーー!千冬様、本物の千冬様よ!!』
『ずっとファンでした!!』
『私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!北九州から!』

なんだ最初のは、本物も偽物もあるのか?
二つ目はいい。
三つ目、別に南北海道でもいいんじゃないか?もしも千冬に会えなかったらどうしてたのお前って感じだ。

『私、お姉様のためなら死ねます!!』

なら死ねよ!!
きゃいきゃいと騒ぐ女子たちを、千冬は鬱陶しそうに見ている。

千冬『毎年、よくもこれだけの馬鹿どもが集まるな。正直呆れる...。』

千冬は溜息を吐いた。その後も女子たちは飛んだM発言を千冬に飛ばし続ける。昭人は呆れて寝てしまう。その後何があったかは...知る人ぞ知る。
それからしばらくして、チャイムが鳴った。

千冬『さぁ、SHRは終わりだ。諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう。その後実習だが、基本動作は半月で体に染み込ませろ。いいか?いいなら返事をしろ。よくなくても返事をしろ。私の言葉には返事をしろ。』

なんだこの鬼教師!?みたいな感じたが、この織斑千冬という女性は、第一世代IS操縦者の元日本代表だ。そして戦歴は無敗。昭人は頷く様に聞いていた。
そして長いSHRは終わった。それから一時間目のIS基礎理論授業が終わる。

???『な、なぁ...。』

昭人『ん?』

昭人に話しかけて来たのは、織斑千冬の弟、織斑一夏だった。寝ていた昭人は眼を軽く擦りながら一夏に顔を向ける。

昭人『何か俺に用か?』

一夏『い、いや...俺は織斑一夏。よろしくな。』

一夏は手を昭人に差し出してくる。

昭人『あぁ、知ってる。俺は神城昭人。』