新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第30話
第30話 「お茶会!〜異星人!」
初夏に入り、夏がいよいよ頭を出した。
そんなとある7月の上旬の放課後、生徒会室で書物を整理していた和は、あるモノを見つけた。
和 「ん?これは・・・?!」
手にしたもの。それは前生徒会長・曽我部恵の秋山澪ファンクラブの会員証だった。
和 「無くしてしまって捜していたけど、こんな所にあったのね!!曽我部先輩か・・・今頃どうしてるのかな・・・。」
生徒会室の窓から風が入り込む。カーテンが舞って書類がなびいた。
夕方の空を見ながら和は、曽我部を思い出す。それと同時に半強引ながらも澪ファンクラブの会長を引き継がされた事も思い出した。
和 「・・・・そういえば私、会員の引継ぎも頼まれたんだっけ・・・。」
和は、風になびかれながら一つのほのかな決心をした。
次の日の帰りのHR終了後。唯はシャーペンを頬にあてながらうんうんと唸っていた。
唯 「うーん・・・うーん・・・。」
唯は一つの紙と格闘していた。進路調査書だ。唯はまだ進路を決めれないでいた。そんな唯に姫子が覗き込むようにして声をかけてきた。
姫子 「どうしたの?唯?さっきからうんうん言っちゃって・・・。」
唯 「あ!姫ちゃん!まだ進路が決まらないんだよ〜・・・。」
その事を聞いた姫子はびっくりした。期限はとっくに過ぎていたからだ。
姫子 「ええ?!まだ進路調査の紙、出してなかったの?!」
唯 「ううーどうすればいいんだろ〜?姫ちゃーん・・・。」
姫子 「うーん・・・そんなコト言われても、進路ばかりは唯が決める事だし・・・。」
唯 「姫ちゃんはどうしたの?進路?」
姫子 「私は、就職にしたよ。地元だけどね。」
唯 「じゃ、就職にする〜・・・。」
唯は姫子の進路に考えなしに便乗して、シャーペンを進める。この行為に姫子も注意せずにはいられなかった。
姫子 「軽っ・・・って、それじゃだめだよ!もっと真剣に考えなきゃ!」
注意された直後に唯は姫子にすがりつく。姫子自身も対処に困ってしまった。
唯 「ふえーん・・・姫ちゃんどうしよう〜。」
姫子 「え・・・と・・・うーん・・・。」
するとそこへ調度いいタイミングで和が来た。和は昨日決めた事で唯に伝えに来たのだ。
和 「どうしたの?」
姫子 「あ、真鍋さん!実は・・・。」
姫子から事情を聞かされた和。事を把握した和は、キツイ一言を言ってみせる。
和 「もう・・・唯ったら・・・ホントにニートになっちゃうわよ?」
唯 「ひえええ?!!その言葉、今回は冗談抜きにキツイよっ!!!」
姫子 「結構辛口なんだね・・・真鍋さん・・・。」
和 「唯とは昔からの仲だから・・・時には甘やかすのを控えなきゃ・・・。」
姫子 「へぇ・・・。」
唯のあしらい方に慣れている和。姫子もひとつ勉強になった。だが、唯の仕方なさが姫子の母性本能をくすぐってならなかった。るーっと涙を流す唯の姿が余計にそうさせた。
唯 「ううう〜・・・。」
姫子 (って言われても・・・やっぱりなんだかほっとけない・・・。)
和 「もたもたしてると、そのうち呼び出しかかるかもよ?」
さわ子 『3年2組の平沢さん、田井中さん、至急職員室に来なさい・・・。』
教室の唯はギャグ涙をこぼし、廊下を歩いていた律がびくんっとなった。
唯 「はううう!!」
和 「ほら・・・。」
姫子 「あはははは・・・。」
一緒に歩いていた澪が律に心当たりがないかを立ち止まって問い質す。
澪 「律、なんかやったのか?」
律 「え?あ、いやー・・・なんだっけ?」
澪 「知るかっ!!とにかく、私達は先に行ってるからな!」
律 「ううーん・・・。」
頭をかきながら職員室へ向かった律。勘の鋭い紬が呼び出し理由を言い当てた。
紬 「あ!ひょっとして進路調査のことじゃない?ほら、この前まだ未定だーって言ってたじゃない?」
澪 「あいつ、まだ出してなかったのか・・・!!」
その後、部室にメンバーが召集し、呼び出しの話題をしながらティータイムをする。
澪 「・・・で、結局進路の事だったのか?」
律 「みっちりおこられちったい☆」
唯 「怒られちったい☆」
二人揃って同じ仕草をする唯と律。澪は溜息を吐いて忠告する。
澪 「はぁ・・・全く・・・のん気にしている場合じゃないぞ?このままじゃ・・・。」
和 「失礼しまーす。」
するとそこへ和が入ってきた。生徒会室へ行く途中だったらしく、生徒会の書類を抱えている。
澪 「あ!和ぁ!」
唯 「ああ!!和ちゃん!!進路のことでみっちり怒られてきたよぉー!!」
和 「何バカなコト言ってるの・・・自分の将来なんだからもっと真剣に考えないと・・・。」
唯 「ううう〜・・・。」
和が椅子に座ると、紬がケーキとお茶を出してくれた。
紬 「どーぞ〜和ちゃん。」
和 「あ、ありがとう、ムギ。」
澪 「それで今日はどうしたんだ?」
和 「単刀直入に言うけど、今度秋山澪ファンクラブのお茶会をやりたいと思ってね。」
澪 「ふえええ?!!」
澪ファンクラブのお茶会。それが和のやろうとしていることだった。恥ずかしがり屋な澪は、ガビーンとなってしまう。
和 「ああ・・・やっぱりそういうリアクションしちゃうのね・・・私としても本意的ではないんだけど、曽我部先輩から引き継いでしまったものだし、それにそれらしき活動をしてないとなると何だか申し訳なくって・・・。」
紬 「ふーん・・・それでお茶会をやろうと思ったの?」
和 「昨日、生徒会室で書類の整理をしていたら無くしていた会員証が出てきたの。それで曽我部先輩を思い出して、何かやろうと思ったのよ。」
だが、曽我部との直接の接点が無かった梓が質問した。
梓 「あの・・・曽我部先輩って・・・??」
律 「ああ、前の生徒会長だ。今年の3月にあった澪のストーカーの犯人だよ。てか澪ファンクラブを立ち上げた会長だったんだよ。」
和 「クスクス・・・まぁ、あの時は聡明な先輩のイメージが崩れ去ってしまったけどね。」
唯 「でもその後にやったサプライズに喜んでくれてたよねー!」
梓 「へぇ・・・そんなことがあったんですね。」
その話を聞きながら、律はこの前の真・ストーカー事件を回想していた。
律 (けどこの前、澪は本当のストーカーに襲われるハメになっちまったんだけどな・・・いやーあの時の勇士朗君はホントカッコよかったなぁ〜!!見てるこっちも内心痺れちまったぜっ!!)
補足ではあるが、ここでの律はヒーロー的な意味合いでカッコイイと思っていた。決してときめいてはいない。それはさて置き、和のお茶会案に律を筆頭に唯と紬が食いついてきた。
作品名:新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第30話 作家名:Kブレイヴ