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新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第30話

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  律 「・・・・でもいーな!!それ!!私らも協力するぜ!!」

  唯 「やろーよ!!和ちゃん!!」

  更に紬も目を輝かせてノってきた。

  紬 「お茶とケーキなら任せて!!」

  この状況に澪はギャグ顔の白目になり、汗をぴょぴょぴょぴょっと出して焦る。その顔は非常にかわいい。

  和 「じゃあ・・・私は呼びかけと日程の方を決めるから、内容は軽音部に任せたわ。」

  事はトントン拍子で進んで行った。澪の意に反し、お茶会は確実に実行する方向へ向かった。




  その日の帰り。勇士朗達にその話をしながら澪と律は寄り道していた。

  蓮 「へぇ・・・人気者は大変だぁ!」

  勇士朗 「さすが、秋山さんだ!それだけみんなを魅了するだけのモノを持ってるってコトじゃん!!」

  勇士朗に褒められると澪は顔を赤くして否定する。

  澪 「ええ?!そんなことないって!みんな私を美化し過ぎてるんだよ〜!」

  律 「おいおい・・・そんな事ファンのヒト気いてたら泣くぞ、澪ー。」

  澪は以前に比べれば少しは解消しつつあるが、未だに恥ずかしがり屋な面は健在だった。時として自分を否定してしまうくらいである。      

  ファンどころか一途に想い続けている勇士朗は口を挟めずに入られなかった。

  勇士朗 「そうだよ、秋山さん!美化とかそんなんじゃないよ。その・・・もっと自信もって!マジで秋山さんはビジュアル?違うな・・・あ!ルックスいいんだからさ!」

  澪 「勇士朗君・・・・。」

  すると律がほら見ろ的な口調で言う。何故なら、その昔に律が勇士朗と一緒の事を言っていたからだ。

  律 「ほーらな!!昔にも言ったじゃん!!自信もてーって!!」  

  澪 「律・・・。」

  蓮 「ところで、2人はいつから知り合ったんだ?」

  律 「え?小学校の頃だよ。あの時の澪は今より増して恥ずかしがり屋で大人しかったからな!」

  蓮が言い出しっぺで2人の過去の話が持ち上がった。この流れで勇士朗はそれまで知らなかった澪の一面を知る事となった。

  だが、過去の話をする余り、澪に軽い苛立ちが生じ始めた。

  澪 「あ〜・・・なんだか昔のコト思い出したらイライラしてきた!!律!!おでこ出せ!!」

  律 「へ??」

  澪はカバンから水性の黒ペンを取り出し、律のおでこに「目」と書いた。

  律 「な?!おでこがぁ〜・・・。」

  このやり取りに蓮が吹きだす。

  蓮 「ぷっ!!律っちゃんのおでこって面白いな!!おでこに目って・・・ぷははは!!」

  律 「なに〜?三つ目星人だぞ〜このやろー!!」

  蓮 「ぎゃはははは!!くすぐってー!!!」

  律にくすぐられる蓮。だが、不敵なまでに強気な表情に変貌する。

  蓮 「あ〜・・・・くくく、三つ目星人か・・・甘いっっ!!!澪ちゃん、俺にも描いてくれ!!文字じゃない目を!!」  

  澪 「え?!あ、ああ・・・・。」

  蓮に言われるように澪は蓮のでこに目を描いた。この時点で勇士朗だけは何をやりたいのか察しがついた。そして蓮のキャラが変わる。たちまち飛影の役になりきる。

  蓮 「くくく・・・三つ目星人など・・・甘すぎるぜっ!!俺は魔界の炎の力を得たモノだ!!」

  律 「は??」

  蓮 「だが、あいにくだがこの力は制御ができない!!よって手加減はできん!!気の毒だがなぁ!!!」

  するとこのネタが通じるだろう勇士朗に蓮は、くあっとなって振った。

  勇士朗 (やれやれ・・・。)

  蓮 「俺の邪眼をなめるなよぉっっ!!!炎殺っ・・・・黒竜波ぁああああああ!!!」

  これに勇士朗もあえて是流になりきってノリはじめた。

  勇士朗 「うおっっ!!!うおああああああああああ!!!」

  だが、この三文芝居は澪と律には通用せず、見事にすべる。2人ともどう突っ込んでいいのかわからず途方に暮れてしまったのだ。そしてあの独特の風が吹いた。

    チーン・・・・・ひゅおおおおぉ・・・・

  澪&律 「・・・・・えーと・・・。」

  勇士朗&蓮 (うーわっ・・・・・やっちまった・・・。)

  気を取り直して再び話を元に戻す。

  律 「・・・・それで、澪が県から作文の賞をもらった時があって、全校生徒の前で発表する事になったんだ。」

  蓮 「それで?」

  律 「今まで大きな声を出さなかった澪がさ、『みんなの前で発表だなんてやだー!!』って叫んだわけ!それでまー、余計に澪に興味出たっていうか・・・なんつーか・・・。」

  澪 「目の前にいる人をパイナップルだと思えって・・・律が言ってくれたっけ・・・そのおかげで発表の時、凄いリラックスできたんだ。」

  勇士朗 「なんかイイ話じゃん!」

  澪 「それがきっかけでよく家で遊ぶようになって・・・その時に自信持てとか言葉使いはこうだぜーとか色々・・・・いろいろ・・・・。」

  澪の表情に影が灯り始めた。

  勇士朗 「ん・・・?!」

  澪 「やっぱろくな事教えてもらえなかった気がする・・・。」

  律 「ひどくネ?!」

  澪 「でもまぁ・・・音楽を教えてくれたことは一番感謝してるかな!」

  照れくさげに言ってみせる澪。勇士朗達もパチパチと手を叩いた。

  勇士朗&蓮 「おお〜!」

  それにつられて律も照れくさい気分になった。

  律 「うっ・・・なんかこっちまで照れくさいやい!」

  澪 「くすっ!」




  そして、お茶会当日。律と唯の司会で進行する形で開催される。その場所に勇士朗達も入校許可証を付けて参加していた。

  律 「それではー、秋山澪による挨拶が終わったところで、琴吹家特性のケーキの登場ぅ!!今回のお茶会の為に作ってぇーもらいましたー!!」

  唯 「やっほ〜う!!」

  紬 「はいはーい!うんしょ、うんしょ!」

  テンション高めの律と唯の司会の下、紬が満面の笑顔でケーキを出してきた。そのスケールはウエディングケーキ級のものだった。

  澪 (でかっっ!!?)

  勇士朗&俊&光&蓮 「でけえええええ?!!」

  律 「ここで、ケーキ入刀に移りまーす!!それではぁ・・・・桜高の救世主のひとーりっ!!火鳥勇士朗君!!一緒にケーキ斬ってくーださーい!!」

  勇士朗 「な・・・・??!」

  事もあろうか勇士朗に振った律。勇士朗と澪は顔を真っ赤にした。ファンクラブの生徒達もきゃーきゃーひゅーひゅーと、黄色い声を上げた。

  照れくさそうに出てきた勇士朗。澪と二人でドキドキしながらナイフを持った。

  勇士朗 (ううお・・・まさかこんなに澪ちゃんと接近することになるだなんて・・・!!!)

  勇士朗は何だかんだで内心では「澪ちゃん」と呼んでいた。

  澪 (恥ずかしい・・・・でも・・・なんだか安心する。不思議だ・・・。)

  二人は顔を赤くさせたまま目を合わせてナイフを握る。

  勇士朗 「そ、それじゃあ・・・斬ろっか・・・。」