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新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第30話

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  勇士朗 (いずれにせよ・・・・またここが危ないのは変わりはない・・・!!!)

  再び訪れた桜高の危機に、勇士朗は急いで教室を飛び出そうと走り出す。その姿に反応した澪は、振り向きながら思わず叫んだ。

  澪 「勇士朗君ッ!!」  

  勇士朗は手で「行って来る」のサインをして教室を後にした。

  蓮 「やっぱ、そうくるよな・・・!!」

  俊 「ああ!!太陽の勇者の出陣だ・・・!!」

  光 「・・・・。」

  そして、光も躊躇しながらすっとブレスレット状のアイテムを制服のポケットから取り出した。

  唯と交際を始めたその日の夕暮れ時。光はエクスカイザーに自分の無力さに悔しい思いをしたことを告げていた。このアイテムはその時に授かったモノだった。



  回想



  唯の家。車庫の前に止まったエクスカイザーの前に勇や唯と一緒に光が立っていた。

  光 「エクスカイザー・・・・俺、正直悔しいぜっ!!!唯ちゃんを守れても、あんなんじゃ・・・・あんな様じゃ不甲斐無いぜっ!!俺も、勇士朗や勇さんみたいに闘いてぇっ!!!」

  勇 「・・・・。」

  悔しい想いに歯を食い縛る光。そんな光に唯が優しく接する。

  唯 「光君・・・そんなことないよ・・・光君が無理して闘うことなんて無いよ・・・それに・・・・光君が傷ついたら私、哀しい・・・。」

  光 「唯ちゃん・・・うっ・・・ありがとう。でも・・・俺っ・・・俺・・・!!!」

  好きな子の想いと闘いたい願望が錯綜する。そんな光の想いに勇が賛同する。彼もまた似た想いを懐いて闘いの運命に自ら身を投じていた。

  勇 「光・・・だっけ?光の言ってること、俺にはすげーわかるぜ!!それに、誰だって男は好きな女の子を守りたくなるもんだぁ。俺だって従妹やその友達を平然と襲うあいつらが憎たらしくて闘うコトを選んだんだ!!」

  唯 「勇兄ちゃん・・・。」

  光 「勇さん・・・・!!」

  しばらく無言の状態が続いた。そしてエクスカイザーがヘッドライトを光らせながら喋り始めた。

  エクスカイザー 『・・・・・光・・・・どうしてもというのなら方法はある。』

  光 「マジでっ?!!」

  エクスカイザー 『ああ。だが、君を心配してくれる唯のコトを考えると正直気が引けてしまう・・・。』

  光 「やっぱ・・・ダメか?」

  エクスカイザー 『光!手を差し出すんだ。』

  光 「え?!お、おう。」

  するとエクスカイザーは光の手の平に向かって、ヘッドライトから弱いビームを放った。

    キュビアアアアアァ・・・・

  光 「い?これは???」

  光の手の平に、エンブレムが入ったブレスレットが授けられた。

  エクスカイザー 『ダグコマンダーだ。本来はブレイヴ星人の戦闘員が使うモノだ。左腕に着用して、エンブレムをスライドさせると戦闘スーツ・ダグテクターを身に纏ったダグオンになれる。だが、ソレを使いダグオンとなって闘うか否かは光次第だ。唯の想いも踏まえて、あえて手首に装着させなかった・・・。』

  唯 「エクちゃん・・・・。」

  光 「・・・・」




  回想した光はかっと目を見開いて教室を飛び出した。迷いはない。

  俊 「光?!」

  蓮 「何だあいつ?便所か?!」

  その時、唯は光が駆け出して出て行く瞬間を見た。ついに光も闘うのだというコトを確信した。

  唯 (光君・・・。)

  廊下を駆ける光。友人達に言いそびれ、結果的に秘密にしてしまっていることをもどかしく思いつつ、そのアイテム・ダグコマンダーを左手首に装着する。

  光 (これで俺も・・・勇士朗と肩を並べられるっっ!!!そして、唯ちゃん達を守れる!!!)

  一方、勇士朗は桜高の屋上に辿り着き、サンドール星人に睨みを効かせる。その眼光を確認したのか、サンドール星人の菱形のエメラルドのような目が赤く光った。

  勇士朗 「サンドール星人っっ!!!」

  サンドール星人 「・・・・!!!」

  そしてサンドール星人は腕をかざし、竹ほうきの先端のような手を校舎に向けた。奇しくもその方角はお茶会をやっている教室のある校舎だった。見ていた唯が戦慄した。

  唯 「ひぃっ・・・?!!」

  屋上でサンドール星人とにらみ合う勇士朗。校舎の外に出た光。2人の高校生勇者が叫んだ。

  勇士朗 「ファイアー・・・・ジェエエエエエットッッ!!!」

  光 「トライッ・・・・ダグオンッ!!!」

  飛来して急速に変形していくファイアージェット。いつしかのように校庭にロボット形態となったファイバードが着地した。光もダグコマンダーをスライドさせる。

  勇士朗 「はぁああっ・・・・!!!」

  勇士朗は気を放ちながらジャンプし、フェニックスのオーラを纏って高速で低空を駆ける。

    ギュァアアアアアアァァァァ・・・

  勇士朗は光球と化して、ファイバードの胸に飛び込み融合合体を果たす。

  ファイバード 『チェエェエンジ・ファイバアアアドッッ!!!』

  一方の光は紅く燃えるようなダグテクターを身に纏っていく。瞬く間にダグオンとなった。

  ファイヤー・コウ 「ファイヤァアアア・コウッッ!!!」

  再び巻き起こる桜高の危機に、2人の高校生勇者が立ち上がった。放課後の校庭に闘いの火蓋がきって落とされる中、ファイバードとファイヤー・コウが各々に凶悪異星人と睨み合う・・・。



  つづく