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新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第33話

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  第33話 「夏のハジメ」


  7月下旬を向かえ、学生達も夏休みに入る。

  終業式が終わり、周囲にセミの声が響き渡る昼下がりの中、唯の家では今年の軽音部の合宿の打ち合わせが開かれていた。その中へ憂が冷えた麦茶を持ってやって来る。

  憂 「みなさん、お菓子と麦茶です。よかったらどうぞ!」

  律 「おおう!ありがとう憂ちゃん!」

  出されたお菓子と麦茶を食べながら合宿の打ち合わせが行なわれる。

  澪 「それじゃあ、早速今年の合宿について話合いするけど・・・。」

  唯 「はい!海!!」

  律 「いや、川もいいぞ!!」

  いきなり遊び心丸出しで挙手する唯と律。それは毎度変わらない。

  澪 「お前らな・・・。」

  梓 「いつも言ってますけど、遊びに行くんじゃないんですよ?」

  唯&律 「うへーい・・・。」

  澪 「そういえば、勇士朗君達もこの前誘ったんだっけ・・・。」

  紬 「みんなでたくさん集まって楽しくなりそうね!そうすれば唯ちゃん、彼氏の光君と一緒にいられるし!誘っちゃおう!!」

  嬉しそうに手を合わせながら紬が言う。唯は頭を抑えてデレッとなる。

  唯 「いや〜・・・照れるなー・・・えへへへ・・・。」

  そこへ梓がたじろきながら、一つの提案を出した。

  梓 「唯先輩・・・あ、一つ提案ですけど、夏フェスに行くのはどうです?たまにはプロの演奏聞くのもいいと思いますよ。」

  澪 「夏フェスか!いいな、それも!一度行ってみたかったんだぁ!」

  律 「だけど、チケット取るの今からじゃ難しくネ?」  

  梓 「そ、それもそうですね・・・・。」

  澪 「やはりそうなってしまうかっ・・・・。」

  律 「それならやっぱり合宿にしようぜ!蓮達も行きたがっていたしなー!それじゃあ・・・今年は川にしよう!!」

  唯 「かわかわー!!」

  唯がきゃっきゃっとはしゃぎながら便乗する。だが、まだ山に琴吹家の別荘があると決まったわけではない。

  澪 「でも、まだ山の方にムギの別荘があるとは言ってないぞ?そのへんはどうなんだ?ムギ?」

  澪の質問に紬がさりげなく答える。

  紬 「ありますよ?」

  律 「はい、決定ー!!」

  唯 「オーイェー!!」



  唯の家からの帰り道、澪が勇士朗とケータイで合宿のことを話していた。

  澪 「・・・・そう、それで今年は山にあるムギの家の別荘で合宿することになったんだ。」

  勇士朗は自分の部屋のベットで寝転びながら澪と会話する。

  勇士朗 「へぇ・・・でもどの道あいつらも喜ぶだろうなぁ・・・本当に俺達も行っていいの?練習の邪魔になったりしない?」

  澪 「大丈夫だよ。練習見てても遊んでてもいいからさ。」

  勇士朗 「なんか悪いなぁ・・・あははは。どうせなら何か手伝おうか?夕食とか掃除とか?」

  澪 「ええ〜、大丈夫だよ〜私達でやるからさぁ。」

  一回澪は部員以外の人に雑用をやってもらうのは悪いと思って断るが、律儀にも勇士朗が押して申し出る。

  勇士朗 「でもせっかく連れてってくれるなら、やっぱ何か手伝いたい。」

  澪 「・・・・それなら・・・お願いしちゃおうかな?」

  澪は勇士朗の言葉に甘えさせてもらった。その直後勇士朗は思いきった行動に出る。

  勇士朗 「へへ・・・今、打ち合わせの帰りなんだよね?今から遊べたりできるかな?」

  澪 「え?!そうだなぁ・・・・うん、大丈夫だよ!」

  突然の勇士朗からの誘いに一瞬戸惑うものの、嬉しげに澪はOKした。

  澪の内心は激しいまでに嬉しい気持ちで満たされる。勇士朗は自分の部屋で一人ガッツポーズを決めて喜んだ。

  勇士朗 「・・・・よっしゃあああ!!思い切った甲斐があったぁっ!!!イヤッホォー!!!」

  ファイバード 〈嬉しそうだな、勇士朗。〉

  その時、ファイバードの意思が語りかけてきた。

  勇士朗 「そりゃあ、嬉しいさ!!澪ちゃんと二人っきり!!放課後以外じゃ初めてだ!!!」

  ファイバード 〈その気持ち、地球人の愛という感情なのか?〉

  勇士朗 「愛か・・・・うーんと・・・愛っていうよりも、恋・・かな?愛は恋の進化系だ!」

  ファイバード 〈愛といっても色々あるからな・・・ともかく、彼女を襲うような事はするなよ?勇者が泣く。〉

  勇士朗 「な??!やらねーってか、そんな事できねーよっっ!!!」

  ファイバード 〈はははは!冗談だ!〉




  勇士朗と澪は駅の周辺で待ち合わせして落ち合う。勇士朗の目には私服姿の澪が映る。バストも強調され、若干露出度が高めだ。普段見慣れていないスタイルに新鮮味を感じると共にドキっとなる。

  澪 「あ!こっちだよ!」

  勇士朗 「あ、秋山さん(やべっ、マジでカワイイ!!しかも露出度がちょっとある!!)!」

  下心を隠しつつも駆け寄る勇士朗。二人は街中へと繰り出す。だが、このシチュエーションは正に勇士朗と澪の仲の進展を意味していた。

  勇士朗 「ごめん、言い出しっぺの俺が遅れちゃって・・・。」

  澪 「いいよ、全然気にしてないから。」

  ショッピング街でのひと時を愉しむ二人。二人きりで出かけるのはこれが初めてだった。彼女の凛とした長い髪が歩くたびに、時に風に吹かれては揺れる。

  勇士朗 (・・・改めて間近で見ると・・・秋山さん、やっぱり綺麗だな・・・。)

  初めの頃、関わりを持てる可能性ほぼゼロから始まった勇士朗の恋。だが、今まさに憧れだった想い人である澪が目の前にいる。こうしてデートができている(まだ付き合っていない故、仮デートだが)のだ。  

  澪 「ねぇ?この服とか似合うかな?」

  女の子モノの夏服を持って勇士朗に問いかける澪。ボーっとしていた勇士朗がはっとなる。

  勇士朗 「う、うん!なんか秋山さんの可愛さが引き出されるって言うか・・・・。」

  澪 「え・・・・あ・・・・。」

  二人揃って照れくさそうに焦ってしまう。ぽりぽりとほほをかじる勇士朗。

  

  その頃、市内のアイスクリーム専門店、サーティーワンで私服に着替えた俊と梓、光と唯の姿があった。コウユイの二人が嬉しそうにアイスを待つ。

  唯 「アーイースゥー、アーイースゥー・・・・。」

  光 「あーいーすー、あーいーすー・・・・・アイス・・・アイス・・・アイス、アツイッス!あーいーっす、アイィィィッスッ!!」

  俊 「訳解らん!!へタレラップか??!」

  唯 「光君おもしろーい・・・えい!」

    ぷにゅ

  人差し指を光のほっぺたに突き刺す唯。

  光 「なんだよう・・・・えいやっ!」

    ぷに、ぷにゅっ

  両サイドから唯のほっぺたに指で突く光。

  唯 「ふもー。」

  この意味不明なやりとりに俊と梓で突っ込む。

  俊 「なんだこのやりとり・・・。」

  梓 「やっぱりこのお二方、少しずれてますね・・・。」