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新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第40話

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  第40話 「姉達の憂いと気がかりと・・・」


  田井中家。グレンラガンが爆誕して、田井中家に新たな居候が加わった。ラガンが住むこととなったのだ。負傷した律も軽い打撲で済んでいた。

  無論、ラガンの大きさ的に家には入れない。家の裏庭に居住するようだ。

  するとラガンは早速食料を催促し始めた。

  ラガン 『ところで飯はないのか?!』

  聡 「え?!飯?!って・・・いったい何食うんだよ?!」

  ラガン 『何だっていい!!この惑星の食料を食ってみたいんだ!!』

  聡 「じゃー、ねーちゃんの作るハンバーグ食べてみろよ!うまいぜ〜!」

  ラガン 『じゃーいただくかー!!』

  そして、律が帰宅し、夕食の準備を始める。だが、今日はハンバーグではなくカレーを作るつもりでいた。

  律 「ええ?!今日はハンバーグの具材はないぞ?!カレーだぞ。」

  聡 「ええ?!」

  律 「ハンバーグはまた今度な!」

  聡 (別にラガンにしてみたら、地球の食料は何でも珍しいんだからカレーだっていいか。)

  そしてラガンは初めて地球の食料を食う。律が差し出したカレーにがっつくラガン。

  ラガン 『おーおー!うめー!!これがカレーってやつか!!』

  余りにもの食いっぷりに姉弟そろって唖然としてしまう。

  律 「なんつー食いっぷり!」  

  聡 「てか、お前、ロボットの分際でカレーなんかよく食うな・・・。」

  ラガン 『俺は、金属“生命体”だ!!れっきとした生物だ!!飯も食うさ!!』

  律 (ん??じゃあ、唯ん家のエクスカイザーはどうしてるんだ?やっぱクルマだからガソリンなのか??まーそんなことは置いといてと・・・。)

  ふと律の脳裏に疑問が過ぎったが、あえて言わなかった。それよりも、自分の弟が闘いの運命に飛び込んでいったことに不安を感じていた。

  ラガン 『カレーさいこー!!』

  律 「聡、居間に行くぞ。」

  聡 「え?あ、ああ。じゃあ、ラガンはメシ食っててくれ。」

  ラガン 「おう!!がつがつがつ・・・!」

  律は聡を居間誘い、心中の話しを持ちかけた。

  律 「聡・・・あんた、本当にいいの?」

  聡 「なんだよ、突然?」

  律 「あのバケモンにしろ、BLWにしろ、デストリアンにしろ・・・・アレらと闘う意味が解ってるの?」

  いつになく真剣な律。聡は姉の心境に察しがつく。

  聡 「実の弟が闘うコトになって心配なんだろ?わかってるよ・・・。」

  律 「解ってないっ!!」

  聡 「!!」

  急に大きな声を叫ぶ律。思わずビクっとなる聡。

  律 「・・・私さ・・・友達があんな感じでロボットになって戦う姿を何度も見てきてる。ファイバードって言うんだけどな。テレビでも何回も見たことあるだろ?胸に炎の翼があるロボットだよ。」

  聡 「え?!あれって、ねーちゃんの友達なのか?!」

  律 「まあな。命の恩人でもあるよ・・・あのファイバードがいなかったら今頃私は遺影になってたな・・・。」

  聡 「ねーちゃん・・・。」

  律 「でも、あの怪物たちと闘うのは本当に命がけなんだ。確かにファイバードは強いけど、その最中危険な目に何度もあってきてる。最近じゃ、私の友達の彼氏もダグオンっていうのになって闘い始めたんだ・・・・そして実際にあんたも危険な目にあった・・・・正直つらいんだ。弟の苦しむ叫びを聞くのは・・・それにまだあんたは中学生なんだぞ?」

  膝を抱えたまま蹲る律。聡も出す言葉が無くなる。

  聡 「・・・・。」

  そして沈黙が続いた後に律の方が沈黙を破った。

  律 「生半可な覚悟や、ただカッコつけたい一心でなるならやめな!悪いことは言わない!!」

  姉として弟を思う故に強く言い放つ律。だが、聡は想いに半端な気持ちはないことを主張した。

  聡 「違う!俺は本気でねーちゃんと蓮兄ちゃんを助けたかった!!それにラガンは、その時に芽生えた俺の勇気を認めてくれた!!俺は闘う!!」

  律 「本気でそう言っているのか・・・・?」

  聡 「ああ!!確かに攻撃を受けた時はぶっちゃけ痛かったけど、少し怖かったけど・・・ねーちゃんや蓮兄ちゃんが危険な目に遭うほうがずっと嫌だった!!」

  律 「聡・・・・あんたは本当に闘う方へ行くんだな?」

  聡 「ああ!」

  弟の眼差しは燃えるような瞳だった。律は不安な想いを懐きつつもその熱き想いを半ば了承する。

  律 「・・・・聡が、そこまでいうなら・・・・もう何も言わない。けど・・・・。」

  聡 「けど・・・なんだよ?」

  律 「死んだら許さないからな!!」

  聡 「おう!!」

  夕闇の空の下、姉弟は固く約束を交わした。



  別の日。この日、ついに勇士朗の家に澪が遊びにやってくる事となっていた。

  勇士朗は先日までに部屋の掃除を済ませ、いつでも招き入れる体勢でいた。

  勇士朗 「ついに、澪ちゃんが俺の家にやってくるのかぁ・・・。」

  思いはせる中、澪が玄関前に訪れた。玄関のチャイムが鳴り、勇士朗は走って階段を下りる。だが、ワンテンポ早く、香澄がドアを開けていた。

  香澄 「いらっしゃい!澪ちゃん!」

  澪 「香澄先輩、お邪魔します!」

  香澄 「そんじゃーあたしの部屋においで!」

  澪 「はい!」

  勇士朗 (なんでそーなる?!)

  せっかく気合を入れてやったはずの掃除が半分無意味と化す。すると、澪は勇士朗を逆にさそってきた。

  澪 「おはよう!勇士朗君!勇士朗君もベース・・・やってみない?」

  勇士朗 「え?!いいの?」

  澪 「うん!一緒に・・・しよ?」

  勇士朗 「う、うん!!」

  勇士朗の脳内で恥しがって言った澪の言葉が、違うアクセントに想像される。もんもんと膨れ上がる想像に思わずファイバードは突っ込んだ。

  ファイバード ((勇士朗!!何を想像しているんだ!!勇者たるものが不謹慎だぞ!!))

  勇士朗 (う・・・・しょ、しょうがないだろ!俺だってイチ男子高校生なんだから!!)

  澪 「勇士朗君?どうかした?」

  勇士朗 「ふぇ?!あ、うん、じゃあ教えてもらおっかな!!」

  香澄 (このエロガキ・・・変な想像したな?)

  姉はすでに弟の脳内を見抜いていた。

  部屋では早速ベースの練習が始まる。内容はセミプロ級のものばかりで勇士朗はチンプンカンプンになってしまう。

  勇士朗 (・・・・・わけわからん!!)

  香澄 「・・・・それでここんとこのフレーズは・・・・。」

  香澄が手本を見せながらベースを弾いていく。澪もそれに倣って引いていく。

  やはり澪は上手い。間近で見させてもらうとまた違った感覚に見舞われる。

  勇士朗 (こうしてみてるとやっぱりすげーや・・・。)