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新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第40話

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  冷静に考えてみれば、香澄がこっちに滞在できる日は限られている。その限られた時間を澪はスキルアップの為に提供してもらっているのだ。そう考えれるようになると自然にこの状況を受け入れられる。

  その頃、奇しくも唯の部屋では唯が光にギターを教えていた。

  唯 「でね?このコードが・・・・。」

  唯に直接手で触れてもらいながらギー太の絃を動かしてみる。

  光 「うぐぐ・・・む、難しい・・・。」

  唯 「そうかな〜?やっぱりきつい?」

  光 「指がちょっとね・・・。でもそれを思うと唯ちゃんはスゲーなって思うよ。」

  唯 「えへへ・・・でも私だって最初からできたわけじゃないよぉ〜。きっと光君もできるよ。」

  光 「そう?へへ・・・。」

  恥ずかしそうにかつ嬉しそうに答える唯。そのまま教えてもらい続ける光。柔らかな時間が二人に流れる。

  唯 「それで次のコードがね・・・。」  

  光 「ふんふん・・・・・・・うぐ。」

  指が突っ張る。やはり一筋縄ではいかない。しばらくして勇士朗もこの二人のように教えてもらうようになる。

  澪 「で・・・ここの指はこう・・・。」

  勇士朗 「う、うん・・・。」

  二人の指が重なる。この時点で二人とも赤くなっていた。香澄がからかう。

  香澄 「うーん・・・・絵になるわ〜。いい歌詞浮かびそう・・・・っていうかお似合いよ!お二人さん☆」

  勇士朗&澪 「っっ・・・・・!!」

  さらに赤くなって絶句する2人。ある意味満身創痍になってしまった澪の代わりに勇士朗が香澄に叫んだ。

  勇士朗 「も、もう!!いちいちからかうなよな!!」

  香澄 「照れない、照れない!」

  カラカラと笑う香澄。赤くして照れまくる二人。さらに香澄は、余計な気遣いで部屋を出て行ってしまう。

  二人っきりとなった勇士朗と澪。二人っきりのシチュエーションは以前あったが、一つの部屋の空間で二人になるのは初めてだった。

  澪 「ゆ、勇士朗君のお姉さんて、気さくで明るい人なんだね・・・き、きっといいアーティストになれるよ・・・。」

  勇士朗 「そ、そうかなぁ・・・??」

  澪 「そうだよ・・・あ・・・!あのさ・・・夏休みの最後にある花火大会・・・みんなで行かない?」

  勇士朗 「い、いいね!!みんなで行こうか!!」

  澪 「うん!」

  8月末に高田橋で開催される花火大会に行くことを提案する。夏休みのラストを飾る大きなイベントだ。桜ヶ丘から距離は少し離れるが、自転車でみんなで行けばさほど遠い距離ではない。

  その事を俊と梓も考えていた。この前のカラオケ以降、初の仮デートだ。

  俊 「今度みんなで花火大会いこうぜ?確か今月の終わりだったよな?」

  梓 「花火大会ですか・・・いいですね!花火大会!行きましょう!」

  俊 「そうだな!また勇士朗達にも連絡しておくぜ。」

  街中を歩く二人。梓のツインテールが歩くたびに揺れている。

  俊 (それにしても梓・・・やっぱこのヘアースタイル似合ってるな。カワイイ・・・。)

  梓 「?どうかしましたか?」

  俊 「あ、いや・・・ただその髪型梓らしいなってな・・・。」

  梓 「そ、そうですか・・・。」

  照れくさそうに言う梓。二人は楽器店へと足を運んだ。店内に入ると、ギター、ベース等の楽器が
ずらりと並ぶ。

  俊 「すげー・・・こういった店はほとんどこねーからなー。」

  梓 「私は殆ど音楽と一緒に育ったみたいなものですから、凄い身近に感じますよ。小4からギターやってたんで・・・。」

  俊 「小4!?そりゃすげーや。」

  すると梓が、目の前にあったギターに釘付けになる。

  梓 「わぁ〜・・・・コンペライン入りの73年モノのムスタング・・・かわいくって目立つなぁ・・・・。」

  ギターにときめいている姿はいいが、専門用語が飛び出しついていけない。かつ、なにがかわいいのかわからない。

  俊 (うん!わからん!!俺からしてみれば、かわいいというよりカッコイイとしか見えん!!だが、こんな共感性の無いことを言えば女の子は傷つく・・・。)

  俊は共感性を重視する。

  俊 「調度梓が使ってるギターと同系なんだよね?このギター。」

  梓 「そうですね。ただこっちの方が私が使っているギターの先代のギターでプレミアがありますから・・・。」

  俊 「確かに値段も半端ないなー・・・。」

    ズドォオオオオオオオオ・・・・!!!

  梓 「なに?!」

  俊 「やれやれ・・・おいでなすったかよ?!!」

  店の外で轟音が響く。すると、芋虫の身体が持ち上がったような身体に、ムチ状の手が生えた両腕が着いているタイプのBLW‐08が出現。相変わらずの頭部と肌色の皮膚をしている。

  BLW‐08 「クケキャカカカカアアア!!」

    ヒュヒュフォフォフォフォオンッ!!!

    ドォドォドォドォゴォオオオオオオン!!!

  ムチを振るい、建造物を粉砕して前進する。外に出る俊と梓。

  俊 「ちっ!!こうなったら・・・・!!行こう!!梓!!」

  梓 「はいっ!!」

  梓の手を引っ張って走り出す俊。もう一方の腕でケータイで勇士朗に電話をかけた。

  澪が勇士朗にコードを教える中、俊からの着信が勇士朗に入る。

  澪 「それで、次のコードが・・・。」

    ♪〜

  勇士朗 「あ!澪ちゃん、ちょっとごめん・・・・もしもし。」

  俊 「勇士朗!!今、梓と走って逃げてる最中なんだけどな、街に例の生体兵器が現れやがった!!大至急ぶっ潰してくれ!!光のやつ、電話に出やしない!!多分ラブラブしてるんだろうな、チクショウ!!場所は国道近くの楽器店付近だ!!」

  俊の声は息を若干切らしているようにも聞こえた。

  勇士朗 「マジかよ?!わかった!!すぐに行く!!」

  バッと立ち上がって澪に事情を話す。

  澪 「何かあったの?」

  勇士朗 「今、俊から電話があって、街に生体兵器の怪物が出たらしい!!梓ちゃんも一緒にいるみたいだ!!」

  澪 「梓が?!」

  勇士朗 「行ってくる!!」

  澪 「あ!!」

  急いで家を飛び出す勇士朗。そのただならぬ勇士朗に察する香澄。降りてきた澪に香澄は行動的な発言をする。やはり内心、弟が気にかかって止まなかったのだ。

  香澄 「あの様子・・・ひょっとして怪物でも出たのか?澪ちゃん!!アタシのクルマに乗って!!追いかけるわよ!!弟の戦う姿をこの目で見ておきたいの!!」

  澪 「え?!ちょっと香澄先輩!!」

  香澄が澪を乗せてクルマを出すと、クルマと同じスピードで走っていく勇士朗が眼中に入る。

  香澄 「ええ?!」

  澪 「あれ、勇士朗君です!!追ってください!!」

  香澄 「お、OK!!それにしても、実の弟があそこまで人外になっちゃうなんて・・・。」