魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2
「シャーリーちゃん、宜しくね」
「はい、グレースさん。此方こそ」
笑顔を向けるグレースを見て、シャリオは頬を紅潮させる。
刹那に、部屋の扉が開く。
隊員達は咄嗟に扉の方を向き、入室して来た人物に連携した動きで敬礼をした。
入室した人物は、クロノだった。
既に肩に棘の付いた黒いバリアジャケットを装着し、数人を引き連れて威厳の態度を取っていた。
クロノ達も敬礼を返す。
「集まっているな。これより艦船クラウディアに乗船する。……今回の任務は、BEAT大隊長ハリー中将が我ら次元航行隊…いや、バスターの思いを汲んで下さった物でもある。フェイト執務官、皆の決意は固まったか?」
「はい」
「よし。……ティアナ、六課以来の大きな仕事だ。大丈夫か?」
「御心配感謝します。しかし、これも執務官になる為の試練と思えば、嬉しい事です」
「肝が据わっているな。何処かの“教導官”に似てきたんじゃないのか?」
隊員達に笑みが浮かぶ。“教導官”の正体を知っているからこその、温まる笑いだった。
「雑談は此処までとして……皆、この作戦で必ずクラウス=イェーガーを捕まえる!気を引き締めてかかれ!……以上だ!
乗船を始める、移動開始!」
「了解っ!!」
地響きの如く一斉に掛け声を掛け、敬礼をする。
通路を移動中、フェイトは一つの事を決心する。
あの“悔しさ”を、この為に心の中に潜めていた。
当然、“信頼”もある。
友達らから改めて教えられたそれを、忘れる訳が無い。
全てを表に出し、決意の表情を露わにする。
(クラウス……今度こそは……必ず…!!)
威風堂々としたフェイトの背中は、濁りの無い心の象徴に見えた――。
序章 ーミッドチルダー[完]
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2 作家名:神威