魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2
「この作戦を提案して下さったのはハリー中将だ。君やグレースが敗れて、静観する訳にはいかなかったんだろう。良く出来た御仁だ」
「中将が?」
「ああ。母さんとも面識のある方だからな。僕は中将のような正義感の強い人間になりたい」
「そうだね」
「おっと…すまない、話を戻そう。奴がいようがいまいが、この状況を長続きする訳にはいかない。予定通り、今日の11:00(ヒトヒトマルマル)に作戦を開始する。異論は無いな?」
フェイトの答えは知ってはいるが、敢えて聞く事にした。
義兄としては、心の中では任務に参加して欲しくは無い。
しかし、対照に義妹(いもうと)の決意を汲んでやりたいという思いが交錯してしまう。
義妹であり部下でもあるフェイトの今後は、提督である自分が決断しなくてはいけない。
その思いに悩ませながら、クロノはフェイトの顔を見た。
だが、答えは即座に出た。
迷う事無く、結果は“後者”に傾いた。
義妹の顔は、決意だけでは無く信頼し合う心に満ちた穏やかな表情をしていた。
「……答えは…聞かなくても分かるな…」
「クロノ……私、がんばるよ」
「期待している…」
午前10時30分。
作戦開始時刻から30分前。
本局の艦船の保管庫兼出撃庫には、多くの局員や整備員などが忙しなく動いていた。
酸素はあるが無重力の為、人は至る所に飛び交っている。
上部にある、その全てを管制する管制室に、フェイトらバスターの隊員達は集合していた。
隊長であるフェイトを中心にミーティングを進めていく。
「……て事だから。後はクロノ提督の指示に仰ぐ。あっ、それと追加人員を紹介するね」
フェイトの隣にいた眼鏡を掛けたブラウンの長髪の女性が、隊員の前に立ち皆を見据える。
「知ってると思うけど、シャリオ=フィニーノ執務官補佐です。本日付でバスターに入る事になったから。彼女には通信全般を任せてもらう」
「シャリオ=フィニーノ執務官補です。宜しくお願いします」
敬礼をするシャリオに、皆はそれで返す。
『シャリオ=フィニーノ』――彼女も機動六課出身でメカニックデザイナー兼通信主任の任を務めた。現在はフェイトのもう一人の補佐を担当しつつ、メカニック、通信の分野もこなしている。
通称は――『シャーリー』である。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 2 作家名:神威