魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4
「レイル…」
レイルを見つめると、彼は銃口を下げ此方を見つめていた。
はやて達がホッとした顔をしている中、レイルの眼光は――真っ直ぐで鋭い。
その瞳は、彼の意思そのものだった。
それを理解したT‐900は、何も言わずスバルの方を向く。
「いきなり何するんで…ッ…!?」
間髪入れずスバルに殴打を繰り出す。スバルは数回バク転でかわした。
「なッ…!?どういう事やレイルさん!?何で止めへん!?」
「……別に俺達は魔法を信じてない訳じゃない。だが、それが力に値するか――この目で確かめさせてもらう」
「そういう事です。さぁ、立ちなさい」
右手に握るショットガンをスバルに向け構える。
「ちょっとアンタ達、何やって…ッ!?」
「ティアいいよ…」
「スバル…ッ!!」
その場に立ち上がり、T‐900を見据える。
「要するに、私達の力――魔法を見たいという事ですよね?……だったら…!!」
「Buddy!!」――
「相棒ッ!!」
愛機であり相棒であるマッハキャリバーの起動により、スバルの体は水色の光に包まれ、瞬時に白い軽装をしたバリアジャケットに変貌した。
右手には大型グローブ――リボルバーナックルと、両足にはインラインローラーのマッハキャリバーが装着されていた。
「こっちの方が手っ取り早いッ!!」
先手を取ったT‐900により、魔力弾が放たれる。
スバルは即座にウイングロードを形成し、それを躱しながら駆け上がる。
ショットガンでスバルを狙い撃つ。素早い速さで全弾躱される。
上空に描かれるウイングロードは、さながら迷路或いはだまし絵のように無造作に形成されていく。
それをT‐900は躊躇なく駆け上がり、スバルを視野に捉え撃ち続ける。
(あの魔法の道は重力に関係無く走れるのか…)
レイルの分析通り、T‐900とスバルは重力を無視してウイングロードを飛び移りながら移動している。不思議に思う所ではあるが、逆にレイルは探究心に包まれていた。
「逃げ続けるだけですか!?自分の力を、私達に見せるのではなかったのですか!?」
「………」
ブレーキをかけ、その場に立ち尽くす。
「…分かりました。見せますよ、出来立てホヤホヤの、私の新たな魔法……」
「……!!」
するとスバルは、左腕を空にかざし掌から複数のスフィアを出現させた。
浮かぶスフィアは円を描くように回転し、スバルの前に留まる。
「ターゲット、ロックオン!!」
円の中心をT‐900に合わせる。
そして右腕を構え――
「アクセル…」
――円の中心に拳の一撃をぶつける。
「シュータァァァァアッ!!!」
衝撃を伴い、スフィアは的に向かって突撃する。
T‐900は身構え、スフィアを捉え視界が紅に染まる。
(追尾型……ミサイルのような物か…)
表示は『UNKNOWN』だが、数々の戦場のデータから算出した結果、追尾型と判断した。
視界に映るスフィアをキャッチしてはそれらを移動しながら躱す。
「あの娘、なのはさんの魔法を…!」
「んッ、どういう事だ?」
「あ、いや、私達の恩師の魔法を使っていたので…」
「あぁ、なるほど…だから力押しで荒削りなのか…」
「へぇー、レイル、魔法を見ただけで分かるのか?」
「ごり押し気味だからな…オリジナルとは違うことは分かるよ」
「流石やな、軍人さんの目は伊達やないっちゅう訳か」
レイルの洞察力に感心する一同を余所に、上空では一触即発の攻防が続いていた。
スバルが放つアクセルシューターは一層過激を増し、周囲は既に煙が充満している。
「でやぁッ、でやぁッ、どりゃぁッ」
無造作に拳を撃ち込み、スフィアを散乱させていく。
滑るようにウイングロードを駆け、躱す。
(単純な攻撃……躱すのは容易い)
キャッチされるスフィアが視界を満たす中、刹那に『CAUTION』の警戒信号が出る。
(何ッ……何処から…)
周りを見ても『CAUTION』が解除されない。
その直後、背中に重い衝撃が襲う。
「……ッ…!!」
背後からの攻撃で、姿勢が前に傾く。
作品名:魔法少女リリカルなのは THE MACHINES WAR 4 作家名:神威