東方~宝涙仙~ 其の壱四(14)
東方〜宝涙仙〜 ※おそらく入力ミスあり、気を付けること!!
「これが信じてもらえない辛さなんですよ」
ー紅魔館・レミリア&フランドールの部屋ー
「お嬢様!妹様!」
そう叫んでレミリアとフランドールだけの空間に割り込んで来たのは美鈴だった。美鈴は目の前で起こってる状況が現実には思えなかった。
紅魔館の主レミリアがその妹フランドールを今まさに殺そうとしている。
「お…お嬢様…?」
「美鈴…」
「な、なにしてるんですかッ!妹様になにをしようとしてるんですか!?」
「これは…!」
美鈴はレミリアに近づきレミリアの右頬を正面から思いきり殴り飛ばした。その一撃にすでにボロボロのレミリアは耐えきれずよろけた。肉体的ダメージよりも、おしとやかでいつも優しい美鈴に殴られたという事に対する精神的ダメージが大きかった。
「すいませんお嬢様」
謝る美鈴の顔は冷たく、地面に手をついて唖然と顔を上げるレミリアを見下ろすようだった。
「大丈夫ですか!?妹様!」
レミリアがダメージを痛恨の受けたことによって鎖が解除されたフランドールは震えあがりながら座り込んでいた。
「めー…りん……」
「怪我はなさそうですね。よかったです」
「怖かったよめーりん、フラン最後はもう死んじゃうかと思った…」
「もう大丈夫ですよ」
恐怖から解放されたフランドールが美鈴に抱きついて落ち着きを取り戻す。レミリアよりも美鈴のほうがフランドールのお姉さんという感じがする光景だ。
「あの、美鈴?」
「まさか…まさかお嬢様がこのような事をするとは思いませんでした」
「でもフランは…!」
「まだ咲夜さんの死を妹様のせいだと疑うんですか?」
「当たり前じゃない!他に誰だって言うのよ!」
美鈴とレミリアの会話に入り込むようにフランドールはボソっと呟いた。
「アイラちゃんが…」
呟きを聞いたレミリアは大声でフランドールに怒鳴った。
「だから誰なのよそのアイラっていうのは!!前からそんなこと言い続けてきたけど、呼んで来いって言っても"呼べない"って返してくるし!架空の人物のせいにして逃げるな!!」
フランドールに変わって美鈴が反論した。
「なんで妹様を信じてくれないんですか!呼べない理由があるかもしれないじゃないですか」
「美鈴…あんたもいい加減にしなさいよ…」
矛先を美鈴に向けたレミリアは不機嫌そうで、今にもスペルカードを発動して襲いかかってきそうだった。しかし美鈴を傷つけたくないレミリアはただ腹を立てることしかできない。レミリアは口だけで美鈴に対抗した。
「じゃああんた達でそのアイラってやつをここに連れてきなさいよ…」
「それはできないよお姉さま……」
「なんでそれができないのよ」
「アイラちゃんが来れば…それこそ紅魔館のお終いだよ…」
「紅魔館お終いの原因はあんたじゃない」
その一言が美鈴の逆鱗に触れたらしく、美鈴は唸るように激怒した。
「なんでもかんでも妹様のせいにするのやめませんか!!どうして妹様が無実だということに賭けないんですか!?」
「はぁ?」
「それでも本当に妹様の姉なんですか?」
「……」
「紅魔館の主ですか!?」
「っさい。あんたも殺すわよ」
便乗してついにレミリアも限界に達したようだ。
気付けば美鈴の頬から血が垂れていた。
「また生意気な態度とったら、次は首を切るわよ」
「っ…。あなたは…あなたはもう私の知っているお嬢様にあらず!!正々堂々戦って…消えてもらいます!!」
「いい度胸じゃない、所詮門番の分際で主にはむかうなんて大したもんね」
主と門番のぶつかり合いを見たくないフランドールは手を伸ばして小声で「やめて」と言っていたが、二人に届かなかった。
「あー、そこまでにして下さーい」
美鈴の乱入の時同様にまた誰かの乱入が入った。紅魔館メンバーでは見たことのない人影、二人組の様だ。片方は大人っぽく、もう片方は子供というかフランドールと同じような背丈っぽく見えた。
「どうやら私達の紹介はフランちゃんが済ませてくれたようですね。といっても私については全く詳細はないようですが」
大人っぽいほうがベラベラと喋りだす。美鈴もレミリアもお互いの目を睨みつけるのをやめ、人影を眺めた。
「えーっとですね、私が、えー姉のシズマです。そしてこっちが妹の……」
床を見ていたフランドールが一瞬で人影に目線を向けた。
「妹の…アイラです」
レミリアはどこか聞いたことのある名前だなというような顔をしたが、その顔もすぐに一転し仰天の表情に変わった。
フランドールが訴え続けてきた"アイラ"という存在がついに自分の目の前に現れたのだ。虚像が実像へと変わる、まさにそんな感じだろうか。
三人の前まで二人組が近づく。首をカクカク揺らしながら近づいてきたほうの少女は、右腕と失った左腕を組むように後ろに隠している。
「アイラとはー、アイラのことであるぞー。ヒヒヒ」
上機嫌なアイラがレミリアの前で挑発をする。元々機嫌が悪かったうえに、さらにパニックになったレミリアはアイラを刺そうと勢いよく尖った爪を突きだした。だがアイラに軽く避けられた、そして恐ろしいほどの威力の蹴りを肩に受けてしまった。サッカーボールにでもなったようなレミリアは四回転するほどなぎ飛ばされた。
「アイラ、暴力はダメだって!」
「やられたらやり返すの!」
さっきまで主を敵視していた門番も、これには主の助けにまわった。
「お嬢様!!」
美鈴がフランドールを置いてレミリアの元へ駆け寄った隙をみて、シズマがフランドールに寄り添った。そしてこう囁いた。
「フランちゃん、信じてくれなかったお姉ちゃんを許してあげれる?」
フランドールはその囁きに動揺を隠すように返した。
「う、うん。許してあげてまた仲良くしたい」
「そっか。私はフランちゃんのお姉ちゃんに、今後フランちゃんとどうしたいか聞いてくるから少し待っててね」
「わかった」
そう会話をするとシズマは次にレミリアの近くに歩み寄った。
「あなたがレミリアお嬢様ですか?」
「え、ええそうよ。こんなボロボロな状態じゃ信じられないかもしれないけど…」
「たしかに信じれませんね、自分の妹を疑う事しかできなかった人がお嬢様だなんて」
「それとこれはっ…。というか、となるとお前のとこの妹らしいな…咲夜を殺したのは……」
「散々妹にその罪を着せておきながら、いきなりそうきますか」
「許さないわよ、殺してあげるわ」
「あなたの妹は何十年と屈辱と精神的苦痛に耐えてきたというのに、今あなたを"許す"と言っていましたよ。それなのにあなたはこんな一瞬の現実で、妹に謝らず殺人で全てを片付ける気ですか?」
「フランに何も聞いてないくせに勝手にフランが言った発言みたいにしないでほしいわ」
「ハッハッハッ、今まで疑っていたくせに急に仲間につけて守ろうとしますか。偽善なお嬢様ですね」
横たわっていたレミリアは見事なほどに口車に乗せられ、ついに立ち上がってシズマの腹部を殴ってしまった。ギリギリ防御には成功したものの、シズマは防御に使った腕を痛めた。
「いたたた、折れたかもしれないですね…これ」
「これが信じてもらえない辛さなんですよ」
ー紅魔館・レミリア&フランドールの部屋ー
「お嬢様!妹様!」
そう叫んでレミリアとフランドールだけの空間に割り込んで来たのは美鈴だった。美鈴は目の前で起こってる状況が現実には思えなかった。
紅魔館の主レミリアがその妹フランドールを今まさに殺そうとしている。
「お…お嬢様…?」
「美鈴…」
「な、なにしてるんですかッ!妹様になにをしようとしてるんですか!?」
「これは…!」
美鈴はレミリアに近づきレミリアの右頬を正面から思いきり殴り飛ばした。その一撃にすでにボロボロのレミリアは耐えきれずよろけた。肉体的ダメージよりも、おしとやかでいつも優しい美鈴に殴られたという事に対する精神的ダメージが大きかった。
「すいませんお嬢様」
謝る美鈴の顔は冷たく、地面に手をついて唖然と顔を上げるレミリアを見下ろすようだった。
「大丈夫ですか!?妹様!」
レミリアがダメージを痛恨の受けたことによって鎖が解除されたフランドールは震えあがりながら座り込んでいた。
「めー…りん……」
「怪我はなさそうですね。よかったです」
「怖かったよめーりん、フラン最後はもう死んじゃうかと思った…」
「もう大丈夫ですよ」
恐怖から解放されたフランドールが美鈴に抱きついて落ち着きを取り戻す。レミリアよりも美鈴のほうがフランドールのお姉さんという感じがする光景だ。
「あの、美鈴?」
「まさか…まさかお嬢様がこのような事をするとは思いませんでした」
「でもフランは…!」
「まだ咲夜さんの死を妹様のせいだと疑うんですか?」
「当たり前じゃない!他に誰だって言うのよ!」
美鈴とレミリアの会話に入り込むようにフランドールはボソっと呟いた。
「アイラちゃんが…」
呟きを聞いたレミリアは大声でフランドールに怒鳴った。
「だから誰なのよそのアイラっていうのは!!前からそんなこと言い続けてきたけど、呼んで来いって言っても"呼べない"って返してくるし!架空の人物のせいにして逃げるな!!」
フランドールに変わって美鈴が反論した。
「なんで妹様を信じてくれないんですか!呼べない理由があるかもしれないじゃないですか」
「美鈴…あんたもいい加減にしなさいよ…」
矛先を美鈴に向けたレミリアは不機嫌そうで、今にもスペルカードを発動して襲いかかってきそうだった。しかし美鈴を傷つけたくないレミリアはただ腹を立てることしかできない。レミリアは口だけで美鈴に対抗した。
「じゃああんた達でそのアイラってやつをここに連れてきなさいよ…」
「それはできないよお姉さま……」
「なんでそれができないのよ」
「アイラちゃんが来れば…それこそ紅魔館のお終いだよ…」
「紅魔館お終いの原因はあんたじゃない」
その一言が美鈴の逆鱗に触れたらしく、美鈴は唸るように激怒した。
「なんでもかんでも妹様のせいにするのやめませんか!!どうして妹様が無実だということに賭けないんですか!?」
「はぁ?」
「それでも本当に妹様の姉なんですか?」
「……」
「紅魔館の主ですか!?」
「っさい。あんたも殺すわよ」
便乗してついにレミリアも限界に達したようだ。
気付けば美鈴の頬から血が垂れていた。
「また生意気な態度とったら、次は首を切るわよ」
「っ…。あなたは…あなたはもう私の知っているお嬢様にあらず!!正々堂々戦って…消えてもらいます!!」
「いい度胸じゃない、所詮門番の分際で主にはむかうなんて大したもんね」
主と門番のぶつかり合いを見たくないフランドールは手を伸ばして小声で「やめて」と言っていたが、二人に届かなかった。
「あー、そこまでにして下さーい」
美鈴の乱入の時同様にまた誰かの乱入が入った。紅魔館メンバーでは見たことのない人影、二人組の様だ。片方は大人っぽく、もう片方は子供というかフランドールと同じような背丈っぽく見えた。
「どうやら私達の紹介はフランちゃんが済ませてくれたようですね。といっても私については全く詳細はないようですが」
大人っぽいほうがベラベラと喋りだす。美鈴もレミリアもお互いの目を睨みつけるのをやめ、人影を眺めた。
「えーっとですね、私が、えー姉のシズマです。そしてこっちが妹の……」
床を見ていたフランドールが一瞬で人影に目線を向けた。
「妹の…アイラです」
レミリアはどこか聞いたことのある名前だなというような顔をしたが、その顔もすぐに一転し仰天の表情に変わった。
フランドールが訴え続けてきた"アイラ"という存在がついに自分の目の前に現れたのだ。虚像が実像へと変わる、まさにそんな感じだろうか。
三人の前まで二人組が近づく。首をカクカク揺らしながら近づいてきたほうの少女は、右腕と失った左腕を組むように後ろに隠している。
「アイラとはー、アイラのことであるぞー。ヒヒヒ」
上機嫌なアイラがレミリアの前で挑発をする。元々機嫌が悪かったうえに、さらにパニックになったレミリアはアイラを刺そうと勢いよく尖った爪を突きだした。だがアイラに軽く避けられた、そして恐ろしいほどの威力の蹴りを肩に受けてしまった。サッカーボールにでもなったようなレミリアは四回転するほどなぎ飛ばされた。
「アイラ、暴力はダメだって!」
「やられたらやり返すの!」
さっきまで主を敵視していた門番も、これには主の助けにまわった。
「お嬢様!!」
美鈴がフランドールを置いてレミリアの元へ駆け寄った隙をみて、シズマがフランドールに寄り添った。そしてこう囁いた。
「フランちゃん、信じてくれなかったお姉ちゃんを許してあげれる?」
フランドールはその囁きに動揺を隠すように返した。
「う、うん。許してあげてまた仲良くしたい」
「そっか。私はフランちゃんのお姉ちゃんに、今後フランちゃんとどうしたいか聞いてくるから少し待っててね」
「わかった」
そう会話をするとシズマは次にレミリアの近くに歩み寄った。
「あなたがレミリアお嬢様ですか?」
「え、ええそうよ。こんなボロボロな状態じゃ信じられないかもしれないけど…」
「たしかに信じれませんね、自分の妹を疑う事しかできなかった人がお嬢様だなんて」
「それとこれはっ…。というか、となるとお前のとこの妹らしいな…咲夜を殺したのは……」
「散々妹にその罪を着せておきながら、いきなりそうきますか」
「許さないわよ、殺してあげるわ」
「あなたの妹は何十年と屈辱と精神的苦痛に耐えてきたというのに、今あなたを"許す"と言っていましたよ。それなのにあなたはこんな一瞬の現実で、妹に謝らず殺人で全てを片付ける気ですか?」
「フランに何も聞いてないくせに勝手にフランが言った発言みたいにしないでほしいわ」
「ハッハッハッ、今まで疑っていたくせに急に仲間につけて守ろうとしますか。偽善なお嬢様ですね」
横たわっていたレミリアは見事なほどに口車に乗せられ、ついに立ち上がってシズマの腹部を殴ってしまった。ギリギリ防御には成功したものの、シズマは防御に使った腕を痛めた。
「いたたた、折れたかもしれないですね…これ」
作品名:東方~宝涙仙~ 其の壱四(14) 作家名:きんとき